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エッセイ・短編たちのおもちゃ箱  作者: ぽんこつ


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今日は何の日

「今日は何の日?」

30分ほど前に。

彼女から受けた質問。


ズルズル……

吸ったストローが。

惨めな音を立てる。

そっと。

グラスをテーブルに置いて。

腕を組む。


今まで答えたもの中に。

彼女が首を縦に振るものなく。

こっちの首が回らない。

ん?

違うな。

だって。

彼女が怒ったり。

呆れたような素振りは見せず。

むしろ。

この状況を楽しんでいる。

ようにも見える。


「まーだー」

彼女は。

向かいの席で。

髪の毛先を。

指に絡めては外して。

を繰り返している。

ハハハ……

かわいいんだが。


にやけていたら。

目が合って。

ぷっーと。

頬を膨らませた。

そんな彼女と出会ったのは。

去年の高校の始業式。

俺の一目惚れだった。


ちなみに。

今日は7月28日。

彼女の誕生日は11月8日。

俺が告白したのは。

去年の4月28日。

初めてのデートは去年の5月3日。

付き合い始めたのは。

去年の7月7日。

初めてのキスは。

彼女の誕生日。

初めてのエッチは。

12月28日。


と言うわけで。

未だに正解を答えられない。

「俺たちのことだよね?」

彼女は。

大きな瞳を閉じて。

ゆっくりとまぶたを持ち上げる。

うん。

という。

言葉にしない時の返事の仕方。

後……なんだ?

「初めてのメッセージ?」

「電話?」

「お互いの家に行った?」

「手を繋いだ?」

「初めて飯食った……」

「待ち合わせで遅刻した?」

彼女は済まし顔で。

首を横に振る。


「ねえ。意外と抜けてるね、みっくん」

「そっか……」

「でもでも、すごいね。私とのこと、ちゃんと覚えててくれて。好きだよ、みっくん」

「あっ、ああ、俺も好きだよ。あやちゃん」

にこりとはにかみ。

唇を食んで。

顔を突き出す彼女。

「うん。それで、今日は何の日?」

「うーん。ごめん。分かんない」

こめかみを掻きながら。

苦笑う俺。

「まっ。いっか」

「え……?」

「ねえねえ。ケーキ食べよ」

「いいけど……結局、何の日だったの?」

「何の日かな」

きゅっと。

鼻にシワを寄せて。

ちょっと。

舌を出した。


やべっ。

かわいい……


「苺のショートが食べたいです」

片手を上げて。

宣言する彼女。

「ああ、じゃあ、俺も同じのにしようかな」

「あー。また真似した」

腕組みをして。

横目で。

じーっと。

俺を見つめてきた。

「ん? いや、俺ショートケーキ好きなの知ってるよね?」

「ふふ。みっくん。私のこと大好きだよね」

彼女は。

ニコニコしながら。

両手で頬杖をつく。

「な、何だよ。大好きだから付き合ってるんだよ」

「うん」

「それで、今日は何の日か教えてくれよ」

「じゃあ、来年の今日、また聞くから」

「ん?」

「早く頼もう。ケーキ」

「分かったよ……」

お読み下さりありがとうございます。

感謝しています。

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