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その21

 そこに映っていたのは、紛れもなくリリアンナそのものでした。紫色のひとみが、射抜くようにこちらを見すえています。


「そなたらがわらわの話を信じるかどうかはまったく問題ではない。わらわはリアリアンの伝統にのっとり、宣戦布告をするだけだ。そなたたちドリーミアンは、夢にも思わないであろうが、そなたたちの次元以外にも、無数の次元が存在する。わらわはそのうちのひとつ、リアリアンに君臨する女王である。その女王の名において、そなたたちドリーミアンに告げる。そなたらは永遠に眠りにつき、わらわたちリアリアンに夢を提供するのだ。わらわたちリアリアンの科学力は、そなたたちドリーミアンのはるか上を行く。おとなしく従うのであれば、このものたちと同じように、安らかな眠りにつくことができるであろう」


 テレビカメラが、リリアンナの足元に倒れている人たちを映し出しました。せりかがヒッと息を飲みます。


「案ずるでない、このものたちは眠っているだけ。永遠の眠りとは、死のたとえではない。そなたたちはみな眠りにつき、夢を見てもらう。その夢をわらわが吸収し、リアリアンの次元のエネルギーとさせてもらうということだ」


 再びカメラが、リリアンナの姿を映しました。


「そして世界中のタピールたちよ。わらわに服従せよ。さすればこのもののように、わらわの力を与えよう。さらに、リアリアンとして生きる権利も与える。破格の条件であろう」

「あっ、どうして? 貝子みるこがいる!」


 リリアンナのとなりに、いつものへらへらした笑いを浮かべた貝子みるこが映っています。


「じゃあまさか、あの人……」

「リリアンナと手を組んだんだ。あいつのことだから、おれたちに対する復讐のつもりなんだろう」


 スマホから、勇樹のはき捨てるような声が聞こえてきます。


「わらわたちに従い、永遠の眠りにつくか、勝ち目のない戦いをするか。選択せよ。猶予は太陽がしずむまで。そのあとは、永遠に太陽を見ることはないだろう」


 場面が切り替わり、再びガラス張りの建物が映し出されました。建物全体が、光のカーテンにおおわれています。


「テロリストが立てこもっている首相官邸は、謎の光のカーテンに包まれていて、自衛隊も突破できずにいるとのことです。また、テロリストからの映像に関しては、現在専門家が分析中ですが、意味のわからない単語ばかりなため、なにかの暗号になっている可能性もあるとのことです」

「暗号のはずないじゃない! だって、リアリアンの次元もあるって、ちゃんといってるし、タピールのことも」

「せりか、もしあなたがタピールじゃなかったころに、この映像を見たら、信じる?」


 彩乃にいわれて、せりかはハッと口を押さえました。


「リリアンナのいうことだから、本当に今日の太陽がしずむころには、リアリアンの兵士たちを呼び寄せて、この次元を侵略する気だわ。しかも見たでしょう、光のカーテンを出しているってことは、もうドリーミアンの次元でも、自由に力を使えるってことだわ」

「それじゃあどうしたらいいの? わたしたち、夢の中でしか力を使えないのに、現実世界にまであんな光のカーテンを使われたら、もうどうしようもないわ」

「いいえ、ひとつだけ方法があるわ」


 せりかが彩乃の顔を見ました。きゅっとくちびるを結んだまま、彩乃はじっと考えているようでしたが、やがて口を開きました。


「わたしやアーヤが使う、あの光のカーテンは、物理的な攻撃をはじき返すものだわ。でも、たましいまでは防ぐことができない」

「たましい? じゃあ、もしかして幽体離脱して」

「そうすれば、あの光のカーテンもすり抜けることができるわ」


 せりかの顔に希望の色が戻ってきました。


「リリアンナは現実世界でも力を使い始めている。でもそれはつまり、リリアンナの精神世界が現実世界ともリンクしている証拠よ。それなら幽体離脱した状態で、リリアンナの精神世界へ侵入し、そこでリリアンナを倒すことができるはずよ」

「そうか、それならいけるぞ!」


 スマホから、興奮した勇樹の声が聞こえてきます。せりかもぐっとこぶしをにぎりしめました。


「うん! わたしたちの次元は、わたしたちが守らないと! それにきっと、りりあさんのたましいはまだ残っているわ。リリアンナの精神世界に、きっと封印されているのよ」

「せりか……。うん、そうよね。お姉ちゃんは消滅なんてしてない! わたし、きっとお姉ちゃんも助ける!」

「よし、じゃあすぐに幽体離脱して、首相官邸の前で落ち合おう」


 勇樹の言葉に、二人は力強くうなずきました。

本日1/29は、このあと一時間ごとに1話ずつ、その25までを投稿していきます。

その25が最終話となり、そこで完結します。

どうぞ最後までお楽しみいただければ幸いです。

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