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百合は眺めるものじゃないんですか? ~NTRダメ絶対な世界で×××の才能に目覚めた私がNTRっちゃうわけにはいかない!~  作者: ヱ川陸
第2章 普通の姉妹じゃなくなった話。

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第19話 近親とトラバーチン模様。


 近親婚、親族関係での婚姻関係を結ぶことを指す。


 親子・兄弟・姉妹、叔父や叔母と姪や甥との叔姪婚(しゅくてつこん)やいとこ同士ないとこ婚や────世代を超えて結ばれちゃったりする直系親族婚などなどをまとめて称するものらしい。


 そしていとこ婚以外は”()()()()()()()”では法的に問題があって。


 その根拠が本来は近親婚≒ではないはずの近親相〇から、近親同士に生まれた子孫の血が濃くなることを原因とした色んな病気への抵抗力への減少など遺伝子異常の発生を回避する為だったはずで。


 国によっては法的に禁止されたり、だんだんタブーになったりしていった……あたりで、今も根底・心の中では拒否感を抱くものも少なくないんだって。



 まぁ”()()()”以降、そういったすべての病的リスクが取り除かれたから気にする必要ないんだけどね。



 そして同性も異種族も無機物・有機物同士でも子孫繁栄が可能な世界になった以上、近親同士なんてことも歳の差なんてものも些細なことで。

 

 だから遺伝子的な部分を考慮する必要もなく、”()()()()()”になった時点で法的にも問題はなくなった。


 純愛神に問い合わせた人がいたのだろうと思う、答えは『当事者同士お互いに同意してるならOKデース』とシンプルなものだったという。


 なのであとはそれぞれの考え方次第、そして今はかつてタブーだったことや不健全だったことを盾に攻撃することは言論でも物理でも絶対に出来なくなっている。


 つまり何を言いたいかと言うと──



 姉妹同士でもごにょごにょ出来るし結婚も出来ます!



 出来るけど……出来るけども! 私にとっては心の準備というものがあってですね──



== ==



 という夢を見ていてね。


 なんでまた私は夢で誰に対して言い訳してたんだろうとぼんやりと考えながら意識が覚醒していく。


 しかし夢が二本立て、一本目はお姉ちゃんとの”いかがわしい夢”でまさか愛の告白をされるなんてなぁ………………夢だよね?


 うん、あれ?



「え?」



 目の前にある景色で違和感、そう──見慣れた天井ではなくて。


 トラバーチン模様、温泉などで発生する不規則に穴が開いた大理石の一種の石灰岩……を模したりしたデザイン模様だった気がする。


 そんなトラバーチン模様を意識した天井材はビス止めなどの加工箇所が目立ちにくく吸音性に優れているようで病院の天井などに採用されがちだったようで。


 いや、あのね? アニメとかの見慣れない天井とか漫画とかにも出てくるしリアルでも良く見る病院の天井柄ってなんか意味あるのかなぁと調べた結果であって────そこじゃない!



「なんで病院……?」



 独特の匂い……消毒薬とかの薬っぽい匂いと妙に生暖かい温度の空気、そして遠くからしか聞こえない雑音と──白いシーツのベッドと例の天井材。


 そこから私は病院のベッドに寝ていたことが分かった。


 実はこれまで私は病院で眠りについていてすべてが夢だった……?



「あ、起きましたね」



 そうすると見たことのある顔が覗きこんでくる、ネームプレートには「尾久」と書かれていて。



「政府異能対策課の魔耶(まや)三十四チーム尾久です、数日ぶりですね」



 病院スタートであることと、尾久さんが出てきたことでぼんやりと察しがついてきた。


 つまり────()()()()()()()()()()()()



「ああ、ええと念のためにシールドは強めにしていますが強い拘束の必要はありませんので。就寝中なのでそのまま寝てもらいました」


「尾久さん、私は一体なにを……」



 そこで脳裏に浮かぶのは寝る……というか意識が途切れるまでの光景で、あれが夢ではないのなら──



「あの、お姉ちゃんは……?」



 私のやらかしの内容、私が病院に寝ているということはと連想してしまう。



「○月×日一時四十七分に下十条ユリさんから異能由来と思われる数値が異常を示した為、親御さんの了解を経て部屋に入ったところ”催淫”発動中の下十条ユリさんと衰弱状態のお姉さん下十条スズランさんが見つかりまして……」


「衰弱状態……!?」



 サキュバスハーフであること、サキュバスが精を搾り取る生き物であることからも私がお姉ちゃんから奪い取ったことは明白で。



「生命維持に関わるほどではありませんでしたし、搬送後は回復処置をして現在は起床しています」


 

 この世界から”死”はなくなった。


 だけど死にかけることは普通にあって。


 殺意や敵意などを持った行動による殺人は許されないし出来なくなったけど、事故や災害などの不慮に死にかけるということは少なくないけど今も存在して。


 死にかけても間違いなく完全に復活出来て、()()()()蘇生と同等のことが出来るだけで。

 

 衰弱状態……生命維持にかかわるほどではないけど、病院に搬送しなければいけないほど。


 私がお姉ちゃんを生命の危機に晒したことには違いなくて。



「お姉ちゃんは無事なんですね!?」


「身体的な異常もなく無事です。ただ…………」



 そうして知らされたのは衝撃的な事実にして、全知全能な純愛神でさえ干渉出来ないという──





 体調面はすこぶるいい、これまでの生涯で一番といっていいぐらいに活気に満ちているし今なら一〇〇メートル一〇秒台も夢じゃないかもしれない。


 でもこの状態がお姉ちゃんから奪って得た結果なら話は別で…………!


 尾久さんの許可を経て夜に寝るまで着用していたルームウェアの上に入院着の上を羽織り、自分の寝ていた個室タイプの病室隣の病室を訪れると入院札には「下十条鈴蘭」の文字があった。


 ノックをして「はい」という内側から聞き慣れた声の少なくともいつも通りの声音に安心しながら「お姉ちゃん、私」と言うと病室の施錠が解除されて「大丈夫よ」というお姉ちゃんの了解を得て扉を開ける。


 そこには病院のベッドに腰をかけた入院着を着たお姉ちゃんが座っていた。



「おはよう、ユリ」


「お姉ちゃんっ……!」



 そこには変わらずお姉ちゃんがいて、少なくとも衰弱状態だったとは思えない顔色と表情のお姉ちゃんがいて。


 私は安心して思わず歩み寄って抱き着きそうになって────踏みとどまる。



「ユリ?」


「…………」



 触れていいことも聞かされた、今の私はシールドの重ねがけで他者に影響を及ぼさないとも。


 それでもやっぱり────



「ごめん、お姉ちゃん……ごめん……」



 お姉ちゃんの顔を直視出来なくて、顔を俯かせて謝ることしか出来ない。


 私がやりたくてやったことではなくて、でも結果的に私がお姉ちゃんを傷つけることになって。


 悪いのは私だ。



「? 謝られることがないわ」



 思わず顔をあげるとそこにはきょとんとしたお姉ちゃんの顔があって。



「……でも、私のせいで……!」


「むしろ私がユリの栄養に・糧となれて嬉しいぐらいよ。私の一部があなたの中で生きているようなものだもの」


 

 それは…………うん……あれ?


 何か言い方が……いや、私が言える立場じゃないことは分かってるんだけども!


 そこじゃなくて、私が致命的な行いの結果が──



「でもお姉ちゃんが、私の眷属(けんぞく)になっちゃって……!」



 眷属、同族だったり従者・配下などの隷属的意味も持つ。


 サキュバスの眷属、正確にはサキュバスハーフの眷属だけど私はお姉ちゃんを不可逆の存在にしてしまった。




 

 昨日の夜に何があったのか。


 私の記憶があるのはお姉ちゃんとキスをして気を失うところまでだった。


 その時も・その後も私とお姉ちゃんは粘膜接触を続けたことでお姉ちゃんの精気を私が吸っていったのではないかと尾久さん談。


 普通なら私が精気を吸っただけ……になるはずが、そこからどういう理由か・理屈かお姉ちゃんを私の眷属としてしまったらしい。


 特殊な経緯で他人を眷属にしてしまうというのは吸血鬼とかをまず思い出す、けれど一部創作などでサキュバスでも眷属を作る設定もあったりした気がする。


 そしてお姉ちゃんを病院で状態を調べたところ [下十条百合の眷属] となっていて、それでいてこの()()()()()()()()()()()()()…………少なくとも私は眷属を作れるタイプのサキュバスハーフだったようで。


 血族的にはお姉ちゃんもサキュバスハーフではあるはずで、それでも私より長く生きているお姉ちゃんにはサキュバスの異能が発現しなかった以上はリン母さんやおばあちゃんのように普通の人間と同じように生きていける未来もあったかもしれなくて。


 そして今のところサキュバスハーフの眷属というのが身体にどういった影響を及ぼすのか、尾久さんからも詳しい説明はなくて。


 私はどうしたら……責任を……どうやって罪を償っていけばいいのか……!



「私の方が姉でユリは妹だけど、これからは私はユリの眷属でもあるのね」


 

 お姉ちゃんは自分の状態を嚙みしめるようにそう呟く。


 それはもう複雑だろうし、どう受けていいのか分からないはずで、ショックを受けているに違いなくて──



「なんだか特別な関係みたいでドキっとするわね」



 …………?


「いや、お姉ちゃん。そんな……」


 

 あんまり言いたくないけどちょっと楽観的過ぎるというか──



「だって私にはなくてあなたが背負っていたことを、私も一緒に背負えるようなものかもしれないのでしょう? それは嬉しいことだわ」


 

 そんな……それは……あまりにも、私に都合が良すぎて、甘すぎて──優しすぎて。



「それでも今後どうなるかは・どうするかは気になるわ。その第一人者に聞いてみましょうか」


「へ……第一人者?」



 そうして病室のドアがノックされたかと思うと「入るぞ」と有無を言わさず引き戸を引いてとある人が入ってくる──


 

「まさか()()の曾孫がサキュバスの異能に覚醒して眷属も作るとはのう」



 古風な喋り方ながらも声は高く幼いもので、目線を下げるとそこには彼女がいる。


 和服に身を包みさらさらの長い黒髪をした人形を連想させるような美幼女がいて。


 下十条=トェイウーゲ、トェイさんこと私にとってのひいおばあちゃんだった。

 

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