冒険者になりたい
「お母さん、私ね冒険者になりたいの。」
「冒険者ならもうなっているでしょ?」
「違うの。世界を見てまわりたい。お父さんもそうだったように。」
ネリネがお父さんのことを口にすると、重々しい空気が流れる。初めてあったときに聞いたことがあった。ネリネのお父さんは冒険者として世界をまわっているときに命を落としたって。
「貴女もやっぱりそういうことに興味を持つのね。」
「え?」
ネリネはてっきり反対されるかと思い、予想外のことに聞き返してしまった。
「私もね、同じことを思ったのよ。そして、お父さんと出会った。血は争えないものね。それに、反対しても行くつもりでしょ?」
「それは……。うん。」
「そのぐらいの覚悟があるなら反対なんてできないわ。ただし、無事に帰ってきなさい。それと、近くに来たらちゃんと家に寄ってね。」
「ママ……! ありがとう!」
ネリネとネリネのお母さんのやり取りをみて、私もママに会いたいと思った。でも、次に会うのは冒険から戻ってきたときと決めている。
「そうだ。ネリネ貴女、片手剣と盾を使っているわよね?」
「うん。できるなら仲間を守れるほどの大盾にしたかったんだけど……。」
「それならいいのがあるわ。ちょっと待ってなさい。」
そういってネリネのお母さんは、1つの盾を持ってきた。大きさは鍋の蓋ぐらいしかなく、今のネリネの持っているものと同じだ。
「これは?」
「私が冒険者時代使ってたものよ。ヒュージタートルっていう魔物の甲羅でできていてね、魔力を込めた瞬間だけ盾が巨大化するのよ。」
「それって……。」
「これでリリーちゃんをしっかり守ってあげなさい。そのために私に内緒で森に行って鍛練してたんだから。」
「知ってたんだ。」
「それは貴女の母親ですから。」
母は強し。
親はいつでも子どものことを見守っているということが伝わってくる。
これからはその親のもとから離れる。その事を改めて感じた。
「それじゃあ寝ましょうか。リリーちゃんは私と寝ましょうね。」
「え、あの。」
「それはママにも譲れない。リリーちゃんは私と一緒に寝るんだから!」
「ネリネまで!?」
ネリネがお母さんから奪い取るように私に抱きつく。ちょっと苦しい。
さっきまで湿っぽかったのに急に慌ただしくなる。でもそれはそれで楽しかった。
「あらあら、じゃあ今日は三人で一緒に寝ましょう。」
どうやらネリネのお母さんの狙いは最初からその事だったみたいだ。確かにネリネに一緒に寝ようと言っても断られていただろう。
やっぱり母は強しだ。
***
夜中
苦しくて目が覚めると、目の前に育ち盛りの胸があった。ネリネに抱き枕のようにぎゅっと抱き締められているみたいだ。
ネリネの顔が幸せそう。抜け出せないことがわかったから、諦めて、私もネリネを抱き締めてもう一度目を閉じた。
***




