表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第2章 修行後と集い
56/65

52話 帰りを待つ人達

決闘後……。

 大波乱の決闘から翌日…。

 カインはヒロとスズの2人をザックの私室へと向かい入れて、リンシアと合わせて4人で話し合いをしていた。


 「俺は強いとか言ったくせに、全然大したこと無かったな。」

 

 昨日の決闘を振り返り、全力を出す前に終わってしまった事を不満そうにしているカイン。


 「うぉぉーーいっ!!!お前が強すぎるんだよっ!!俺が弱いみたいに言うなっ!!」


 これでも一般的なランクA冒険者と同等の実力を持っているので納得行かないヒロ。そもそもザック・バルシリガに勝てると言っただけで、カインには勝てるとは言ってない…。


 「はぁ…。確かにカイ兄は別格。相手が皇族や天族でも同年代では敵無しって感じだよね。」


 世界の常識を覆す力をもっているカインに対して溜息を吐きながら話すスズ。普通なら王族ですら皇族や天族には絶対に敵わない。

 

 「カインお兄様はそんなにお強いんですか?私は決闘を見ることが出来なかったので残念です…。」


 「カ、カインお兄様?……。」


 カインの実力を知らないリンシアは不思議がっているようだ。決闘の時もジェニファが許可しなかったので見に行けなかった。

 ジェニファはザックの事は可愛がっているが、何故かリンシアの事は完全に放置している。


 「何を言ってるんだ。俺は平凡な一般人だから強いわけ無いだろ。」


 平然と否定するカインだが…。


 「ふざけんなっ!!どこが平凡なんだよっ!!2年前より人外っぷりが増してるじゃねぇかっ!!

  俺も死ぬ気で修行してたんだぞっ!!」


 ヒロは地獄のような修行した自分より完全に上をいっているカインの平凡発言が納得出来無い。


 「俺はまだランクB冒険者だから平凡だっ!!ヒロはランクA冒険者になったんだろ?俺よりも上だから強いはずなのにな…。」


 人外扱いに対して”言い訳”するカイン。

 昇級試験である依頼は達成したのだがギルドへの報告がまだ完了していないので、現在はランクBのままである。

 

 「うるせぇっ!!ランク詐欺野郎っ!!

  これでもランクA冒険者としては上位の方なんだよっ!!」


 やれやれと言った感じのカインの態度が納得出来無いヒロ。そもそもカインの上級闘技を生身で受けたのに死ななかっただけでも凄い…。


 「カイ兄……私もそのランクは詐欺だと思う。」


 ヒロの意見に同調するスズ。ランクS冒険者や七星天兵団の師団長、副長と同じレベルなのにランクB冒険者とか詐欺でしか無い…。


 「俺に味方はいないのか…。こんなにも平凡なのに…。」


 スズにまで詐欺と言われて落ち込むカイン。


 「私はカインお兄様の味方ですよっ!!」


 落ち込んだカインに反応したリンシアが隣に座っているカインの手を握りしめた。実際にカインの実力を見たことがないので、ランク詐欺という事が良く分かってない。

 

 そんなリンシアの行動に反応したのは2人…。


 「待て待てっ!!よくよく考えればカインお兄様ってなんだよっ!!なんでそんなに可愛い子にお兄様と呼ばれてんだよっ!!!しかも、美少女に手を握られるなんて羨ましい過ぎるわっ!!」


 椅子から立ち上がり、一気に言葉を畳み掛けながら抗議するヒロ。最後の最後に本音が漏れている。

 

 「そ、そうだよっ!!私もさっきからずっと気になってたっ!!!それにカイ兄の手を握るなんて……。」


 さっきの会話の時も、リンシアのカインお兄様という発言に反応していたスズ。とりあえず流していたが手を握ったことに関しては許容出来なかったようだ。


 「何か問題でもあるのか?」


 2人の発言を聞いて首を傾げるカイン。兄と呼ばれる事も、女の子に手を握られる事に関しても全く気にしてないようだ。


 「私達は兄妹なんだから問題ありませんっ!!」


 今度はカインの右腕に抱きつくリンシア。


 「な、な、なにやってんだぁぁあーっ!!お前、俺と代われよっ!!!」


 女の子に抱きつかれた事がないヒロが叫び始める。物凄い妬ましそうな目でカインを見ている。


 「ちょっとリンシアさん、それはやり過ぎですっ!!そ、それなら私もっ!!!」


 正面に座っていたスズも、即座にカインの隣へと座り直してリンシアとは反対側の腕へと抱きついた。


 こうして年下の妹分達を両手にはべらせているカイン。

 本人が望んでやったことではないが見ている方からすれば羨ましい限りである…。


 「くそぉぉおーっ!!やっぱりまだお前には勝てないのかぁぁぁあーーーっ!!!」


 決闘の時よりも敗北感を感じているヒロは叫びながら両手で頭をかかえている。

 2年経っても変わってない現実に打ちのめされているようだ。


 「そんな事より…「そんな事って言うなっ!!!」……そんな事より決闘で負けたヒロにお願いがあるんだが。」


 そんな事と言われたヒロが速攻否定するが、結局言い直して発言するカイン。美少女2人抱きつかれているこの状態は全く気にしていない。


 「な、なんだよ…。」


 かなり動揺するヒロ。決闘の時になんでも言う事を聞いてやると言ったので焦っているようだ。


 「いや、そんなに構えなくてもいい。スズにも頼みたいと思っていたからな。」


 左手に抱きついているスズを見るカイン。


 「私にも?ヘタレ兄貴と一緒に?」


 スズは決闘の賭けという話だったので自分にも頼まれた事に首を傾げている。


 「ヘタレって言うなよっ!!!「黙れヘタレっ!!」……はい…。」


 へたれ発言に抗議したヒロだったが、直ぐにスズによって撃沈した。妹に頭が上がらないのは昔からずっとである。


 「ヘタレさんとスズという事は…従者の件ですか?」


 「そうだ。そういえばリンシアには話していたな。」


 実は昨夜リンシアにこの話をしていたので内容を理解していた。

 

 ちなみにリンシアのヘタレ発言を否定しようとしたヒロだったが、スズに目で牽制されて何も言えなかった。

 そんなスズは視線をカインに戻して質問する…。


 「従者の件って、カイ兄にも従者がいるの?」


 「ああ、神獣とナイトリーツ家の女の子達だ。」


 サラッと非常識な真実を話すカイン。


 「はぁ?じょ、冗談だよなっ!!」


 何故かヒロが物凄い動揺する。前のめりになってもう一度聞き返して来た。


 「冗談じゃないな。俺「くそぉぉおーっ!!やっぱり羨ましいわぁぁっ!!!」……どうした?」


 ソフィアと発言した途端、声を荒げるヒロ。そんな反応に対してカインが疑問に思っていると…。


 「カイ兄…身分の高い異性を従者にするって言う事は一生面倒を見ないと行けないんだよ……。」


 全く理解していないカインに呆れているスズ。この世界で異性を従者に迎えると言う事は、ずっと一緒に居て側に置いておくという意味になる。なので一生面倒を見る愛人みたいな者だ。

 

 ちなみに2人とも平民のカインが神獣と皇族を従者にしているという事には気にしていないらしい。カインならなんでもありだという事が分かっているようだ。


 「あいつらの事は俺が一生面倒を見る予定だから別に問題無いと思うが?」

 

 一生面倒を見るという意味を間違えて理解しているカインは全く気にしていない。


 「……お前は変わらないな…。」


 叩いても響かないカインに呆れるヒロ。何を言っても無駄だと思い深く追求するのをやめた。

 しかし、スズはひそかに…。


 (カイ兄の愛人って事はずっと一緒にいられる…。それも良いけど、やっぱり私は妻として……。)


 愛人も羨ましいが、カインの妻になりたいと1人思案していた…。

 一方でカインは話を進めていく…。


 「その従者達なんだが少し問題があってな……。」


 少し言いづらそうにしている。


 「カインお兄様は心配なんですよ。」


 カインの思いを察してリンシアが代わり話し始める。従者達の事は会話によく出てきたので、ある程度の事は理解していた。


 「心配って…大事にされているんだね。」


 カインに心配されている従者達が羨ましいと思うスズ。しかし、そういう意味の心配ではない。

 従者達の事を思い浮かべながら呆れたようにカインが言った…。


 「違うんだ…あいつらはバカなんだ…。」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「という経緯でオボルへとやって来たんです。あの後はカイ兄の転移術で、私達が乗ってきた魔導飛行船ごと転送されました。」


 これまであった経緯を全て話し終えたスズ。黙って聞いていた他の5人も大体理解したようだ。カインの言った従者2人がバカであるという話については深く追求しなかった。

 初めて会った者達にもアルディオとソフィアの事は、ある意味共通認識となっている……。


 「本当にカインが何とかしてくれるとは…。」


 さっきの争いで、カインにこの状況をなんとかしてくれと呟いていたメリル。本当に手を打っていたカインに感心している。


 「ね、ねぇっ!!じゃあ、カイくんも後何日かしたらオボルヘやって来るんだよね?」


 早くカインに会いたいエルミナが興奮しながらスズに問いかける…。


 「うーん…。そろそろ証拠が掴めそうって言っていたから来るとは思うけど…。」


 「我も早く主に会いたいぞっ!!そろそろ毛づくろいして貰わないと困るのだっ!!」


 アルディオも早く会いたそうにしている。毛づくろいをして貰いたいと言っているが……。


 「えーと…。従者達がもし暴れていたら、帰って来ても1週間は毛づくろいしないと言ってましたよ。」


 「な、何だと……。」


 この世の終わりみたいな表情になるアルディオ。まぁ、暴れていたのは事実なので仕方無い。


 「私もですよね…。毛づくろいの事は残念ですが、それよりも早くカイン様にお会いしたいです…。」


 残念そうにしながらも、ソフィアはカインに会いたいと思う気持ちの方が強いみたいだ。

 

 その後も、メリルの部屋で色々な話をしながらカインの帰りを待つ5人と1人の従者であった…。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 メリルの鍛冶屋の外…。


 「だ、誰か治療を…。」


 「俺達…。完全に忘れられているよな…。」


 メリルの鍛冶屋の壁に大きな穴を作った原因の2人は寂しくも仲良く横たわっていた……。

次回、ジェニファをようやく…。


読んで頂きありがとう御座いました┏○ペコッ

ブクマ登録、感想評価もよろしくお願いします。

誤字脱字などのご指摘がありましたらお願いします(;•̀ω•́)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ