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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第2章 修行後と集い
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36話 最高位の侵略者

最強のナニカ…。

 「久しぶりだな……ナニカ…。」


 カインの言葉と同時に、突然闇のゲートが出現した。ドス黒いゲートから物凄い死のオーラを辺りに放出している。


 「なるほど、始祖様はよく気が付きましたね。

  常闇のゲートとオーラですか…。それに、この深淵の樹海で転移出来るのは侵略者と始祖様のみ…。」


 レイバトリオは、ナニカの存在を侵略者と呼称している。昔のアルディオと同じ呼び方をしているという事は……。


 「やっぱり、ナニカは侵略者と言うらしいな。この世界に侵略して来た世界外のモノか。

  ……それと、何回も言ってるが俺は始祖じゃないっ!!確かに、この場所でも転移可能だが…。」


 実は、この樹海に入った時に出来る事を色々と試していたのだ。カインはミストラルから、深淵の樹海では術が何個か限定されると聞いていた。

 

 それを確認した結果は以下の通り…。

 

 ✕ジェットブラックによる飛行の使用不可。

 ○アイテムボックスは使用可能。

 ○ソフィアの影術は使用可能。

 ✕アルディオの転移術使用不可。

 △カインの転移術使用可能。(短距離のみ)

 ○武器や防具に関しては使用可能。

 ✕広範囲の索敵術は使用不可。

 ○エレメント顕現可能。

 ○闘技、魔法、絶技の使用可能。 以上…。


 

 確かに転移可能だが、カインは始祖と呼ばれる事を嫌がっていた。

 しかし、そんなカインに対して……。

 

 「私にとっては、貴方様は始祖様ですよ。」


 それでも変わらずに始祖と呼ぶレイバトリオ。

 とても綺麗な薄緑色の髪をなびかせながら、笑顔で当たり前のように言っている。

 そんな様子を見て、カインは諦めたようだ…。

 

 「はぁ…好きにしてくれ…。

  だが、あま……来るぞっ!!!!!」


 突然、カインは死のオーラの増大を感じた。さっきよりも濃いオーラが辺りを包み始める。

 そして……。


 「グルルルルルルルッ!!!!」


 遂に、死のオーラの元凶が姿を現した。

 闇のゲートから顔を出した竜型のナニカは、出現と同時に叫び声を上げる。そして物凄い威圧を周りに放出してるようだ。


 「竜型のナニカ……。2年前の人型とは比べ物にならないくらい、全然格が違うな。」


 カインは竜型ナニカの放つ死のオーラを、正面からひしひしと感じた。そのオーラをうけると、絶対的な死が間近に迫っているような感覚になる。


 「お兄ちゃん…か、身体が……。」


 メルトは死のオーラを受けて身体が硬直し、地面にへたり込んでしまった。そして身体もかなり震えているようだ。

 その様子を見たカインは……。


 「メル、大丈夫だ。俺が付いてる。

  [ヘブンスサンクチュアリ]。」


 無詠唱で仙術を発動させた。半径10mの範囲が淡い光に包まれる。そして、優しいオーラが死のオーラの緩和していく。

 

 [ヘブンスサンクチュアリ]は範囲内にいる者に、状態異常回復、精神回復、肉体再生の効果を与える最上位の仙術である。魔力消費が極大でカインですら使える回数は限られてくる。


 「暖かい光…綺麗…。」


 メルトはカインの発動させた仙術に見惚れている。元々暗い場所にいるので、一層幻想的な空間となっていた。

 そんな、メルトをカインは抱き上げて…。


 「メルは離れ……「始祖様っ!!!」分かってるっ!!!!」


 キュルルルルルルッ!!!


 全身を闇のゲートから出していなかった竜型ナニカだが、突然闇のオーラを収束し始めた。

 とても音の高い収束音が辺りに響いている。

 その様子を見て、カインはレイバトリオに指示を出した。


 「レイバトリオっ!!俺はまだエレメントが使えないっ!!ナニカの攻撃を防げるのはエレメントだけだから、お前が防いでくれっ!!!」


 「分かりましたっ!!

  私にお任せ下さい…[天鳥転化]っ!!」


 ピカァァッ!!!


 カインの指示を受けて、了承するレイバトリオ。天鳥転化により身体全体が輝き始めて、だんだん身体が変化していく。

 そして、元の天鳥へと戻ったようだ。


 「続けていきますっ!!

  舞う天の陽光〚天〛顕現せよっ!!!」


 続けざまにエレメントの顕現を始めた。天鳥になったレイバトリオの元へ、四色のエレメントが収束している。

 しかし、もうすぐ顕現というタイミングで、竜型ナニカの方が先に攻撃を始めた。


 「グルルルルルルルッ!!!!」


 ブォォォォオオオオッ!!!!


 竜型ナニカの雄叫びとともに、ドス黒いブレスが一直線にカインへと向かっていく。周りの空間を歪ませており、全てを無に還す圧倒的な力だ。

 そしてカイン達に、高速で放たれたブレスが直撃する瞬間……。

 

 「〚ヘブンスバリア〛っ!!」


 レイバトリオの声と共に、カイン達の前へ四色の光るバリアが発生した。そして、そのままブレスとバリアが衝突を起こす。


 ドォォォォォォォォォォォンッ!!!!


 衝突と同時に凄まじい衝撃波が発生する。 

 四色のバリアとドス黒いブレスは拮抗し、そしてお互い完全に相殺された。

 

 「今だっ!!!一旦離れるぞっ!!!

  [短距離転移]っ!!」


 離脱のチャンスと判断したカインは、直ぐに転移術を使用した。それにより、光のゲートがカイン達を包み始める。


 「グルルルルルルルッ!!!!」


 その様子を見た竜型ナニカが、雄叫びを上げながら急速にカイン達に向って来た。全身30mという巨体とは思えない速度で迫ってきている。


 「残念だったな。こっちの方が早い。」


 しかし、光のゲートに吸い込まれていく方が一瞬だけ早かった。カインの言葉を最後に、カイン達の姿はその場から消え去っていった…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 メルトが試練をした場所から、1km離れたところに光のゲートが出現した。そして、中からカイン達が姿を現す。


 「ふぅ…ギリギリだったな…。」


 あと少し転移が遅かったら竜型ナニカに踏みつぶされていたかもしれない。おもわす溜息が出るカイン。

 

 「それに、あのブレスは脅威ですね。無詠唱だったとはいえ、私のヘブンスバリアと同等の力を持っていました……。」


 自分のバリアが相殺されたレイバトリオは、あのブレスの危険性を述べる。

 〚ヘブンスバリア〛は”エレメントアート”の1つで、最高位の防御力を持っている。四色の〚天〛のエレメント顕現者である神獣レイバトリオ。その神獣が使ったエレメントアートを相殺させるのは、普通ではありえない事だ。

  

  ※ちなみに〚エレメントアート〛とは、

  エレメントを使用した術や技の事。

  覇気を使用した術や技は[絶技]

  闘気を使用した術や技は[闘技]

  魔力を使用した術や技は[魔法]という。


 

 レイバトリオの指摘を受けたカインは…。

 

 「確かに…あのブレスはヤバかったな。攻撃範囲が広過ぎて、メルを抱いたままでは避けられなかった。」


 「私…お荷物……。」


 メルトはカインの言葉に反応して、無表情ながら落ち込んでいる。自分はカインに抱かれたままで、何も出来なかった事に納得出来無かったみたいだ。

 そんなメルトの様子を見たカインは…。


 「メル、それは仕方無い。俺でもエレメントが使えないから正直きつい。だから、やれる事は少ないだろう……。

  だが、必ず何とかしてやるっ!!」


 メルトは、その言葉を聞いてカインの目を見つめる。そして、絶対的にやり遂げる強い意思をメルトは感じた。


 「うん…今はお兄ちゃんに任せる…。」


 「よし、任されたっ!!」


 メルトは少し不安な様子だが、カインの事を信じる事に決めた。出会ってもない2人だが、兄妹の絆を築けているようだ。

 しかし、エレメントを顕現出来無いカインの事を心配したレイバトリオは…。


 「始祖様、どうするおつもりですか?」


 「俺は、あのナニカに試したい事がある。

  レイバトリオはメルトを安全な場所まで連れて行き守ってあげて欲しい。」


 「……侵略者はエレメント以外では倒せません。それに相手は、無詠唱のヘブンスバリアを相殺させる程のブレスを放てます。おそらく相手も最高位の侵略者ですね。

  さすがの始祖様でもエレメント無しでは……。」


 竜型ナニカの放つブレスの威力を良く理解しているレイバトリオは、エレメントを使えないカインだけに全てを任せる事は出来ないみたいだ。

 そんなレイバトリオを安心させる為に…。


 「俺がその気になれば、この世界でも吹っ飛ばせるっ!!

  だから、あのナニカも楽勝だっ!!しかし、神樹も一緒に傷付ける事になるから許してくれよっ!」


 「ふふっ、世界を吹っ飛ばせるですか。それなら侵略者も楽勝ですね。それに、あの樹は神樹ですよ。始祖様の御力が込められており、絶対に傷付く事は無いので安心して下さい。

  ………………始祖様は変わりませんね。」


 少し冗談めかして発言をしたカインに、微笑みながら言葉を返すレイバトリオ。

 最後に何かを小さく呟いた様だが……。


 「ん?何か言ったか?」


 「なんでもありません。では、この場は始祖様にお任せしますね。…メルト、行きますよ。」


 「うん…。お兄ちゃん頑張って…。」


 「まぁ、頑張ってみるか。

  それと、”アレ”を渡して欲しいんだが…。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その後も何度か言葉を交わした後、カインは抱きかかえていたメルトをレイバトリオの背中に乗せてあげた。

 そして、メルトに頼んでいた”アレ”を受け取る…。


 「それを…何に使うの?」


 「まぁ、成功してからの秘密だ。全てが終わったら、メルにも俺特製のマジックボックスをあげるから待っていてくれ。」


 「ありがとう…お兄ちゃん…。

  大丈夫だと思うけど…気を付けてね…。」


 メルト無表情ながら心配そうにしている。カインは、そんなメルトの頭を優しく撫でてあげた。

 そして、レイバトリオにも声をかける。


 「レイバトリオ、メルトをよろしく頼む。」


 「はい。始祖様のご武運をお祈りします。」


 その言葉を最後に、レイバトリオは大きく羽ばたいて空へと飛んでいった。あっという間に上昇して姿が小さくなる。

 そして、2人と入れ替わるように…。


 ゾワァァァァァッ!!!


 物凄い死のオーラとともに、闇のゲートが出現した。やはり竜型ナニカはカインに狙いを定めているようだ。


 「お前の方から来てくれるとは…。

  まぁ、調度良かった。ここで殺ろうか。」


 カインはゲートの出現を確認すると、アイテムボックスΩから天夜叉を取り出した。その漆黒の刀を左腰に差して、左手をえる。

 そして相手の竜型ナニカも、闇のゲートから顔を覗かせて雄叫びを上げた。


 「グルルルルルルルッ!!!!」


 「さぁ、始めようか…。」


 カインと竜型ナニカの一騎打ちが始まる……。

次回、カインの秘策とは…。


読んで頂きありがとう御座いました┏○ペコッ

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