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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第2章 修行後と集い
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35話 呼びかけるモノ

残酷な表現があるので、不快な人は注意して下さい…。

 時はさかのぼる。メルトの試練が始まった頃、ソフィアとアルディオはザックの声が聞こえた地点へと急行していた。


 「かなり近いぞっ!!それに……。」


 「はい、モンスターの気配もしますっ!!」


 徐々に近付くにつれて、ザックの気配と襲っているだろうモンスターの気配が濃くなっていく。

 2人の予想通りの展開である。


 「うわぁぁぁーーっ!!!!」


 叫び声とともに、ザックの姿を視界に捉える。そして、そのすぐ後ろには……。


 「ガォォォオオオー!ッ!!!」


 金色の身体をした恐竜がザックを追いかけていた。その様子を見ていたアルディオは…。


 「おおっ!!!”ゴールドレックス”ではないかっ!!物凄く珍しいモンスターだから、売ったら大金になると主が言ってたぞっ!!

  だから、頑張って倒せっ!!」


 『ゴールドレックス』は、全長15mあるランクAモンスターである。物凄く硬い鱗におおわれており、上級魔法や上級闘技でも反射すると言われている。

 とても凶暴で、一度狙った獲物は捕食するまで追い続ける恐怖のモンスターだ。


 そんなゴールドレックスに追いかけられているザックに、倒せばお金になると声援を送るアルディオ。

 当のザックは倒せないから逃げているので、お金どころの話ではない……。


 「こんなモンスター無理だぁぁーっ!!

  見てないで、私を助けろぉぉおおーーっ!!!」


 叫びながら、アルディオとソフィアのいる所へ向かって全力で走ってくるザック。その後ろをぴったりと付いて行くゴールドレックス。

 助けを求める声に反応したソフィアは…。


 「カイン様に、土下座で謝罪して下さい。そうすれば、仕方無く命だけは助けてあげましょう。」


 「ふ、ふざけるなぁぁーっ!!

  この私が、汚い下民などに謝罪など出来るかぁぁーっ!!」


 向かってくるザックに対して、カインに土下座で謝罪すれば助けると提案したソフィア。

 しかし、またもやカインを下民扱いしており、謝罪する気など全く無いようだ。


 「では、そのまま食べられて死んでください。その後、ゴールドレックスを倒して死体を回収します。」


 カインが再び侮辱された事に、ソフィアは眉をしかめながら食べられろと告げる。全く反省していないザックに怒っているようだ。


 「私はバルシリガ家の者だぞっ!!!

  早くこのモンスターから助けろっ!!!」


 「分かっていると思いますが、私はナイトリーツ家の者です。貴方と同じ皇族であり、上下関係はありません。

  例えあったとしても、カイン様以外の命令は聞きません。」


 皇族である家の力を使って命令しようとするが、ソフィアも皇族なので意味が無い。

 そもそも、ソフィアはカイン以外の命令は誰であっても絶対に聞かない。親の命令でも、主人以外の命令は聞かないのがナイトリーツ家である。


 ザックとの距離が80mくらいに近づいて来た。

 そして、ソフィアは無理だと判断したザックが今度はアルディオに命令する。

 

 「おいっ、そこの狼女っ!!!

  私を助けるんだっ!!これは命令だぞっ!!」


 「狼女では無いっ!!!

  我は、誇り高い天狼であるぞっ!!!」


 ザックとゴールドレックスが60mくらいまで接近している。

 しかし、命令とは違う所を否定するアルディオ。自分は天狼であるとドヤ顔で大きな胸を張り、いつもの決めポーズをした。


 「何をやってるんだっ!!!

  ダサいポーズをしないで早く助けろっ!!!」


 「ダ、ダサいだと………。」


 ザックは自分と30mくらい離れた所にいるアルディオが、この状況で堂々とポーズを決めているので怒っているようだ。

 その言葉を聞いて、アルディオの身体が震えだす…。


 「…我の……。」


 何かをボソッと呟くアルディオ。

 その間にもザックとアルディオの距離は10mとなり、もう目の前まで迫っている。


 「何か言ったかっ!!!」


 ザックは、アルディオの呟いた声が聞き取れなかったので聞き返した。そして、2人の距離が5m…4m…。もちろんゴールドレックスも付いて来ている。

 しかし、アルディオは震えたまま動かない…。

 そして…2m…1m……。


 「おいっ!!目の前まで来てるぞっ!!!」


 「……我の…。」


 「さっきから何を言っ「我のカッコいいポーズをバカにするなぁぁぁぁぁあああーーーーーっ!!!!!」」


 ボォォォォォォォォォンッッッッッ!!!!!


 「ガァァァァアアアーーーッ!!!」


 アルディオは、怒鳴どなり声とともにゴールドレックスの顔面を思いっきり殴り付けた。

 物凄い力で殴られたゴールドレックスは、悲鳴を上げながら巨体なのに軽々と吹き飛んでいく。殴られた顔面は陥没しており、無敵の黄金の鱗など全く意味無かったみたいだ。

 そして、木々を薙ぎ倒しながらも勢いは衰えず、どんどん遠ざかって行く……。


 バキバキバキバキバキバキッ!!!!!

 バキバキバキバキバキバキッ!!!!!

 ドォォォォンッ!!!!!


 目には見えない遠くの場所で、ゴールドレックスが何かにぶつかった音が聞こえて来た。

 ただの腕力だけでゴールドレックスの巨体を、あそこまで吹き飛ばしたアルディオは…。


 「ザックよ…もう一度言ってみろ…。」


 物凄い威圧を放ちながらザックに詰め寄っていく。アルディオの周りの空間が、まるで歪んでいるようだ。

 そんなアルディオに対するザックの言葉は……。


 「す、素晴らしいポーズでしたっ!!!」


 かなりの冷や汗を流しつつ、しかも身体をプルプル震わせながら全力で褒めるザック。

 さすがに〈ダサいポーズでした〉とは言えない……言ったらゴールドレックスと同じ目に合うだろう。


 ザック渾身のお世辞を聞いたアルディオは…。


 「そうかそうかっ!!!では、我の素晴らしいポーズを目に焼き付けるが良いっ!!!」

 

 なんの疑いもなく、ザックの言葉に納得した。

 そして再び、ドヤ顔で大きな胸を張って決めポーズをするアルディオ。

 それを近くで見たザックは、ポーズというよりアルディオの大きい一部分が目に焼き付いた。


 「………カイン様に言い付けます…。」


 これまでのやり取りを、ずっと黙って見ていたソフィアは完全に呆れている。自分では倒せないゴールドレックスを、ポーズをバカにされた怒りで殴って倒すなどありえない…。


 「な、何故だっ!!!我が何をしたっ!!!」


 「では、あそこを見て下さい…。」


 ソフィアが、ゴールドレックスが吹き飛んで行った方向を指差した。アルディオがその方向を見ると……。


 「…………………。」


 なるべく破壊するなと言われていた樹海の木が、これでもかというくらいに折れ曲がっていた。

 ゴールドレックスが通った所は、まるで森がハゲたみたいになっている。

 おそらく、300以上の木が犠牲になっただろう…。


 「う、うむっ!綺麗にハゲたなっ!!!

  こ、これなら、何も問題は無いっ!!!」


 「問題は大有りですよっ!!!カイン様に報告しますので、覚悟しておいてくださいね。」


 「や、やめるのだっ!!!

  主に撫でてもらえなくなるではないかっ!!!」


 「自業自得ですっ!!私だけ毛づくろいやナデナデして貰います。」


 「ずるいぞっ!!!我がソフィアを毛づくろいするから、主には我がやって貰うのだッ!!」


 「どうしてそうなるんですかっ!!!私はカイン様以外の人には、絶対に毛づくろいを許可しませんっ!!!」


 毛づくろいの件で言い争うアルディオとソフィア。獣人従者達にとって、毛づくろいは大切な事なのだ。

 2人の争いを黙って見ていたザックだったが…。


 「どうして…あんな下民を……。」


 「ん?ザックよ、何か言ったか?」


 アルディオは、ボソッと呟いたザックに対して質問した。ソフィアはザックの事が大嫌いなので、完全に無視している。

 ザックの思いが爆発する。


 「どうして…どうして、あの下民なんだっ!!!特別でも何でもない、世界に大勢いる平民の1人だぞっ!!!

  

  私は、世界でも数少ない四色のエレメントの顕現者にして、皇族バルシリガ家の長男だぞっ!!!あんな奴とは存在価値が全く違うっ!!!この世界に祝福されて生まれてきた、大切な存在の筈だっ!!

  

  それなのに、どうして下等な平民の事をしたうのだっ!!!あいつの周りに集まって楽しそうにしやがってっ!!!

  私の大切な婚約者のメルトまでっ!!!

  

  どうして私の命令を聞かないんだっ!!!

  お前らみたいな顔も綺麗で強い女は、全員私に集まってくる筈だっ!!!いや、集まらなければならないっ!!

  誰でも私の命令を絶対に聞く筈だっ!!

  この世界に祝福されている私は、どんな事でも望めば手に入るっ!!!どんな事でも許される存在だっ!!

  メルトだって私の女だっ!!!

  お前らも全て私の女だっ!!!

  この世界の女は全て私のものだっ!!!

  

  本当は、みんな私の事が好きなろだろう?

  あいつに操られているんだろう?

  

  安心してくれっ!!!私の事が大好きな君達を助けてやろうっ!!!

  あの薄汚い下民を殺して解放してあげようっ!!!


  そして、心置きなく私の女になれっ!!!」


 突然狂ったように叫び始めたザック。

 今まで望めば全てが手に入っていた。自分の思うように全員が行動してくれていた。逆らう者も居なかった。逆らった者は……。

 だが、今回は誰も命令を聞かない。

 思うものが手に入らない。

 全てをあの男に奪われた……。


 カインに対する憎しみを、自分の都合の良いように解釈していくザック。勘違いを勘違いとして思っていない、現実として扱っている。


 そんな、ザックに対する2人は……。


 「身体が震えて動きません。人間は恐怖じゃなくても、嫌悪感でこうなるのですね…。」


 「うむ…気持ち悪過ぎて関わりたくない…。」

  

 ソフィアもアルディオも、完全に狂っているザックを冷ややかな目で見ていた。ここまでくると気持ち悪過ぎて身体が震えてくるようだ。

 そんな冷ややかな視線を感じたザックは……。


 「な、何だその目はっ!!!

  くそっ!!!くそっ!!!全部あいつのせいだっ!!!あいつさえ居なければ、こんな事にはならなかったっ!!!メルトだってあんな事言わなかった筈だっ!!!私は最高の男なんだっ!!!

  殺してやるっ!!!殺してやるっ!!!殺してやるっ!!!殺してやるっ!!!殺してやるっ!!!」


 ザックが暴走を始めた。憎しみが増大していき、憎しみ全てがカインへと向かっている。

 その時だった……。


 【憎いか?】


 「っ!!!!」


 突然、ザックの耳に低い声が聞こえてきた。心の底から震えるような恐怖の感覚に襲われる。


 【憎いか?】


 「憎い…。私から全てを奪ったあいつが…。」


 【殺したいか?】


 「殺したいっ!!!身の程を知らない下民をっ!!」


 聞こえて来る声に同調を始めたザック。目が血走っており、口からもよだれを垂らしている。完全に周りが見えていない。

 

 「独り言ですか…。完全に狂いましたね。」


 「そうだな。主を恨むなど筋違いだ…。」

 

 2人には、あの声が聞こえていなかった。

 元から暴走していたので、ザックの様子が変わった事にソフィアとアルディオは気が付かない。

 ただの譫言うわごとだと思って聞いていたが……。


 【力が欲しいか?】


 「欲しいっ!!何を引き換えにしていいっ!

  あの男を殺せるだけの力を、私に寄越せぇぇえーっ!!!!」


 【お前の存在と引き換えだ…。】


 「何だとっ!!!」


 言葉のままに力を要求するザック。

 今まで全ての言葉に同調してたザックだったが、〈存在と引き換え〉という事を聞いて正気に戻った。


 【では、さらばだ…。】


 「待てっ!!私は高貴な…………ぐわぁぁぁぁぁぁぁああーーーっ!!!!!!」


 別れの言葉を最後に、ザックの身体に異変が起こった。身体が溶け始めており、全身に激痛が走る。溶けた身体はドス黒い色に変色していた。

 突然の事態にソフィアとアルディオは……。


 「ザック・バルシリガの身体がっ!

  タダでさえ気持ち悪かったのに、更に気持ち悪くなるとはっ!!!

  一体何が起こったのですかっ!!」


 「こ、これはっ!!!」


 アルディオはザックの様子を見て驚愕する。5000年生きている神獣なら、ザックの状態を知っていても不思議ではない。


 「アルディオっ!!何か知っているのですかっ!!!教えて下さいっ!!!」


 ソフィアも、神獣ならば知っているだろうと思い教えて貰うように頼んだ。

 それに対するアルディオの答えは……。


 「………………これは変身だっ!!!」


 「はぁ?へ、変身ですか?」


 変身するというアルディオの発言が理解出来なかった為、聞き返すソフィア。

 この世界に変身するという力は存在しない…。


 「そうだっ!!!人間は、誰でもその気になれば変身をしてパワーアップするのだっ!!!だからソフィアも変身出来るぞっ!!!」


 「ふざけないでくださいっ!!!何が変身ですかっ!!!それに、私は今の身体で十分ですっ!!」


 「しかし、もう少し胸があっても良「まだまだ成長するんですっ!!!それにアルディオが大きいだけで、結構大きい方ですよっ!!!」…………そうか?」


 ザックが大変な状態になっているのに、論点ろんてんが完全にズレた話をしている。

 この間にも、どんどん身体が溶けていくザック。


 「だ、だずげでぐれぇ…がらたがどげる…。いだい…ぜんじんがいだい……。」


 顔も溶け始めている為、まともに言葉を発せない。人間としての原型も崩れてきている。

 しかし、そんなザックを全く見ていない2人…。


 「10年後に負けるのはアルディオですっ!!後で後悔しても知りませんよっ!!」


 「ふんっ!!我に勝つのは不可能だっ!!主も我を選ぶだろうっ!!!」


 「カイン様は、私が1番だと言ってくれましたっ!!!」


 「それは尻尾の事だろうっ!!!

  耳は我の方が良いと言っていたぞっ!!」


 「次聞いた時は耳も私が勝っていますっ!!」


 話がまた変わってきた…。耳も尻尾も今の状況でする話ではない。

 ザックの身体は下半身が完全に溶けてしまっている。


 「じにだぐない……じにだぐない……。」


 そんなザックの声を聞いて、さすがの2人もザックの状態を思い出した。


 「な、何だこれはっ!!!身体が溶けているぞっ!!!気持ちわるっ!!!!」


 「初めから溶けていましたよ…。

  だから、これは何かとアルディオに聞いたのです……。」


 「………こんな気持ち悪いは知らんっ!!」


 「変身の話は何だったんですかっ!!!」


 結局知らなかったアルディオ。そもそも、普通は頑張れば変身出来るという事はありえない…。

 そんな話をしている内に、ザックの身体は顔以外原型を留めていない…。


 「じにだぐない……。」

 

 「た、大変ですっ!!!原型が無かったら、ザック・バルシリガだと分かりませんっ!!死体でも良かったのに、どうして溶けるんですかっ!!!」


 「こんなに気持ち悪いのはザックだけだっ!!主も分かってくれると思うっ!!!」


 全くザックの心配をしていない2人。

 酷いように感じるが、実は初めてナタリシア城に泊まった時、メルトにザックの話を聞いていたのだ。

 

 常に、自分の思い通りになってきた男。

 気に入った女は、どんな手を使ってでも必ず手に入れて来た。女に恋人が居れば殺し、反対した両親も殺す。そして、ある程度して飽きたら、その女も殺していたらしい。

 何をやっても怒られない。両親からは可愛がられており、望んた事は全て叶えられた。

 気にいらない奴は殺し、自分の思い通りになる奴だけを生かしてきた。そんなザックに殺された人間は5000人を超えているらしい。


 皇族バルシリガ家の長男だったので、ナタリシア家としても中々手が出せなかった。問題ある行動は、全てバルシリガ家の領地で行われてきたからだ。

 ミストラルは捕まえる機会を狙っていたらしい。


 そんな男がメルトに目を付けた。さすがのザックも、ナタリシア家には命令出来なかった。だが、メルトも自分を愛していると思い込んでいたらしい。必ず手に入ると疑わずに…。

 適当に相手して、いつかボロを出した所をナタリシア家として処分する予定だったみたいだ。


 「じにだぐない…だずげで…。」


 ドロドロドロ……。


 「ふぅ…。気持ち悪い=ザック・バルシリガという事にしましょう。

  ……貴方はそんな事言っていますが、今まで同じように命乞いした人をたくさん殺しましたよね?」


 「うむ、同情なんてする奴はいない。何故溶けるいるのか分からないが、完全に自業自得だな。」


 2人は冷ややかな目で、ザックが溶けて無くなるのを見ていた。人の命を簡単に奪ってきた者の末路は醜いものである。


 「…じにだぐ………………………………。」


 ドロドロドロ……………ベタァ……。

 

 最後まで命乞いしたザックだったが、結局全てが溶けて黒い塊だけが残った。


 「……いくらザック・バルシリガと言えども、気持ちの良いものではありませんね。」


 「うむ…。だが、最後は人の命の重さを理解したのでは無いか?」


 「まぁ、理解するのが遅かったですけどね。」


 ザックだった塊を見ながら話しているアルディオとソフィア。最低な奴だったが、人間の死は見ていて気持ちの良いものではなかったらしい…。

 

 「とりあえず、アイテムボックスβに入れます。………………あれ?」


 黒い塊を回収しようとしたソフィアだったが、アイテムボックスβは全く反応しなかった。普通なら手をかざして念じただけで、中に収納する事が出来るのだが……。


 「これは生きているのか?」


 「分かりません…。

  そもそも、どうしてこんな状態に?」


 そもそも、ザックが溶け出した理由も分からない2人。この状態でも生きているのかと思っていた。

 その時だった……。


 ドクンッ!!!!


 「「っ!!!!!!」」


 突然、黒い塊が動き出した。心臓のように鼓動が聞こえて来る。

 まさかの状況に驚く2人。


 ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!!!


 黒い塊の鼓動がどんどん早くなっていく。少しずつ形態も変わって来ているようだ。

 そして、周囲に黒いオーラが溢れはじめた…。


 ゾワァァァァァッ!!!


 「このオーラはっ!!!!まさかっ!!」


 「凄い死のオーラだな…。今まで会った事は無かったが、これが絶対的な死を呼ぶモノか…。」


 2人の背中に戦慄が走る。アルディオが5000年生きていて、今まで会うことが無かった存在。

 最近になって現れたモノ…。


 黒い塊が形態され、どんどん形になってくる。大きさもどんどん膨れ上がり、触れた木を全て喰らうかのように吸収を始めた。


 ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!!…………………。

 

 黒い塊の鼓動が止まった…しかし、周囲には死のオーラを放ち続けている。

 形が完全に安定して、そこに居た存在とは…。


 「こ、これは…鳥?……いや、竜か…。」


 アルディオが呟く。そこには全長30mある巨体な竜の姿をしたナニカが存在していた。凹凸は全く無く、形だけが竜となっている…これがナニカの特徴だ。


 「……か、身体が…う、動き、ません…。」


 物凄い死のオーラに当てられたソフィアは、身体が完全に硬直してしまったようだ。震えた声で動けないと伝える。


 「…主に聞いていたより死のオーラが濃い…。このナニカは相当上位の存在のようだ…。」


 神獣アルディオでさえ、恐怖に感じる程の濃いオーラを放っているナニカ。以前カインと戦ったものより、かなり上位の存在みたいだが……。


 「グルルルルルルルッ!!!!」


 突然、竜型ナニカが叫び始める。そして、足元には黒いゲートが出現した。竜型ナニカの巨体が闇のゲートに沈み始める…。


 「ゲートだとっ!!!一体何処にっ!!」


 「ま、まさか…カ、カイン様を…。」


 「そうかっ!!!ザックの意思をっ!!

  やばいぞっ!!主のエレメントは、まだ覚醒していないっ!!」


 竜型ナニカの転移先を予想する2人。エレメントでしか倒せないナニカがカインを狙う。


 「グルルルルルルルッ!!!!」


 最後に叫び声を上げながら、竜型ナニカは完全に闇のゲートへと沈んでしまった……。

次回、倒せないナニカとの戦闘。


読んで頂きありがとう御座いました┏○ペコッ

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