表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/207

フランシスとオウギ

「私の名前はフランシス。この国の第二王女よ。あなたのことが知りたいわ。」

 オウギの前に現れた少女は腰のあたりまで伸ばした金髪を手で靡かせながら名乗る。顔は整っておりその翠の瞳が深い知性を感じさせる。服装は一般的な庶民と同じような服を着ており髪の艶とのちぐはぐさが異様な雰囲気を醸し出している。


「…初めてお目にかかります。オウギと言います。よろしくお願いします。」

 そんなフランシスを見てもオウギは動じることなく名乗り右手を差し出す。


「…ふぅん、…まずは合格ね。私が王女だからって無意味にへりくだるのは嫌いなの。…あなたは私をフランシスとして見てくれそうだわ。」

 そう言うとフランシスも右手を出しオウギと握手をかわす。王女という肩書に対して取り繕う者をフランシスは嫌う。自分自身を見られていないような気がするからである。だから時折り街に下りて、ただのフランシスを満喫するのだ。


「…ねぇ、フラン、オウギさんのことを知りたいってどういうこと?。」

 そのやりとりを見ていたエリザベスがフランシスに声をかける。 


「言葉通りの意味よ。…何故魔族を討伐出来るほどの力を持つ者が野に下っているのか。あなたの行動原理を知りたいわ。それに…どれだけの力を持っているのかも。これは…個人の問題じゃないの。国家の安寧に関するものよ。」

 フランシスの口から語られる内容は至ってシンプルだった。魔族に勝る力を持つ者に対する期待と恐れ。戦力と考えるか脅威と考えるか。その指針を定めるためにオウギの目的を明かせと言っているのだ。その答え次第では…ということも考えられる。


「出自については僕の中で整理がついていないので明かすことは出来ません。ですが僕の存在のせいで仲間に害が及ぶならアビリティカードを提示することまではできます。そして僕の目的ですが大事な人との約束を履行することです。具体的には世界を見てまわって、色々なことを知りたいんです。」

 フランシスの問いに対してオウギは怯むことも媚びることなく本心を語る。


「…大事な人?。…オウギ様の想いびとでしょうか。」


「オウギ様の大事な人?、お会いしたいです。」

 オウギの言葉の中の大事な人に反応を見せるエリザベスとユーリ。


「…そう…、アビリティカードを見るのはやめておくわ。あなたとは仲良くしたいもの。それにあなたの強さは知ってる。前聖騎士長がかけた聖母の加護を突破し、更に魔族を討伐した。それに今回の件も。…ただ一つだけ答えて欲しいの。…あなたにとって悪とは何?。」

 オウギの眼差しを受けたフランシスは問いただすことをやめる。その代わり個人的な質問をする。


「…僕の手の届く範囲を害する者です。ちっぽけな僕だけど、大切なものだけは…護り切ると誓っているので。」


「…ふーん、…あなたという人が少し分かった気がする。」

 オウギの答えを聞いた瞬間フランシスの体に一瞬動揺が走るが押し殺し平静を装う。


「ねぇ、フラン。そろそろ行かないとダメなんじゃない。」


「…そうね、私はもう行くわ。とても貴重な時間を過ごせたわ。」

 最後にオウギをチラッと見たフランシスは部屋をあとにする。











「どうでしたか王女様。噂の男は。」

 馬車に戻ったフランシスに御者が尋ねる。


「とても純粋な人。そして善悪の基準が人とは乖離している。その刃の行先は私にはわからなかった。」


「まるで建国の英雄の話を聞いた時のようだったわ。」


「…祖シルヴア様のお話ですか?。」


「えぇ、我が祖は人の本質を知り、仲間のために剣を振るい、敵のために涙したと伝えられています。」


「…それに値すると?。」


「わからないのよ。…でも敵対することは絶対にダメ。そう父上に伝えておいて。」


「御意。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ