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フランシスの戦場

「ふんふん、成る程、…仔細理解した。此度は反乱の制圧御苦労であった。国からそれぞれの領地に慰労金を出すこととする。それで鎮圧に参加した兵たちを労って欲しい。それとイシュタル家及びハルザーク家は取り潰しとする。当主並びにその配偶者は処刑。子弟は国の監視下に置く。

 その他の親族は三親等まで身分を平民とし野に放つこととする。」

 大公会議の会場に遅れて来たフランシスはセガール・コフィンから渡された書類に目を通し即座に沙汰を出す。その理解力と判断力並びに決断力は常人とはかけ離れており、いかに稀有な存在かが理解できる。


「取り潰しの2つの家の領地の管理は暫定的に王家の預かりとする。すぐにとはいかないが新たな大公家を作るつもりだ。…全く二つも同時に入れ替わるなど前代未聞。…骨が折れるわ。」

 フランシスが大きくため息をつく。この国を預ける大公家。当然その決定には多くの過程が存在しまた、候補を絞るだけでも上流階級独特の裏取引が横行することは目に見えている。そのことを考えると嫌気がさす。


「あーあー、…また王宮を抜け出して旅に出ようかしら。…そうよ、別に旅に出ていてもそこから指示を出せば良いのだし。…寧ろ媚を売る相手が不在なら…落ち着きが生まれるんじゃ…。」

 フランシスが椅子をパカパカやりながらそんなことを呟く。思いつきは閃きに近いものだったが考えれば考えるほどその利点が目立つ。本気で採用しようかとするが、


「フランシス様、それを儂等の前で言っては駄目じゃの。貴女ほどの才媛がその力を謎の行動に使うのを見過ごすことは出来んわ。」


「…そうよねぇ、…ねぇ、バーンスターク公、私と一緒に旅に出ない?。多分楽しいと思うのよね。貴公がいれば賊に襲われても安心だし。…そろそろあなたも引退して自由にいきたいんでしょ?。」

 ハイヘルムに発言を咎められたフランシス。ならばとそのハイヘルムを抱き込もうとする。実際ハイヘルムは元々自由を愛する武人であり、そろそろ世代交代も考えていた。そこに付け入るかのようなフランシスの発言。ハイヘルムもむぅ、と唸ってしまう。


「…フランシス様お戯れはおやめ下さい。そしてハイヘルム殿も真剣に考えないでください。」

 ザラスが2人に声をかけてやめるように諭す。このままではこの非常時に本当に王女と大公家当主という謎のパーティーが旅立ってしまうと本気で危惧したのである。


「…ダメかしら。…あーもぅ!、分かったわよ。さっさと終わらせてやる。それからならちょっとぐらい旅に出てもいいでしょ!。その時はバーンスターク公とカルスホルン公にお供してもらうから!。ちょっと危ない場所にだって行くんだからね!。」

 結局自由になるには目の前の山積みの懸案を片付けるしかないと悟ったフランシス。それならばと全力で解決にあたると決心しその後晴々と王宮を脱走すると明言した。更にそのお付きは武人ハイヘルムだけでなくアルタイルも連れて行く。通常ではいけない所は行くつもりなのだ。


「…え、自分ですか。…分かりました、アルタイル・カルスホルンの名に誓ってフランシス様をお守りします。」

 突如指名されたアルタイルだがカルスホルンは王家の敵を捻じ伏せる闘牛の一族。その王家の人間が武として欲しているのなら断る理由はないとすぐさま了解の意を伝える。


「では私は王宮へ帰ります。…疾さを最優先、貴族共に介入させない為には。候補者はどれくらい、…1つは武家の方がいいかしら。それなら…」

 アルタイルの返事を聞いたフランシスは立ち上がり王家へと帰還することを告げる。5人の大公が立ち上がり頭を下げる。それに一瞥もくれることなく部屋を出るフランシス。その眼にはこれからのことしか映っていなかった。







「…ハイヘルム殿、まんまと乗せられましたな。それにアルタイル殿も巻き込まれた。」


「ふふ、実に見事に約定を結ばされたわい。流石の傑物ぶりよな。」


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