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暁月

『ソ、ソノケンはナンダァ‼︎。.ナゼソンナ、ハキをハナッテイル!。』

 オウギの持つ剣を見た魔族が叫び声をあげる。本能が戦うことを拒否しているかのような感覚。それを無理矢理に押さえ込みこの場に立っていた。


「…この剣は自らの本質を形とする諸刃の剣。強さと弱さを兼ね備えた一振り。僕が抜きはなったこの剣の本質は『無』。…僕は空っぽなんです。その弱さを力に変える。」


『…ヨワサだと…。…だが…ワレラはスデにコウドウした。イマサラアトヘはヒケヌ。』


『ソノトオリ。ココでキサマをコロシチカラをエルか、ニゲカエリ、マオウサマにコロサレルカ。ソレナラバオマエを…コロス‼︎。』

 魔族のうち1人が魔力を纏いオウギに突進してくる。


「…1つ、選択肢を忘れていますよ。ここで…僕に滅せられる!。」

 向かってくる魔族に対しオウギが剣を振るう。


『…ナン…。コレは…クウカンマホウ!。ソノケンは…』

 一見すると何も影響を受けていない魔族。しかしその額には汗が滲んでいた。


『ナンダ、ドウシタ!。』


『アノケンにはフレテはナラナイ。カロウジテハンノウデキタガ…アノケンはクウカンをケズッテイル。オマエがフレレバフレタトコロはショウシツする。』


「正解です。この剣の軌道上は無になる。存在が消えるんです。僕より魔法に長けているなら効かないですけどね。」


『…シ、シンジラレン!。ソンナモノがアルナド!。ニンゲン、オマエはイッタイナンナノダ!。』


「一応は人間ですよ。僕は…人間で或る為に旅をしているのかも知れない。」


『…ヌッ…。オレがマエにデル。オマエのクウカンマホウでサポートしろ。』


『…ワカッタ。…ショウブはイッシュンだぞ。』

 その瞬間魔族の姿が消える。


「…上か!。」


『マノホノオにヤカレロ!。』

 上空に転移した魔族が蒼い炎を放つ。直線的なその炎は凄まじい速さでオウギに迫る。


「…蒼い炎。…そんなもの消すしかない。『開口』。」

 オウギの前に黒い円が出現。蒼い炎はそこに吸い込まれる。


「返しますよ。『天窓』。」

 地上にいる方の魔族の目の前に黒い円が出現。そこから先ほどの蒼い炎が飛び出す。


『…ココマデセイミツにツカウのか。』

 空間魔法で回避する魔族だが、片腕が焼かれてしまう。


『…オイ!。…チュウイを…』


「遅い!。…まずは1人。」


『…グッ…ガハッ……カラダが……ネジレ…テ…』

 地を蹴り一足飛びに上空の魔族の元へ辿り着くオウギ。そして暁月を魔族に突き刺す。刺さった部分を中心として渦を巻くように魔族の体が吸い込まれ消える。


『…クソが!ナンナンダオマエは!。マゾクをコロスニンゲンなどイテイイハズガないンダ!。…ユルセトモよ。モロトモケシサル‼︎。『ゼックウ』。」

 地上の魔族が進行形で存在が消える同胞とオウギに向け黒い魔力を放つ。オウギを包み込むように展開された魔法は一息に収束し閃光をもたらす。


『…ド、ドウダ。ゼンマリョクをツカッタ、キンジュだ。アトカタもノコルナイ。シタイはクエナイがシカタナイ。』


「や、やったのか!。よくやった魔族よ!。それでこそ契約した甲斐がある。さぁ、あとは雑魚ばかりのはずだ。思う存分食い尽くせ!。」

 戦いの行く末を見ていたメトロノームが安心したように言う。不安要素であったオウギ。一人欠けたがそれでも排除に成功したことで反乱の成功を確信する。


『…ハァ、ハァ。…ソウサセテモラウ。アノオトコヌキデモカベをヒトツクライコエレルハズだ。』


『さくっ。…カチ…キンッキンっ‼︎。』

 何もない空間から白い刃が突き出る。差し出された刃は十字を切りそこから空間が崩壊。オウギが飛び出してくる。空いている手には物言わぬ魔族の死体が握られていた。


『…オマエ⁉︎…イッタイナニを!。あのマホウはフレタモノスベテをホウカイサセルマホウだ!。マオウサマとてレイガイではナイ!。ナゼイキテイル!。』

 生還したオウギを見て今度こそ本能に抗えなくなった魔族。知らず知らずのうちに後退りしていた。


「…触れなければ問題ありません。魔法が触れる前に自分を暁月で刺しました。」

 暁月は触れたものを無にする。しかし実際はこことは別の次元への幽閉であり、それを利用しオウギは回避していたのだ。


「…出てくるのに苦労しましたがね。魔力をほとんど使ってしまった。ですが避けなければ死んでいたなら安いものです。…中の奔流に飲み込まれこちらの方は亡くなっていました。…そして…あなたももう死んでいます。」


『…クッ…カテナイ。…ヒクシカ…ガッ⁉︎、ナンダ、カラダの…ナカで…』

 心臓の位置を抑えうずくまる魔族。


「…丁度良かったので持って来たんですよ。それをあなたの中に送り込みました。…別次元の流れに破壊されろ。」


『…グアァ!、ゾウキが、ゾウキが!。モッテイカレル、イジデキナイ!、マニアワナイ!。…た、タノム、タスケテクレ!。』


「あなたたちは第四位階と言った。そこに至るまでに何人の人を狩ったんです?。…報いを受けてください。」


『ソンナ!オレタチマゾクがコンナトコロデーーーーー……。』

 最期は体が折り畳まれるように消え去った魔族。残ったのは尻餅をつき失禁するメトロノームだけだった。

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