蠢く影
「…おい、本当に大丈夫なんだろうな。」
『シンパイはムヨウだ。ワレラがチカラをカシテヤッテイル。オマエはミズカラのヨクボウをカナエルコトにシュウチュウスルンだな。』
「…頼むぞ、お前らと手を組んでいることが分かれば俺の立場はない。全てを失うことになる。」
『ダマレ。スデにケイヤクはナッタ。オマエのノゾムモノをクレテヤル。そのダイショウに…』
「分かっている、…強者の死体を6体用意する。丁度この街には今この大陸有数の強者が集まっている。そいつらを差し出そう。」
『コチラがテをクダソウか?。』
『マテヨ、ソレはメンドウだ。シタイをワタスコトまでがケイヤクだ。』
「それは大丈夫だ。こちらも手練れを用意している。それに街の外にも部隊を配置している。それぞれの苦手な相手をぶつけるつもりだ。ただ…」
『タダ…ナンだ?。ナニカアルノか?。』
「1人だけ情報がない。突然に任命された者だ。名は確か…オウギと言ったか。」
『…オウギ?、…ドコカでキイタコトが…』
『アレジャナイか?アルビデさまが…イッテイタ。』
『…ソウダ、テダシムヨウのオトコ。』
「何⁉︎…だがそいつは片付けないといけない。そいつが仕える主人は邪魔だ。そいつ諸共消すつもりだ。」
『…ドウスル。…テをヒクカ?。』
『イヤ、ワレラはテをクダサナイ。ナラバアルビデさまのコトバにハンスルコトはナイダロウ。ソレニ、ソレホドのオトコ、クエバサラにウエにイケル。』
『…ソウダナ、ワレワレもソロソロカベをコエル。ヨンイカイへのカベをな。』
「…ではその男も消すぞ。そして…我が一族がこの大陸の全ての権利を掌握する。」
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「オウギ様、今日の会議はどうだったのですか?。」
ノードルマン家から帰宅したオウギにユーリが尋ねる。ユーリ達は先に帰宅しており部屋で待機していた。部屋には大きな袋がいくつも置いてあり中から服などがのぞいている。
「…うん、まぁ上手くいったみたいだよ。闇奴隷についても各領地で取り締まりを強化してくれるかことになった。」
「そうですか!なら、クリーナさんのお仲間さんも救われますね。」
オウギの発言に無邪気に喜ぶユーリ。
「そうだね、そうなると…信じているよ。」
一方オウギはユーリのように手放しで喜ぶことはしない。この世界はそんなに甘くない。既得権者は自らの利益を手放したりしない。そうそう上手くことが進まないことを知っている。人の汚さを…知っている。
「…それにしても…カノンその格好はどうしたの?。」
話題を変えるようにオウギが言う。視線の先のカノンはお姫様が着るようなモコモコのドレスを身に纏っていた、ドラゴンなのに。
「あの、ティーシャ様が似合うからと。…私も沢山買っていただいてしまいました。」
ユーリが申し訳なさそうに話す。ティーシャの暴走を止められなかった自分を恥じているようだった。
「そうか、なら…明日にでもお礼を言っておくよ。そしてユーリは僕に買ってもらった服を見せておくれ。ちゃんと見たいからね。」
優しく告げるオウギの言葉にユーリは頷く。
『…きゅ……スリスリ…』
私は今着てるんですけど!とカノンがオウギに擦り寄る。
「カノンも似合っているよ。でも…普段から着ていると汚れちゃうから、大事な日に着ようね。」
『キュ!。』
オウギの言葉に満足したのか了解と片腕をあげるカノン。災いの渦に巻き込まれていることを知らないオウギ達の夜は更けていく。




