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ノードルマン家での夜

 


「どうぞこちらの部屋をお使い下さい。」

 オウギはエリザベスによって部屋に案内されていた。その背中にはユーリ、頭の上にはカノン、エリザベスがグーちゃんを抱いている。


「ありがとうございます。すいませんグーちゃんまで運んでもらって。」


「いえ、構いませんよ。…あの、このスライムは…」

 エリザベスが言い淀む。


「…あぁ、珍しいですよね。グローリースライムと言って成長すればスライムの王と呼ばれる程強くなるそうです。ユーリがテイムしたんですよ。」


「グローリースライムですか。昔本で読んだことがあります。…なんの本だったかは忘れちゃいましたけど。」


「…ふぁ?、あれ…ここは…暖かい。……お、おおおおおおおおおおオウギ様!。す、すいません。あー!よ、よだれが!。」

 オウギにおんぶされていたユーリが目をさます。一度は微睡みもう一度眠りにつこうとするが状況を理解してテンパる。オウギの背中にはユーリのよだれがベッタリと付着していた。


「…うふふ、完全に身を任せているんですね。…羨ましいです。」

 オウギの背中で安心しきっていたユーリを見てエリザベスが羨ましと言葉を零す。それはエリザベスの本心から出た言葉だった。


「…ゴシゴシッ!。…お、オウギさま、もう下ろしてくれて大丈夫ですっ!。」

 口元を拭ったユーリがオウギに下ろすよう願い出るが、


「いいよ、このままベッドまで運ぶから。」

 オウギにベッドまで運ばれてしまう。


「あぅあぅ、…ありがとうこざいます。」

 顔を赤くするユーリ。枕に顔を押し付けゴロゴロする。


「それではオウギ様、失礼致します。明日は朝8時にお迎えに参ります。」

 それを見たエリザベスは微笑むと挨拶をして部屋を出ようとする。


「分かりました。何から何までありがとうございます。」


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「…ティーシャ、君が即座に認めるとは思わなかったよ。」

 空に星の輝きが光る頃、ノードルマン家の主人であるザラスの寝室にはティーシャとザラスが椅子に座り向かい合っていた。


「彼の心は…深い海。どこまでも澄んでいて、全てを受け入れる。そしてその恵みを分け隔てなく分配する。しかし一度怒れれば全てを排除する災厄となる。」

 ザラスに向けて唱えるように言うティーシャの目は薄っすらと青く光っていた。


「それが視えたのかい?。…全てを受け入れるか。それが亜人族なら構わない。しかし魔族にもその手が差し伸べられる可能性もあるか。」

 ティーシャの適正は祈祷師。そのレベルは7。希少適正である祈祷師の能力の中に他心通と呼ばれるものがある。他人の心の中を覗く力。その本質を視る力。ティーシャの前では絶対に浮気は出来ないのである。


「彼なら理由なく排除することはしないでしょう。逆にもしこちらに非があれば…その力がこちらを向くことになるかもしれませんよ。魔族との戦い、長く続くその戦い、今となっては何が所以かも分からない。彼に種族は関係ないでしょう。その個人に対しての立場を重んじる。」

 例え魔族だろうとオウギ自身が道理に反していないと考えれば敵対しない。逆に人族でもオウギの正義に反すれば敵対の対象となる。ティーシャはそう考えていた。


「政には向かないが友には欲しいタイプだな。こちらが友好を示せば握り返してくれる。」


「私が彼を拒む理由はないわ。…それにあの子達もとても可愛いもの。エリーが大きくなっちゃってあまり構ってくれないから。」

 ティーシャが言っているのはユーリ、グーちゃん、カノンの事である。2匹の魔物は言うまでもなく、体は大きいがまだ子供であるユーリもティーシャの心を掴んでいた。


「…となると私に彼を拒む事は出来ないな。…ただしエリーはまだ嫁にだすことはできん!。と言うか嫁には出さん。」


「貴方…自分が何を言ってるか理解してくださいね。」


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