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自然の猛威

次回更新はお休みさせていただきます。

次の更新は6月27日になります。

「…オウギさんは手を出さないでくれ。私が…ガードルとやる。…安心してくれ、もう衝動に飲み込まれたりはしない。」

 そう言うクリーナの周りの光は点滅を繰り返し活性化していく。クリーナに備わる魔力を贄にその力を増しているのだ。


「…目覚めたばかりのそんな力で俺に勝てると思うなよ!。」

 オウギが手を出してこない事を確認したガードルは右手に剣を、左手を懐に差し入れクリーナに正対する。そして出した左手には黒い玉が握られていた。


『…モクモクモク…』

 ガードルがその玉を地面に叩きつけると黒い煙が立ち上がる。


(…これは…ただの煙じゃないな。僅かにだが…魔術が込められている…マジックアイテム!。…ガードルの気配が消えた?。いや、飛散している魔力が邪魔で魔術で察知できないんだ。対魔法使いのアイテムか。)

 立ち込める煙の中オウギは冷静に状況を分析する。


「…クリーナさん、気をつけて下さい。この煙の中では…」


「大丈夫だオウギさん。…全部分かってる。」


「…死ね!クソ餓鬼!。」

 ガードルがクリーナの背後から現れる。上段に構えたその剣を今まさにクリーナに振り下ろす。


「…馬鹿な…。なんだこれは!。」

 ガードルの振り下ろした腕は凍りついていた。クリーナの足元から氷が立ち登りガードルの腕を捉え固定していた。ガードルは腕を支点に宙に浮いたままになる。


「このマジックアイテムは魔力探知を阻害する。それにこの剣もアンチマジックの剣だぞ!。それを…」


「これは魔法じゃない。精霊が行使するのは自然の力。いくらアンチマジックでも自然の猛威には敵わない。」


「…そしてこれが精霊剣『ディラン』だ。。ガードル、あんたのその身に枷を刻み込む。」

 クリーナの手には七色に輝く大剣が握られていた。時として人間に災いをもたらし時として恵みをもたらす大自然。その力の集約とも言える業物だった。


「…ごくっ、…ぐっ!。ぐぁぅぅぅう‼︎。」

 クリーナの持つ剣の輝きに気圧されたガードル。一瞬の逡巡の後腰から小さなナイフを取り出し凍りついた右腕の根元から切断する。


「…はぁはぁ、…言っただろ優秀な冒険者は…奥の手を取っておくものだと!。」

 そう叫ぶガードル。すると氷漬けにされた右腕が爆発する。ガードルの最後の手段。体に仕込んだ爆薬で敵の目を眩ませる。その隙にガードルは駆け出す。


「…待て!。…あ?なん…だ?これ…。」

 精霊の力を借りるクリーナには逃げ去っていくガードルの姿を確認できていたが足を踏み出すとよろめいてしまう。初めて精霊の力を借りたため自分の容量の限界が分かっていなかったのだ。


「クリーナさん!。」

 オウギがクリーナを抱きとめる。そのお陰でクリーナはなんとか立ち直るがガードルは一目散に走り去る。運がガードルに味方したかに見えた。


「…くそ、ガードルが!。このままじゃ…逃げられちまう。」


「大丈夫です。僕には頼りになる仲間がいます。」

 ガードルが走り去ったであろう方向を見ながらオウギが言うのだった。







「…くそくそくそ…あの餓鬼が…はぁはぁ…」

 ガードルは左手で右肩を押さえながら走っていた。その頭の中にはクリーナとオウギに対する怒り、恨みが渦巻いている。


「…今に見てろ。必ず…殺してやる。」


「そうはさせません。」


「っ⁉︎、…お前は…オウギの奴隷か。…今は時間が惜しい。一太刀で殺す。」

 ユーリの声に驚いたガードルだがオウギの側にいた少女だと分かると即座に排除しようとする。そしてすれ違い様に三度斬りつける。


「…奴隷は雑魚か。…まぁこの死体を見れば更に追跡が遅れる筈だ。俺はその間に…」

 ガードルの言葉が止まる。首筋に当てられた刃の気配。濃密な殺気。


「…馬鹿な…。俺は確かに…」


「あなたに説明する必要はありません。カノンちゃんお願いします。」

 後ろを振り向こうとしたガードルに雷光が降り注ぐ。


「…ぐっ、ぐあぁぁぁぁぁ‼︎…」


「やりましたオウギ様。読み通りです。」

 気絶したガードルを拘束しながらユーリはオウギの読みの確かさに賞賛を贈るのだった。

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