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裁きの獄炎

「オウギ、お前…魔法使いだったのか⁉︎。」

 ガードルは雷光に打ち倒された仲間を見つめながら言う。オウギの事をある程度出来るとは思っていたが魔法まで使えるとは思っていなかったようだ。


「あなたに教える必要はありません。…腕を上に上げて膝をついてください。それ以外は敵対行為とみなし即時排撃します。」


「…っち、ついてねーな。」

 オウギの言葉にガードルは両手を上に上げ跪く。目の前のオウギは魔力を展開している。元腕利きの冒険者のガードルと言えど速さでは敵わないだろう。


「…ガードル…これまでのこんな事をしていたのか!。なんでこんな事をする必要があった!。あんたの店は成功してるって言ってただろ。」


「はんっ、そんなの決まってる。金がいいからだよ、ちまちま服を売る何倍も金になる。そんでスラムのゴミも片付けられる。俺にとっても街にとっても良いことじゃねーか。」

 ガードルがクリーナの問い掛けに対して答える。


「それよりそろそろ腕が疲れてきちまった。さっさと警備隊にでも突き出せよ。まぁ、大した罪にもならんだろうがな。」


「…そうなの?オウギさん。」


「この国では違法に奴隷を徴収するのは大罪だ。でも…」


「そうさ!スラムの餓鬼どもにはそもそも人権が存在していない。だからその罪にはあたらない。だから俺たちの罪は…精々街の風紀を乱したこととクリーナに暴行を加えようとしたことぐらいだろうな。」


「そんな…そんなのって…おかしいよ!。私達は…生きてるのに!。生まれたのがここだったら…一生ゴミのままなの!。」

 クリーナが泣き崩れる。ガードルに利用されていたのが悔しくて、悲しくて、それよりもっと深い所で自分達がそもそも存在することを認められないことが…信じられなくて。自分でもどの感情かわからないまま涙が頬を伝う。


「恨むんなら…テメェの親を恨むんだな。さて…残念だが楽しいおしゃべりの時間は終わりだ。…オウギ立場逆転なんだよ。」

 ガードルが立ち上がる。その瞬間オウギに向かって矢が降り注ぐ。


「オウギさん!、…ガードルあんたは!。」


「不測の事態に備えるのも一流の冒険者では当然のことだ。さっさとズラからせて…な⁉︎。」


「勿論分かっていました。それでも…クリーナさんと話す時間を取りたかった。それで改心してくれれば良いと思っていました。でも…もうだめだ。」


「クソが…お前ら撃ちまくれ!。」


「無駄です。『深淵にて咎人を救済するものよ。現世にその裁きを顕現せよ』『獄焔』。」

 オウギの体から黒い炎が湧き上がる。弓を構える者、クリーナによって倒された者、オウギの雷を受けた者それぞれに等しく降り掛かる。


「その火は裁きの焔。犯した罪が多く重いほどその身を焦がす。しかし死ぬことはありません。癒しながら燃やしていく。いつ終わりかも知れない業火にその身を焦がすがいい。」

 獄炎に襲われた者達はその痛みに転げ回る。


「…っち、…役立たずどもが。俺がやってやる。」

 ガードルだけは獄炎に襲われていない。腰につけた剣を抜きオウギを睨みつける。


「クリーナさん、お願いします。貴女が断ち切るべきだ。」


「…みんな力を貸してちょうだい。私は目の前の男を倒したい。」

 そのクリーナの願いに応えるように色とりどりの光が溢れる。


「ガードル!私はあんたと決別する。」


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