初めて見た姿
当然入ってきたオウギが言う言葉、精霊術師。それはユーリのモンスターテイマーと同じく希少な適性。
「…お、オウギ様!。いつの間にお戻りになられていたのですか!。」
突然のオウギの登場に驚くユーリ。
「…あんたが…オウギか。気を失う前に言っていた事は本当なんだろうな。私は…1人じゃないって、あんたは分かってくれるって。」
「はい、クリーナさんが持つ悩み、そして可能性を僕は助けたい。」
「今までは確証が持てませんでしたが…今の現象ではっきりとしました。クリーナさんの周りには小さな何かが溢れている。クリーナさんがその存在を認めないから姿を見れないだけ。彼等は…貴方と共にありたいと思っている。」
オウギがクリーナに語りかけるように言う。その目には白い光が灯り違った世界を覗いているようだった。魔導師としての適性を使いなにかを知覚しているオウギ。しかしその存在に干渉する事は出来ない。
「…僕ではそこまでしか出来ません。ここからどうするかは貴方次第だ。」
「…私と共に…ありたい?。」
「えぇ、彼等はとても寂しがり屋だ。人と共にありながらその存在は気付かれない。人の役に立ちたいのに知られない。そんな彼等と世界を繋ぐ架け橋が精霊術師であるクリーナさんです。」
「…じゃあ…最近私の周りにチカチカしてたのは…私が見えてるって気づいていたから…」
「ええ、そうです。自分達に気づいてくれている。それは精霊達が心待ちにしていた人なんです。」
「……わかった。…どうすればいい?。…どうすれば私は見ることが出来るようになる?。」
意を決したようにクリーナが言う。今まで自分を害する存在と思ってきて周りには理解されず苦しめられた存在。それを認めるのはそれなりに覚悟がいることだっただろう。
「精霊は既に歩み寄っています。あとはクリーナさんが一歩、一歩だけ前に進むだけでいいはずです。」
「…一歩…か。今まで…拒絶したりして悪かった。…けどお前らも悪いんだぞ、いきなり見えるようになって…チョロチョロしやがって。でも…取り敢えず触れ合ってみてーから、姿を見せてくれよ。」
目を閉じながらクリーナが周りにいるであろう存在に話しかけるように言う。その紡がれる言葉と同調するようにクリーナの体から光が漏れます。
『…カラカラ……カラカラカラ…』
室内に音が響く。
「ふぇ?…な、なんですか!。」
「落ち着いてユーリ。僕達に影響はない。」
「…あぁ、分かった。お前らの存在を私は…否定しない!。」
ユーリの言葉が聞こえていないかのように目を閉じていたクリーナがカッと目を開く。そしてクリーナの周りの光もピークを迎える。
「…そんな形をしてたんだな。…結構可愛いじゃねーか。」
光が収まった時クリーナの肩や頭の上、床などに手のひら大の人型の精霊がいた。それはまるで子供のおもちゃのような見た目であった。個体によって若干の造形の違い、そして色が異なっている。
「…ふんふん、成る程。…ってそれ大事件じゃねーか!。」
クリーナの肩に乗る青い精霊が耳元でなにかを呟く。それを聞いたクリーナは慌てて立ち上がる。
「…?どうかしたんですか?。」
「…スラムに人が入った。子供達を…片っ端から追い回している!。」
クリーナが片目を閉じながら言う。
「…だめだ…、ここからじゃ少し遠い!。クソ!私は守るって決めたのに!。」
まるでその現場が見えているかのように話すクリーナ。
「…安心してください。僕とユーリが行きます。どちらの方角ですか?。」
「…どちらって…オウギさん達には感謝してけど…戦えないだろ?。」
「申し遅れました僕はオウギこっちがユーリ。…2人とも冒険者だ。…それでどっち?。」
2人分の冒険者カードを提示してオウギが促す。今は一刻の猶予もないことは明白である。
「…私も行く。付いてきてくれ。」
クリーナも即座に判断すると小屋を飛び出していった。




