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グランスパイダー

「…僕言ったよね、食べ過ぎたらダメだって。」

 食べ放題形式の晩御飯開始から2時間が経過していた。少し呆れた顔をするオウギの前には椅子にもたれかかり青ざめた表情のユーリとお腹がパンパンに膨れうつ伏せになれず仰向けになっているカノンがいた。


「も、申し訳ありません…オウギ様。このような醜態を晒してしまい…本当にごめんなさい。」

 ユーリが涙目になりながら謝罪する。オウギの忠告は聞いていた。しかし目の前に並ぶ料理に対する好奇心が勝りついつい食べ過ぎてしまった。主人に大食らいの奴隷と思われてしまう。お金のかかる奴隷は愛想を尽かされてしまうかも知れない。その恐怖も顔が青ざめたいる原因の1つである。


「いや、別に良いんだけどね。確かに美味しい料理ばっかりだったしね。でもしばらくこの宿にいるんだしその度に動けなくなっちゃったら大変だよ。」

 ユーリの頭を撫でながらオウギが言う。その際に少しだけ魔法を使いユーリの胃の動きを活発にして消化を促すこともする。


「…あ、少し楽になりました。オウギ様、ありがとうございます。」


『キュ…キュ……キュウ。』

 その様子を見ていたカノンが私にも魔法を使いなさいと言わんばかりに鳴く。


「カノン…。君はもう野生では無いよね。そんな格好してたら襲われちゃうよ?。」

 注意しながらもカノンのお腹に触り魔法を使う。少しくすぐったいのかカノンがコロコロ転がる。


「そんな格好見たらお母さんがなんて言うかな?。」

 カノンの鼻を摘みながらオウギが言う。


『キュウ⁉︎…キュキュイ!』

 オウギの仕打ちに反撃に出ようとするカノンだがブレスを吐こうとすると何か他の物が出そうになる為何もできない。


「あの…お客様申し訳ありません。そろそろお時間となっております。」

 宿の従業員がオウギに告げる。この宿の食堂は料理を置くスペースを多く取るため部屋の大きさの割に座席数はそこまで多く無い。なので食べ終わって空いた席に案内していく方式なのだが最後まで残っている客は珍しい。


「あ、はい分かりました。ユーリ、もう立てるかい?。」


「はい、大丈夫です。」


「カノンは…ダメそうだね。ちゃんと反省するんだよ?。」

 カノンを抱えながらオウギが言う。


『キュア!』

 分かってるよ、と右手をあげるカノン。


「それじゃあ部屋に戻ろうか。」

 オウギ達三人は部屋に戻っていく。その後は散策で疲れたのかユーリとカノンは倒れるように眠ってしまう。それを見てオウギは食べた後すぐに寝ちゃあんまり良く無いんだよなと寝顔を見ながら思いつつ時間を過ごした。


 ---------------------ー


「今日は何か魔物を狩りに行こう。この辺では魔物の生け捕りの依頼が多いらしいよ。」

 次の日、オウギ達は街の外に出て魔物を狩ろうとしていた。


「生け捕りですか?。えーと、どんな魔物なんでしょう?。」


「グランスパイダーだね。この魔物の糸は丈夫で服の材料になる。だから生け捕りにして渡すと報酬が良いんだよ。」


「飼うってことですか?。それならそこまで強くはないんでしょうか?。」


「うん、普通の蜘蛛より少し大きいだけだね。ただ、見つけにくいんだよ。グランスパイダーは個体によって吐く糸の色が違うんだけど…それを使って隠れるんだよ。」

 水色の糸を吐くなら高い場所の木の枝の間に張って空に擬態、茶色なら木の幹に擬態と個性を生かした隠れ方をする。その為推奨ランクはDランクとなっている。


「…それは大変ですね。」


「だから…違和感があれば……」


『…クゥウワ!』

 2人の会話を聞いていたカノンが鳴き声をあげる。


「…カノンちゃん?。…きゃ⁉︎。何か落ちてきました!。」

 カノンの行動を訝しんでいるユーリの目の前に青い塊や緑の塊が落ちてくる。


「え?、これだよグランスパイダー!。カノン、ありがとう!。」

 落ちてきたの糸に包まったグランスパイダーだった。カノンが鳴き声に魔力を含ませることによってグランスパイダーの体を硬直させ落としたのだ。


『…プイ…。』

 オウギに撫でられたカノンがべ、別に褒めて欲しかった訳じゃないんだかね!。とそっぽを向く。しかし尻尾はユラユラ揺れてオウギの頭を殴打しているので隠せてはいない。


「…ふわぁ、綺麗な色ですね。」


「グランスパイダーの糸は自然界に存在する糸でも指折りの彩りだからね。高く買い取って貰えるんだよ。」


「さて、次は少し強い魔物のところに行こうか。腕が鈍るといけないからね。それにユーリもそろそろだと思うし。」


「モンスターテイマーとして、初のテイムをする時だよ。」


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