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エリザベスの手土産

「…エリザベス…ノードルマンだと⁉︎。.まさか…」

 突如現れたエリザベス。その名を聞きドーマとガロウが驚愕する。エリザベスと言う名前、更にはそれを冠する姓。


「あぁ、オウギ様。ようやくお会いすることが出来ました。あの時は時間がなかったとはいえ無礼を働き失礼いたしました。改めてお礼を言わせていただきます。ありがとうございました。」

 しかし周りの様子など気にもとめずオウギの姿を目に止めた途端エリザベスは駆け寄りオウギの手を握りしめ、感謝の言葉を口にする。その様子は飼い主に再会したペットの様だった。


「ちょ、ちょっと落ち着いてください。…えーとどうしてここへ?。」

 一旦エリザベスを落ち着かせたオウギ。エリザベス来訪の理由を尋ねる。


「それは勿論オウギ様に会う為ですわ。…【なんでも魔族から街を救ってくださったとか。】オウギ様には感謝してもしきれませんわ。」

 魔族の部分を小声にして言うエリザベス。自分のところまでオウギの名前が伝わっていなかったことからオウギが秘密にしたがっていることを察しての行動だった。


「…あなたは一体何者なんだ⁉︎。」

 エリザベスのオウギに対する並々ならぬ態度を目にしたドーマは畏敬の念を禁じ得ない。エリザベス・ノードルマンといえば治癒魔法の天才で聖女とまでいわれる少女。さらに名家の令嬢である。それが側からみてもわかる好意を振りまいている。


「ですから、僕はただのノージョブですって。…エリザベス様、何かアイデアがあるのですか?。」


「エリザベスだなんて…。どうぞエリーとお呼びください。」


「…エリー、何かアイデアがあるんですか?。」


(呼び捨てだと⁉︎。…普通頼まれても断るだろ!。)

 エリザベスを呼び捨てにしたオウギの方に凄い勢いで振り向くガロウ。


「えぇ、ございます。以前オウギ様のお話を聞いた際こちらが役に立つのではないかと思いまして。『パンパンッ!』エリック!、此処に。」

 エリザベスが手を打つと何処からともなくエリックが現れる。


「おぉ⁉︎。」


「な、なんだ…一体何処から。」

 ドーマとガロウ、そして先程から蚊帳の外だったシールが驚く。3人の探知ではエリックがどの様に現れたのかが理解できなかったのだ。


「…オウギ様どうぞこちらをお使いください。」

 エリックから一枚の紙を渡されたエリザベスはそれをオウギに差し出す。


「これは?。…凄い魔力が籠っていますね。」


「ギルドカードという仕組みの原本です。全てのギルドカードはこれを元に作られています。」


「これに手を触れていただくとカードが出現します。そのカードはオウギ様だけしか使えずそしてオウギ様が許可した項目のみ開示します。」


「…つまり俺たちのカードの上位互換ってことか。良かったじゃねーか。」


「ありがとうございます。でも…本当にいいんでしょうか?。」


「…オウギ様はまた誰かの為にその力を振るうのでしょう?。それを止める理由が私にはありません。」


「…有り難く使わせていただきます。」

 そう言いオウギが手を当てると紙からカードが出現する。


「…それではあなたには前線に出ていただくということでいいですか?。」

 それを確認したドーマはオウギに了承を取る。


「はい、僕が前線に出ます。ただ全てを討伐出来るかはわかりません。なので…」


「分かってる。街との間には俺たちが詰める。絶対にこの街には魔物は通さない。多少の討ち漏らしは安心しろ。」

 ガロウが胸を叩きながら言う。


「オウギ様、ご武運を。」


「…頑張りますよ。僕の全てを賭けて。約束は守ります。」

 オウギの脳裏に奴隷の少女の姿が浮かぶ。名前を聞く約束をした。必ず自由にする。


「それでは…参りましょうか。混沌の氾濫へ。」

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