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空に歌えば  作者: カツオ
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第四話:黒崎、悲しみの笑顔

 だんだんとバイクのふかし音が近づいてくる。

 ついに俺の人生も終わりを告げたな。

せめて、もっと充実した人生を送りたかったな。

稲垣は落胆して崩れると、『稲垣〜』って黒崎の声が聞こえた。

 ヤラれる。稲垣は必死に窓の下へと隠れた。

「稲垣の字の半分は〜ガキガキガキ〜♪」

 オヨヨ、怒ってないの?SMAP歌ってるし怒ってないのかあ。

 稲垣は顔を出した。

「てめえ◇△◇●●※∃∀←←◇◎◎‰∨〓!!」

「キレすぎて何言ってるかわかんねーよ!!」

 大沢がとっさにツッコミをした。

「なんで旅に出るって嘘ついたんだよ?」

 大沢が訪ねると、稲垣はうつむいたまま何も喋らなくなった。

「てか旅に出るって嘘がどうかと思うぜ…」

 屋良が笑いながら言った。だが稲垣は何も言わない。

「あでも何でもいいから答えてくれ。頼む」

「あだけじゃ何かわかんねーよ」

 大塚の本気の言葉に三人が一気につっこんだ。

「あ」

「って本当に言ったよ〜」

 稲垣のボケもつっこんだ。

「ふー、俺さぁ、不良を辞めようと思うんよ」

「へー、はぁっ!?」

 4人は忠実にノリツッコミをしてくれた。

「なんでだよ!!稲垣!!」

 黒崎が怒鳴りながらふかして、隣のおじさんに怒鳴られ、ヘコんでいた。

「俺さ、前捕まった時に仕事一筋だった親父が土下座してさ、その時に俺もついに俺を土下座させちまう程のバカになっちまったなあって思っちゃってさ、その時に親父が言ったんだ。『誰とでもツルんでもいいから人に迷惑かけるな』って…だから高校生ぐらい親の言うことを守ろうと思ったんよ。だからさ、もう法に触れた遊びは止めようぜ。頼む」

 みんなからは見えないけど稲垣は土下座していた。それをドアの隙間から萌が見ていた。

「やっぱりオタクだ」

 一分ぐらい間を空けて、黒崎は笑顔になった。

「おう、お前が遊んでくれるだけでも俺はすげー嬉しいからよ。いいぜ」

「…マジで!?ヨッシャー!!」

 そんな稲垣を見て黒崎はいつも以上の笑顔になっていた。

「んじゃ…いくぞー!!」

 稲垣はそういって二階の窓から飛び降りた。

「危ねえよ」

 稲垣達は笑いながら色々話していた。

 だが、大沢は気になっていた。黒崎の何となく悲しそうな笑顔が…。

 稲垣は笑顔で笑っていた。

 

 翌日、大沢は黒崎に電話をかけていた。

「黒崎、俺はもう分かっているんだよ。なんなんだ?あの悲しそうな笑顔はよ?」

 黒崎は何も言わず、大沢には吐く息の音しか聞こえなかった。

その息でさえも悲しそうに聞こえてしまう。

「何で黙ってるんだよ」

 大沢は昔やっていたのかわからないがサッカーボールを投げる。

 黒崎から何かがボールの体当たりを受ける音が聞こえる。

『これから…』

 大沢は急に話したのに驚いたが、ケータイを強く握った。

『これから言う事は誰にも言うなよ』

「おう」

『実は俺…』

「…」

 大沢のケータイが落ちて、その時に電源ボタンを押したのか、黒崎からは『ツーツー』と音が鳴った。


 大沢が言う。

 黒崎の悲しい笑顔の真相。

 大沢が言う。

 稲垣は自分を責める。

 大沢が言う。

 黒崎が引っ越す事を…。

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