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ロストテクノロジーは誰のためにあるのか  作者: 維岡 真
第1章 ”零を探せ” 第7節 前夜祭

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同行

地下の古い施設で、白髪の男と冷花は、志乃と共に進んでいた。


白髪の男が、低く言った。


「白神だ。白神考古科学研究所の所長をしている」


その名が呼ばれた時、志乃は、その男の存在を、より明確に認識した。


白神教授。


東都研究都市の一角を担う、研究者だ。


だが、志乃には、その男についての詳しい情報はなかった。


冷花が、志乃に向かって言った。


「白神教授は、虚西のことを知っています。昔から」


冷花の言葉には、信頼がある。


その信頼が、志乃に伝わった。


白神教授は、白塔の地下へ向かう通路を、確実に進んでいた。


その足取りは、迷いがない。彼は、この場所をよく知っているのだ。


「虚西コウ」


白神教授が、低く呟いた。


「彼は、本来は、奴らに利用されるべき存在ではない」


白神教授の表情に、何かの怒りが浮かんでいた。


だが、その怒りは、冷静に抑制されていた。


「水島と、俺は、虚西を保護するために、東都に来た。だが、奴は、何度も、何度も、連れ去られてしまった」


冷花が、その言葉を聞いて、低く言った。


「教授。だから、私たちが来たんです。今度は、虚西を取り戻す」


冷花の少女らしい表情には、何かの決意がある。


志乃は、その二人を見ながら、何かを感じ始めていた。


この少女も、この大人も、虚西を心配している。


自分と同じように。


白神教授が、古い機械装置の前で止まった。


その装置から、かすかに、古い霊気力が放たれていた。


「ここからは、警戒が必要だ」


白神教授が、静かに言った。


彼の手が、何かの形を作り始めた。


その動作は、複雑で、何かの儀式のような響きだ。


彼の周囲に、かすかに、複合的な色の霊気力が現れ始めた。


それは、単一の色ではない。複数の色が混ざり合ったものだ。


土の色。水の色。火の色。風の色。


複数の異なる霊気力が、一人の男の中に存在していた。


冷花が、その光景を見て、低く言った。


「教授の複合術です。複数の霊気力を、同時に操っています」


志乃は、その光景を見て、驚いた。


複数の異なる霊気力を、同時に操ることは、通常はできない。


だが、この白神教授は、それをしている。


白神教授の複合された霊気力が、通路を保護壁で覆い始めた。


土が、壁となって、彼らの周囲を守り始めたのだ。


「行こう」


白神教授が、言った。


彼は、保護壁に包まれながら、地下の奥へ進み始めた。


冷花が、志乃の手を握ったまま、その後を追った。


志乃も、その二人に続いた。


やがて、彼らは、更に深い層に到達した。


古い施設。かつての何かの遺跡。


そこには、複雑な機械装置が、複雑に絡み合っていた。


その中心に、白い光が浮遊していた。


虚西コウだ。


彼は、拘束されている。


俵屋と魔泉道の力で。


白神教授は、その光景を見て、即座に状況を把握した。


「儀式の最中だ」


白神教授が、低く言った。


「虚西の力を、何かへ集約しようとしている」


俵屋と魔泉道は、その新しい侵入者たちに気づいた。


「白神か」


俵屋が、低く呟いた。


「何しに来た」


「決まっている」


白神教授が、答えた。


「虚西を、お前たちから取り戻しに来た」


冷花が、白神教授の側に立った。


彼女の周囲に、古い紙製のお札が浮かび始めた。


呪術の気配。


古い力。


黒條家の呪術だ。


魔泉道が、その二人を見て、微かに笑った。


「虚西コウを取り戻す。そのつもりか」


魔泉道の白く濁ったような霊気力が、さらに強くなり始めた。


虚西の白い光が、その中で、より激しく制限され始めた。


志乃は、その光景を見つめながら、白神教授と冷花の側に立った。


三人が、俵屋と魔泉道に対峙する形になった。


白神教授の複合された霊気力。


冷花の呪術の力。


志乃の、まだ明確な形を持たない力。


そして、虚西の拘束された白い光。


四つの力が、地下の深層で、衝突しようとしていた。

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