11 著者校正作業を終えて
十二月の初日、午後の五時頃、レターパックプラスで「三つの背徳の果実」の著者校正のゲラが郵便で来た。
その日は土曜日で、まだか、まだかと待ち構えていた。
レターパックプラスを受け取った私は、著者校正作業に入る前にバスタイムにした。
ゆっくりとしたバスタイムの後、早速、最後の詰めの作業である”著者校正”に入った。
まず見てみてすごいなと思ったのは、本物の本の原稿となるゲラというものを初めて垣間見た。
この作品「三つの背徳の果実」は非常に中身が濃い話で、第1章こと1stシーズン・バートン財団編の掲載のみとなっている。それでも300ページは優に超える。大作だ。
土曜日は3分の1くらいまで終わらせ、日曜日に本格的に著者校正作業をしようと思った。
その矢先だった。シェアハウスの電源が消され、正味1時間程の点検作業をしていた様子である。
その間、ノートパソコンのバッテリーが切れるので、シャットダウンして、しばらくの間、3DSで遊んでいた。
そして、午後1時半頃。
私はその著者校正作業を実はピクシブでライブ配信をした。
いつものように、音楽のアプリケーションを起動して、音楽をかけながら、その作業に入った。
ピクシブとは、イラストコミュニケーションサービスで、世間ではSNSと言われる部類のサービスだ。
私はそのピクシブを友人に教えてもらうまで、その存在を知らなかった。かれこれ、2年前の話だ。
何とかピクシブの会員登録を済ませた私は、この小説家になろうサイトでアップロードした、これまでの作品もアップロードを始めた。
イラストコミュニケーションサービスだけあり、イラストの投稿がメインだが、何もイラストだけではなく、小説もアップロードできる。
著者校正作業の方だが思っていたよりかは、意外と簡単だった。
大変でもあったが、その前にこうして目の前に自分が書いた作品が、形になって手元にあること自体が感動した。
著者校正作業の合間は、ずっと私は、和楽器バンドと呼ばれる最近、話題になっているJポップを聴きながら、その作業に入って行った。
和楽器バンドで一番有名なのは「千本桜」だろう。
元々はボーカロイドの方が歌っていたものを彼らは実際の声で、和楽器を弾き歌った。
そのプロモーションビデオはユーチューブでは既に9千万回以上再生されており、映像も艶やかで、和楽器の音色がこんなに素敵に思えるようにもなった。
しかも、彼女達はハイテンションな曲だけではなく、心にしみるしっとりとしたバラードも上手だった。
その歌詞が一つ、一つ、美しい。
今時のJポップでここまでのクオリティのバンドはそうそうない。
この和楽器バンドの曲を聴きながら思ったのは、何だか「三つの背徳の果実」の世界にも似合っている感じがした。
著者校正作業の合間に思ったことなのだが、彼女達が歌う歌には、この作品にもぴったりな感じを受けた。
著者校正作業は大体、3時間程で終了した。その間、私はピクシブでライブ配信をしてその作業を見せた。
意外と沢山の方が見てくれていた様子である。
ライブ配信をする際、余計な個人情報が映らないように、パソコンの角度に注意して、手元だけが見えるようにした。後は校正作業が見えるように、自分の右手も見えるようにした。
日曜日は、まさに赤ペン先生状態である。
和楽器バンドの歌の調べにのって、赤ペンで注意深く読み進める。
修正が必要な場所を書き、編集者から鉛筆書きで書かれた疑問点を赤ペンで修正を入れる。
意外と言葉の言い回しが間違えていることに気付いた。だが、これは勉強になると思った。
意外と言葉の言い回しで知らないけど、使用している部分もあり、”こうではないですよ”と修正を入れてくれていた。
なるほど・・・と思いながら、読み進める。
そして、必要な部分も加筆していった。
あまり多くすると、その分、追加料金を取られるので、その点を注意しながら、必要そうな部分に加筆する。
そうして、すべての著者校正作業が終わったのは、午後4時頃。
最後に抜けているところがないかチェックをして、完了を知らせる捺印を押した。
意外と集中してやれば、著者校正作業も二日くらいで終わってしまうものなのだなって思った。
これで、私の方の仕事はほぼ終了だ。
後は、表紙のアイデアと帯文の確認作業があるだけ。
一体、この本が発売された時、どんな反応が返ってくるのだろう?と思う。
この「三つの背徳の果実」は文芸社の出版企画部の方は、男性でも女性にも受ける作品だといっていた。
でも、何だか、その流通した時、みんなの反応がどういうものなのか、私は知りたいと思う。
そして、出来れば多くの人に楽しんでもらいたい。
全くあり得ない世界観の話だが、これまで登場した主人公とはまた違う、破天荒で蠱惑的な魅力を持つ主人公。
彼と奥様のノイズ、そしてサブ主人公・クレア。
三人が織りなす、あり得ない恋愛物語。「三つの背徳の果実」。
甘くて、一度食べたら虜になってしまう、そんな世界だと作者は思う。
世間に流通するのは来年の3月15日らしい。
私の誕生日の5日前。何だか運命を感じる。自分の誕生日間近にそれを発表出来るかと思うと、節目の年なんだなって思う。
今年は。もうすぐで2018年も終わる。
大晦日くらいは、私も年越しそばでも食べて、記念日にしようかと思う。
先が見えない、私の人生。
でも、何が起こるかわからない人生の方が断然、面白いに決まっている。
この出版を通して、多くの方と交流出来たら、いいなあと思う。
これが、著者校正作業を終わらせた自分の今の、率直な気持ちであるのだ。