最終話 未来へ
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
寒さもやわらぎ、春の気配が混じり始めた頃。
――白雪たちの卒業式。
「白雪ちゃん!」
「芽莉ちゃん!」
泣いて抱き合う二人を、洸は目を細くして見ていた。
「ねー、そろそろ白雪ちゃん家行かない?」
洸は中々収まらない二人に、少し呆れて言った。
「…う、そうだね。行こうか」
「それより私も良いの?
高校卒業&大学合格祝いパーティー。」
「もちろん!うちの人たち、料理上手なんだよ!」
「えー、じゃあ早く行こー!」
洸が促すと、三人は校舎に一礼すると、自分たちの新しい未来に一歩、踏み出して行く。
門をくぐると、暁人が出迎える。
「お嬢と、芽莉さん、洸。
おかえりなさい。」
「ただいま!」
「ただいま〜」
「お邪魔します!」
玄関を抜けてすぐの部屋で、千里が生け花を生けていた。
「おかえりなさい。みなさん。」
「千里さんのお花、やっぱり素敵だなー」
芽莉が近づく。
「じゃあ芽莉ちゃんも、千里さんに教わろうよ!お金はパパが払うから!」
「え!いいの?どうしよ、洸くん!」
「芽莉がやりたいなら良いんじゃない?」
洸は、渋々…と言った感じで承諾する。
「お金なんて…好きにこの部屋使わせて貰ってるだけでも、感謝してるのに…。」
千里は申し訳なさそうに言う。
「良いんじゃね?貰えるなら。」
朱月が後ろから話しかけてくる。
「あ、あとおめでとう。三人…。」
「もう、名前も呼んでもらえない…。」
洸は肩を落とす。
「白雪…。」
呼ばれて振り返ると…少し大人びた呂唖が立っていた。
「…呂唖くん!」
再会の嬉しさで、飛びつこうと白雪は躊躇した。
「良いよ。」
奥から風我が優しく微笑んだ。
抱きつく白雪を、抱きしめ返す呂唖。
しばらく続くと…風我に引き剥がされた。
「なげーよ。」
「良いじゃん!久しぶりなんだから!
風我さんも俺に抱きしめて欲しかったんだー。」
「そうだな!」
「んっ!痛い!馬鹿力!」
じゃれ合う二人を、残して白雪と芽莉と洸はリビングへ進んで行く。
「おかえり。白雪。」
「碧先輩は、白雪ちゃんしか目に入ってないね…。」
「相変わらずだね…。」
「ただいま!碧、四月からよろしくね!」
「あぁ。わからない事あったら聞いて。
サークルも俺と同じ所へ入れば安心だし、学食も一緒に食おう。」
「あ、うん…。」
「碧くん!姫が引いてる。」
風我と呂唖も入ってくる。
「風我さん!これから白雪と毎日同じ電車に乗って、同じ大学行くんです。良いでしょ。」
「べ、別に羨ましいくないし…。」
「俺は羨ましかった…。」
暁人が横から入ってくる。
「え?暁人さん、白雪と高校行きたかったの?」
呂唖が聞くと、暁斗は耳まで赤くする。
そして賑やかなパーティーが始まる。
「芽莉ちゃん、これから困ったことがあったら言ってね!すぐカチコミに行くから!」
白雪は芽莉の手を取って言う。
「白雪ちゃん、女子高生はカチコミって言わないから…。」
洸が呆れたように言う。
「姫はそのままで良い…俺たちが着いて行くから。」
風我が言うと、一同は頷いた。
――四年後。
白雪の大学卒業と同時に、風我と結婚式を挙げた。
春風が白雪のベールを揺らす。
振り返れば、泣きながら手を振る芽莉。
静かに見守る、元・婿候補たち。
そして――隣には、風我がいる。
白雪は自分の足で未来へ歩き出す。
大切な人たちと共に…。
おわり。




