海外SF小説25作
海外SF小説はかなり読んでいる。海外SF小説は短編の方がおすすめなので、短編集を多めに紹介したい。
イシャ―の武器店
非Aの世界
永遠の終わり
都市
チャンピオンたちの朝食
貝殻の上のヴィーナス
ハイペリオン
一角獣多角獣
時の門
終点:大宇宙!
拠点
時の声
時間飛行士のささやかな贈り物
爆発星雲の伝説
ありえざる星
九百人のお祖母ちゃん
残像
バービーはなぜ殺される
死の鳥
折りたたみ北京
郝景芳短篇集
火星の長城
紙の動物園
黄金の人工太陽
ロボットアップライジング
A・E・ヴァン・ヴォークト「イシャーの武器店」
武器店シリーズの二作目である。一作目の「武器製造業者」も面白いが、特に二冊目のこれを推薦したい。帝国と戦う武器店のハラハラした冒険譚に心躍ること請け合いである。結末は美しくも悲しく。
A・E・ヴァン・ヴォークト「非Aの世界」
かつて、デーモン・ナイトが筋の破綻した小説と評した問題策である。実際には、筋の破綻はないので、この難解なSFが理解できるのかに挑戦してもらいたい。あまりにも刺激的な仕掛けが施された名作である。
アイザック・アシモフ「永遠の終わり」
現代では時間管理局と呼ばれる組織に相当するであろう<永遠>という機関の仕事に巻き込まれた青年の冒険である。読みやすいし、なかなか、安定した面白さを出していると思う。
クリフォード・シマック「都市」
哲学的示唆に富んだ名作である。ひとり静かにロボットとともに暮らす物語は、滅びゆく時代の落ち着いた雰囲気を醸し出していると思う。SFの名作であり、文明が極まった場合のひとつの示唆を与えてくれる。
カート・ヴォネガット・ジュニア「チャンピオンたちの朝食」
独我論を論破する小説である。ユーモアで軽快なタッチで書き進められた大富豪とキワモノ作家の物語は、非常に哲学的な示唆をもたらしてくれる。そして、作中にヴォネガット自身が登場する場面など、その盛り上がりになんか嬉しくなってしまう。
キルゴア・トラウト「貝殻の上のヴィーナス」
ヴォネガットの作中人物の小説をフィリップ・ホセ・ファーマーが書いた作品である。アメリカ文学の一位に挙げられることもある名作である。どこまでも、意味の分からない散文が、心地よく書きつづけられている。
ダン・シモンズ「ハイペリオン」
おおよそ、海外SF小説で最も読むべき長編はこの「ハイペリオン」である。上下巻の重厚な出来だが、冒頭の洞窟の場面で、心躍り、この物語に引き寄せられてしまうのは必定だろう。文章が長いのに、なぜか読みやすく、楽しく読める。
シオドア・スタージョン「一角獣多角獣」
第一短編集「WITHOUT SORCERY」はアメリカで最も優れた短編作家の名声を獲得した。しかし、「WITHOUT SORCERY」は短編集としては翻訳されないので、第二短編集を楽しもう。「一角獣多角獣」は奇人スタージョンのアイデアを集めた短編がたくさん集まっている。読むには、キチガイになるしかないといわれたスタージョンを読もう。
ロバート・A・ハインライン「時の門」
ハインラインの短編集である。表題作「時の門」は私がSF史上最高傑作と評しているものだ。それ以外にも、たくさんの頭を刺激するSF短編が語られる。あなたはこの短編集を論理的に理解できるだろうか。
A・E・ヴァン・ヴォークト「終点:大宇宙!」
ヴァン・ヴォークトの代表的短編集である。さまざまな地球離れした宇宙人との戦いが描かれ、時に敗北して地球が滅びてしまうなど、短編ならではの大胆なSF小説が読める。幻想的で、素晴らしい。「一缶のペンキ」なんかは大好きなSF短編で、宇宙人襲来はかくあるだろうと思うものである。
A・E・ヴァン・ヴォークト「拠点」
短編集である。「果たされた期待」のゾクゾクする展開といったらないだろう。世界はひょっとしたらこうできているかもしれない。近代哲学から考えるに「果たされた期待」のように世界ができている可能性は否定できないのだから。楽しくなってしまう思索の冒険だ。
J・G・バラード「時の声」
短編集。「時の声」は、星々が滅びる時、こんな通信を受け取るのかもしれない。壮大で、悲しく、ありえそうな出来事だ。それくらい宇宙の向こう側でも、生きるのはたいへんだろう。「深淵」は、この魚、素適すぎだろう。ずっと、この魚について魅了されている。素晴らしい幻想世界だ。
フィリップ・K・ディック「時間飛行士のささやかな贈り物」
ディックの短編集は新版で編集し直されてしまったが、旧版で読んでいるので、旧版で紹介する。中古本を買ってくれ。素晴らしい短編集なんだ。「お父さんに似たもの」「おお! ブローベルとなりて」「ベニー・セモリがいなかったら」「父祖の信仰」と傑作が多い。こんな賢い短編集はない。素晴らしいよ。
ブライアン・オールディス「爆発星雲の伝説」
傑作短編集である。事件のできごとに三つくらい原因があって、そのどれが原因だとしても、恐ろしいことになるというリドルストーリーなSF短編を書いたのはオールディスである。朝倉久志がディックの短編をワンアイデアストーリーの域を出ないとひとこと苦情をいう週間があるのは、このオールディスの短編集があるからなのかもしれない。
ブライアン・オールディス「ありえざる星」
「断片」の傑作さはズバ抜けている。この異様でグロテスクで奇々怪々な物語には、明確な納得のいく理由がある。ぜひ読んでもらいたい。他にも「讃美歌百番」は、「爆発星雲の伝説」にも収録されているけど、あっちは悪訳で、この「ありえざる星」の訳は最高にイカしている。
R・A・ラファティ「九百人のお祖母ちゃん」
ラファティの短編集は再編集されてしまったので、私が読んだ旧版の短編集で紹介する。味わい深い短編がたくさんある。「時の六本指」「千客万来」「あの町の名は」「我、シャルルマーニュをかく悩ませり」「恐怖の七日間」「カミロイ人の初等教育」他にもたくさんある。個性派作家ラファティの短編集だ。
ジョン・ヴァ―リイ「残像」
ヴァ―リイの八世界シリーズは短編が本番なので、短編集をすべて読んでしまうのがいい。土星の話が素晴らしいな。ひとつの楽園思想だ。こんな風に幸せに未来は暮らすのだという意志が感じられる。素晴らしい。短編「残像」も人気が高い。みんな、こんなコミュニティが好きなのかもしれない。
ジョン・ヴァ―リイ「バービーはなぜ殺される」
ヴァ―リイの二冊目の短編集。この短編集は読まなければならない。なぜなら「びっくりハウス効果」が収録されているからだ。八世界シリーズの小惑星帯の話である。彗星に乗ってぐわんぐわんと飛びまわる迫力は、読まなければならない。
ハーラン・エリスン「死の鳥」
まず、いちばんの傑作「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」は伊藤典夫の訳は悪訳である。SFマガジンに収録されていた中村融訳のやつが最高に面白いので、そっちを読むべきだ。しかし、この短編集は味わい深いものが多いので、ぜひ読んでみるべきだろう。
アンソロジー「折りたたみ北京」
中華SFのアンソロジー。中華SFが流行する先駆けとなった名アンソロジーだ。このアンソロジーで、中国人作家は地球の問題を真摯に考えてSF短編を書いているといっていた。私は中華SFの短編集を何冊か読んだが、そんな高度なSF短編がのってたのは、このアンソロジーだけだったような気がするのは残念だ。
郝景芳「郝景芳短篇集」
実力派中華SF作家の郝景芳の短編集だ。女性作家である。どんな作品にも、丁寧に読むとこれはと思う視点があり、鋭い文明批評になっている。いちばん印象深いのは「繁栄を慕って」かな。美人の実力派作家としてデビューした著者が、男たちがどんなことをいってくるのかを観察した記録なのだろうかと邪推して読んだ。
アレステア・レナルズ「火星の長城」
短編集だ。「ウェザー」の連結脳派の描写は、ひょっとしたらありえるかもしれない未来描写である。「ダイヤモンドの犬」は、ありえるだろうなあ、こんなものを宇宙に作るやつ、ととても怖い。「火星の長城」は夢のある宇宙ロマンだ。
ケン・リュウ「紙の動物園」
新☆ハヤカワ・SF・シリーズで読んだものだから、その後で、「紙の動物園」と「もののあわれ」に分かれてしまった。面白かったのは、ほとんど「紙の動物園」に収録されているので、「紙の動物園」を読むといい。中華SFの傑作が並ぶ。素晴らしい。「文字占い師」は読んでいて涙が出て来てしまったよ。
アンソロジー「黄金の人工太陽」
傑作アンソロジーである。前半部は傑作がずらりと並ぶ。アンダースン「時空の一時的困惑」、バッケル「禅と宇宙船修理技術」、チェンバース「甲板員、ノヴァ・ブレード、大いに歌われた経典」、カフタン「晴眼の時計職人」、ヒル「無限の愛」、ハーレイ「迷宮航路」、アブネット「霧の巨人」が面白かった。
アンソロジー「ロボットアップライジング」
ロボットの反乱を扱ったアンソロジー。レナルズ「スリープオーヴァー」、ワッサーマン「死にゆく英雄たちと不滅の武勲について」は傑作。クライン「オムニボット事件」は面白かった。ドクトロウ「時代」は、迫力ある展開でめちゃくちゃはらはらして面白かった。イアン・マクドナルド「ナノノート対ちっぽけなデスサブ」は抜群の傑作で、大爆笑、ド迫力の必読の名作だった。




