表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

仮面舞闘士シンデレラ〜硝子の双剣使いと青髪王子の輪舞〜

 
 むかしむかし、ではなく、ちょっとだけ昔。

 あるお屋敷に、ゼゾッラと呼ばれる結構勝ち気な公爵の娘が住んでいました。

 彼女は、王子の許嫁。

 美しくも愛嬌のある顔立ちをした彼女は、剣聖と呼ばれる腕前の父と精霊使いの母に愛され、幸せに暮らしていました。

 ですがしばらく経ったある日、病を患った母が亡くなり、父親が、後妻を迎え入れました。

 同じく夫を病で亡くした、かつて『氷の剣姫』と呼ばれた義母は、二人の娘を連れて共に暮らし始めます。

 しかしその後、隣国へと出かける途中。
 ゼゾッラは馬車ごと谷底に落ちて、父と共に亡くなってしまいました。

 その葬儀が終わって、数ヶ月。

 後妻と二人の娘が遺された屋敷に、一人の侍従が姿を見せるようになりました。

 いつも灰に汚れた長い髪で顔を隠し、みすぼらしい服装をした彼女は、義母と二人の娘の身の回りの世話をしていると言われていましたが。

 何故かほとんど、お屋敷から出ることを許されていないようでした。

 義母と二人の娘は、彼女をこう呼んでいました。

 ーーー『灰被り』、と。

 その少女を冷遇する後妻と、二人の娘。
 許嫁の死が、何者かの陰謀ではないかと疑う王子。
 剣聖が持っていた地位を継いだ弟の、現公爵。

 思惑入り乱れる、今宵。

 顔も知れぬ者同士が剣舞の美しさを魅せ合い、強さを競う王家主催の『仮面舞闘会』が開かれます。

 その最中、王子の前に姿を見せたのは、灰色の仮面を被った細身の舞闘士。

 剣聖の血筋にしか操れぬ硝子の双剣を振るう者に、王子は剣を掲げます。

「私と踊っていただけますか? ーーーゼゾッラ」

 問いに答えぬ灰仮面と、青髪の王子の輪舞。

 決着がつかぬまま、十二時の鐘が鳴り。
 その、残された硝子の双剣の片割れを王子が手にし、持ち主を探すお触れを出した時。

 ーーー十年前の謎の扉が、音を立てて開くのです。
 
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ