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天は二持どころか何持も与える

 結論から言うと私は人生を諦めなくても良いらしい。中間テストを休んだとしても病欠の生徒には再テストというものがあるみたいだ。


助かった。危うく原作通りの嫌な変態悪役キャラになるところだったよ。


 私はその再テストを受けて見事、優等生の座を取り戻した。だけど上には上がいるということを思い知らされた。


「流石ですわ。桜ちゃん」


「ありがとう。でもまだまだだな」


 聖麗学園では中等部になると、上位十名までの成績優秀者の名前を発表している。私は病気になるまで勉学に励んだが、三位という結果。二位は黒田で一位は佐久間悠輔。


 全ての教科で満点というあり得ない数字を叩き出した男。


 あれだけ勉強したのに悔しいな。


 階段下の掲示板に掲げられた順位表を眺めていると、黒田が隣に現れた。それを見て美夏は私の影にこっそりと隠れる。


「またあいつに勝てなかったか」


「黒田君はこの佐久間って人知ってるの?」


「あぁ、初等部の頃に同じクラスだから知ってるよ」


「どんな人なの?」


「うーん。遭えて言うなら優男?」 


優男か。頭もよくて優しい。これに顔も格好良かったりなんかしてみろ。そんな人生イージーモードな男は私が許さんぞ。


「もし会ってみたいなら、放課後図書館に行くと良いよ。あいつならあそこにいると思うよ」


 是非会いに行こう。会いに行って文句の一つや二つ言ってやろう。


 黒田はそう言うとそのままその場を離れた。すると影に隠れていた美夏が頬を膨らませて私を見る。


「むふー。ずいぶん黒田君と仲が宜しいようで」


 そうだった。美夏はあの遠足の裏側を知らないから私と黒田の仲が縮まっていることを知らない。


 だけど、ここで仲良くなったとか言って焼きもちやかれても面倒だしな。


「ほらっ。私と黒田君は元々初等部からの関わりだからあれくらいの話はするよ」


「まぁ、恋仲でなければ良いんですけども」


 私は死んでも黒田の事を選ばないから安心して。彼とは話は弾んだけど、食の趣味が全くといっていい程合わなかったから。


 実はあの電車の中で食べ物の話をしていたのだが、その話だけは全く話が合わなかった。


 私は甘いものが大好きでドーナツ、アイス、チョコレート、甘いものなら何でもござれって感じでお母様に内緒でこっそりと学校帰りに買ったものを食べている。


 対して黒田は健康志向らしく、野菜を中心にバランスよく食べるのを心がけているらしい。不足しがちなビタミンはサプリメントで接種するという徹底ぶり。


 もちろん話は合うわけはなく、不摂生をしている私は説教をされた。


 あー、思い出しただけで腹が立つ。人が何を食べてもその人の勝手でしょ。


 その日はあまりに腹が立ったからアイスを二個も食べた。今日は嫌なことを思い出したからドーナツ三個だな。


 そういうこともあるので黒田は私の恋愛対象外というわけだ。食が合わなかったら結婚なんて出来ないからね。


「大丈夫。私と黒田君がくっつくことは確実にないから」


「じゃあ嘘をついたら針千本飲ませますわよ」


「もちろん良いよ」


「私は本当に飲ませますわよ」


 こ、怖いよ!あれはあくまで嘘をついたら罰があるよということで、本当に飲ませるということではないから。




 そして放課後。


 私は黒田の言うとおり図書館へと向かった。学力で学年ナンバーワンに君臨する佐久間をこの目で見てみたかった。


 図書館は私達のいる建物から少し離れたところにある。非常に貴重な文書などもあるため図書館は単体で建物として成り立っている。


 そんな図書館に着いたが放課後ということもあり、あまり人は居なかった。


 辺りを見渡すと私はふと佐久間らしき人物が本棚の前で一冊の本を読んでいた。


 体格はぽっちゃりで黒髪眼鏡。流石に天は三物も与えなかったようだ。


 それを見て満足して踵を返すと誰かの体に顔をぶつけた。その拍子にその人が持っている本がバラバラと音を立てて床へと散らばる。


「あぁ、ごめんなさい」


「こちらこそ、ごめんなさい。前を見てなくて」


本と一緒に落ちた利用者カード拾うと、そこには佐久間悠輔の名前が書いてあった。


「え?貴方、佐久間悠輔って言うの?」


「へ?僕の名前知ってるの?」


 だ、だって、佐久間悠輔はあそこで本を読んでいる、デ・・・。違うの!?


 本物の佐久間悠輔はメガネというのは一緒だが背はスラッと高く、髪は日に当たっているからか少し茶色っぽいストレートヘア。


 天は二物どころか、三物や四物も彼に与えてしまったのだろう。


文句の一つや二つ言ってやろうと思っていたが、今のところ文句をいえるような要素がない。


「私は西園寺桜っていう同級生なんだけど知らないよね」


「あ、あなたが西園寺さんなの?名前は知ってるよ」


おぉ、私の名前も優等生として以外と知れわたっているのかな。


「砂糖大好き西園寺さん」


ん?んん?なんか私の二つ名おかしくない?


そこはスイーツ大好きでよくない?別に私は甘ければ何でもいいって訳じゃないから。


「黒田からこの前聞いたんだよ。面白い同級生がいるってね」


あ、あの野郎。皆に私のスイーツ好きを公表しやがって。噂が広がってお母様の耳に入ったらどうするんだ。


後で取っ捕まえて口止めをしておこう。

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