洞穴での名案
その後、幾度となく、怪獣の猛攻を喰らったフィンドは、命からがら逃げ、やっと、怪獣に見つからないであろう洞穴を見つけた。
「ふぅ…」
やっと、辿り着いた安堵感と疲労からため息が出た。左腕からは血が滲んでいる。
「おい、マジかよ。まだ、相手になんもダメージ与えてないのに、もう、こんな攻撃喰らうとは……とりあえず傷口を確認するか」
ゆっくりと服を剥がしていく。
「あいたタタ……」
なるほど、痛いわけだ。左腕の皮が綺麗に剥がれてしまっていた。急いで手当をしないと、悲惨な状態になりそうだ。フィンドは、ショルダーベルトから、救急パックを取り出し、その中に入っている包帯を幹部に巻きつけた。
「まぁ、皮だけでよかったよ。あの刃が肉に当たっていたらと思うと……あぁ、ゾッとする」
一人で愚痴りながら、包帯を巻き終えた。
これで、フィンドの体はまた、戦うことのできる身体に戻った。しかし、そう、刃がたたない。いくら体力があっても、勝てないなら意味はない。
「よいしょおっと」
フィンドは、地面に手をついて立ち上がった。
「さぁて……どうするか……」
もう、日は傾きはじめ、洞穴の入り口を照らしだした。
「この、洞穴は西を向いているのか……」
まったくどうでも良い所に気がつく。
「とりあえず、暖をとらないとな。寒くなって来たし。そうだ、物に能力を付与する練習も兼ねてやるか」
フィンドは、落ちている石ころを拾い、呪文を唱えた。
〝ホット〟
すると、石は温かみを帯びてほんのりと辺りを暖かくした。
「成功か。良かった」
ホッと安堵の表情を浮かべながら、それを幾つか作った。
「これが本当のホットか。なんてな」
しぃん……
一人でギャグってすべる。こんなに悲しいことがあろうか。フィンドは、地面に寝そべり、ぼんやりと天井を眺めていた。外からは風がビュウビュウと流れる音が聞こえてくる。
「だいぶ風が強いな。台風でも近づいているのかな……」
あえて、疑問系にしない。だいぶ話し相手がいないということを自覚しはじめたようだ。
話し相手がいないのはこんなに悲しいことなのだな。とは、思いつつも、もう口には出さない。
「ピピピピッ」
「バロンっ⁉……違うか……バロンの着信音は違うもんな。それに、さっきからコールしても、電源はOFFられてるし。誰だろう……」
ささやかな望みも、一瞬にして折れ、セムをみると、着信はメールで送信元は天候省になっていた。ちなみに、ついでだが、着信音は幾つかの種類があり、それによって、人を区別することも可能になる。ただし、登録可能数には限りがある。
「天候省?」
フィンドにとっては、馴染みのない、というか、はっきり言って聞いたことのない省だった。天候省なんてあったっけな?とは、思ったものの、とりあえず、中身だ。と、気を取り直して、メールを開いた。すると、文面には赤字て大きく
〝台風警告•避難勧告〟と表示されていた、
フィンドは、セムの電源を落とすと、また横になった。
「台風か…」
「ピピピピッ」
「ん?またか?」
また、メールが、届いた、開いてみるとまた、天候省からのようだ。
〝臨時報告。今回の台風の内部にひょうを観測しました。身体に直撃すると、重傷及び死亡の恐れがあります。決して近づかないようにしてください。今後新しい情報が入り次第、随時報告いたします〟
「ひょう?おかしいな。台風は暖かい季節に発生するんじゃなかったか?この世界は例外か?どっちでもいいけど、とりあえず洞窟は塞いでおいた方がいいかもな。」
洞窟の入り口まで歩いて行き。
〝アイス〟
と、唱え、即席の氷の壁を作った。
「こんなもんでいいか」
作ってから、この壁はとても素晴らしい事に気付いた。氷であるため、外が透けて見えるのである。
「これなら、外の様子もわかるしいいな」
満足したのはいいが、少ししてから、とんでもない欠点に気付いた。
台風が接近しはじめ、フィンドのいる洞窟はすでに暴風域に入った頃だった。だいぶ中が冷えてきたので、新しく暖かい石を増やそうとした。が、気付いた。いま、ホットを使ったら、氷の壁が溶け、おびただしい量のひょうが中に入ってきてしまう。それだけはできなかった。暴風域に入ったいま、新しい方法もなく、寒い中でフィンドは、夜を過ごす事になった。
◇
「ふぁあぁぁ」
外での生活二日目。今日は朝の太陽でお目覚めだ。
「いい朝だ。朝から太陽で目が覚めるなんて、素晴らしいな」




