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空を飛んでいるドラゴン。
それに照準を合わせる。
しっかりと打ち落とさなければならない。
そんなことを思いながら、ピストルを構えている、全身に鎧を纏った完全防備の男が一人いた。その人物の名前はフラン。特殊な加工がなされたピストルを使って、モンスターを討伐している人物だった。
彼は狙いをしっかりと定めた。
そして、その引き金を引く。
すると、まっすぐに弾が進む。
減衰することもなく進んでいく。
その弾はドラゴンに当たった。
それによってドラゴンは空中でバランスを崩す。
その隙を逃さずに、何度も弾を連発するフラン。
彼がやっているのは一方的な狩だった。本来であれば、もっと頑張らなければ討伐することができないドラゴンを、いとも簡単に討伐してしまっているのだ。
しばらくそれを続けていた。
そうしていると、ドラゴンの高度が徐々に徐々に下がってくる。
次第にそれは地面に落下した。
なので、彼はそこまで歩いていくのだった。
フランは端正な顔立ちをしていた。どこの誰が見ても男前で、多くの女性から愛されているのだったが、本人には全くそのつもりなどない。ひたすらに狩にだけ一生懸命なのだった。
そんな彼は、今は単なる兵士にしか見えない。完全防備のその姿は、当然のように顔まで覆い隠していて、どこの誰なのかがわからなくなっている。
が、誰もが、その武器を見れば、それがフランであるとわかる。
なぜならば、この世界でピストルという武器を使っているのは彼だけだからだ。
他には誰も居なかった。
ピストルという武器は、彼が天使から与えられた特別な武器だからだ。
しばらく彼が歩いていると、そこにはドラゴンの死体があった。
そして、それだけではなくて、スカベンジャーもいた。
スカベンジャーとは、死肉を貪る動物のことだ。そこから転じて、他人が狩ったモンスターの素材を勝手に収集する人間のことをそう呼ぶようになった。
その行為は、悪い行為とされている。
とはいえ、犯罪であるというわけではない。
純粋にトラブルになるというだけの面倒な相手だ。
フランは、スカベンジャーの被害に遭うことには慣れていた。
なので、その人物のことを特別気にすることもなく、シンプルに歩いていく。
彼らはモンスターを狩った本人がやってくるとすぐにそこから去る。
彼らは彼らでトラブルにすることを避けるからだ。
基本的にスカベンジャーは弱い。
弱いからモンスターを自分で狩ることをせずに、他人が倒したモンスターのおこぼれをもらっているのだ。なので、ハンターと向き合うことはしなかった。
スカベンジャーの後ろ姿はポニーテールだった。
そして、いつでも逃げられるように、身軽な装備をしている。
全体的に細い線と、その髪型から女性であることが彼にもわかった。
彼女の通称はスカル。
スカベンジャーは自らの名前を名乗らない人が多く、彼女もスカルという異名でいろんな場所を渡り歩いているのだった。
フランは彼女に声をかけることをしなかった。
気配に鈍感だった彼女は、真横に来るまでその存在に気が付くことがなかった。ハンターは普段から気配が出ないようにしていることもあって、それを気付くことができなかったのだ。
「うわっ!ビックリした」
「いいか。これは俺のドラゴンだ」
「す、すみませんー。それじゃあ」
スカルの顔は、とても整っていた。どこからどう見ても美少女と言った感じの見た目をしていて、わざわざスカベンジャーなどしなくても、舞台役者をすれば千両役者になれそうな気配があるのだった。それでも、彼女には彼女なりの事情があるので、それをしていた。
タッタッタッ。と、ここから去るスカル。
それをしばらく眺めた後、もうかなりの鱗が剥がれたそれに向き合う彼。
彼はお金には困っていない。
なので、スカベンジャーをされてことに対しては、そこまで感情的にはならなかった。
それから、死体を漁り終わったフラン。
いつものように帰宅しようとすると、背後から視線を感じた。
なぜならば、まだスカルはそこにいたから。
フランの死体の漁り方はかなり雑だった。
それを見ていたスカルはまだ死体を漁ろうとする。
「漁るなら漁っていいぞ。もう必要ない」
「ありがとうございます」
「別に俺はスカベンジャーのことを否定してない。やるならば勝手にやればいい」
「もしかして、話が通じる人ですか?普通のハンターって中々感情的な人がほとんどなので」
変に見られている状況が嫌だったフランはそう言った。
すると、その声色に安心をしたスカルは会話をしようとする。
彼女には彼女なりの事情がある。
それは、彼女はハンターに向いていないのに、ハンターとして生活をしたいというものだった。だから、弱くてもなんとか生活できる道を探した結果、スカベンジャーとなったのだ。
「俺はもう帰るぞ。漁るなら話はできない」
「それなら、着いていってもいいですか?」
「いいのか?せっかくの死体を」
「いいんです。本当は、私、誰かと一緒に狩りがしたかったので」




