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世渡りと人外と世界の管理人  作者: 雨傘葵
第2章 謎の深まる乾いた世界
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5、管理人さんと拠点探し

カードと専用のカバーを手渡されて、軽くされた説明を頭に詰め込み、ギルドを出る。出る際に“あのライが連れてきた青年二人が審査を通って出てきた”ということに驚いているのかジロジロと見ていた。もちろん、全て無視して堂々と出てきた。

待っていたデーヴィッドは少し離れたところの路地裏に隠れて本を読んでいた。本当に人目に触れる事を嫌っているらしい。明らかな近づくなオーラを出していた。

そんなデーヴィッドに近づいて声をかける。


「「戻りましたー」」

「お帰りなさい」


デーヴィッドは本を閉じ、近づいてきた二人の姿を確認すると近づくなオーラを引っ込め微笑んた。いいや、近づくなオーラというよりも気配を消してしまうことを辞めたらしい。


「さて、拠点探しにいきますか」


ふらっと目線を遠くしたデーヴィッドの口元は硬く閉じられていた。そして最初の時のように柔らかな雰囲気に戻る。


「拠点、どこにします?」

「どこがいいんでしょう」

「そうですねー」


少し考え込んでどこがいいのか考えてみる。リペルとの合流が最優先事項だが、なんらかのルートに沿えば会えるように仕組まれている気もする。そう思ってしまうとどこにしようという考えが薄まっていく。


「やりたいことってあります?」

「やりたいこと、?」


あまりにもアイザックとセドリックが悩んでいるものだからデーヴィッドは助け船を出した。

二人がやりたいことと言われて初めに思いついたのはリペルと会うこと。だけれどもそれは最終的なのか、まだ先のことだろう。ひとまず目先のことをどうにかするべきだと今必要なことを思い出だしてみる。


「とりあえず、家とかの生活拠点が欲しいですね」

「それが終わったら色々知りたいし、手っ取り早く本屋とか」

「の前に通貨を貰えないと」


うーんと今から何をするべきかの案を出して二人で考え込んでいるところにデーヴィッドが話しかける。


「通貨は必要分は用意してありますよ。本も、リサから聞いていた興味がありそうな物を数冊入れておきます」

「ありがとうございます……!」


リサから事前にここに載っている物を用意しておいて欲しいと頼まれていた冊子があったので準備は昨日の内に済ませてある。昨日の内なのは情報伝達が上手くいかずに六日遅れで1週間後に弟達が行くからよろしくという伝言と共に用意すればいい物冊子として届いた。


「拠点ですが、あなた達の保護者代わりと合わせる必要があるのでその人の家でもいいですか?」

「持ち主がいいのなら構わないんですが、」

「じゃあ、行きましょうか」

「行くんですか!?」


ぱぱっと行き先を決めては先に行こうとするデーヴィッドとブライアンの後にセドリックが続いて歩く…

ちょっとー! とアイザックは慌てて先に進もうとする3人の後を追いかけた。




しばらく歩いて崖付近の郊外にたどり着くと小さめの一軒家の前で立ち止まった。一見普通の家に見えるのだが、窓の数が少なめである。

そんな家の前でデーヴィッドはリング状のドアノブ持ち上げゴンッと扉に叩きつけた。家主の返事を待たずにそのまま何回か叩きつける。


「おはようございまーす。デーですよー」

「はぁいはい、ちょっと! そんなに鳴らすな! 壊れるでしょうが!」


片手ほどの回数叩きつければ家主の大声が響く。

ペタペタとドアに近づいてきた音がすれば扉が少しずつ開かれる。

そこから出てきたのは白髪で赤目の少女なのか女性かわからない年齢の女の人が出てきた。寝起きなのか目を少し擦ってあくびをしている。


「こんばんわ? おはようございます? なんでいるんですか」

「おはようございます。ミーさん。いい拠点が見つからなかったのでお邪魔させて貰おうかなーと思って」


呑気そうなデーヴィッドの言葉を聞いてミーと呼ばれた女性はアイザックとセドリックの方をみる。それから外用の靴を履いて二人の目の前に立つ。


「デーさん、この子達なの?」

「そうですね」


目の前に立ったミーはアイザックより少し背が低いようで上目遣いで見てきた。口調だけならば大人の女性だが、外見が15歳なだけ違和感がある。

そんな女の子はアイザックとセドリックを見て首を傾げた。


「なぜか見知った顔が見えるのだけれど」

「一度夜会でお会いしましたね」

「……ああ、アウトルックの子だったね」


となるとこの時点で会ったことがなさげに思っているのはアイザックだけだ。

けれども本人が覚えていないだけで幼少期と夜会で出会っている。前者は強制記憶忘却で、後者はそもそも見かけただけで別のことに巻き込まれていた為覚えていないのである。

そんなことは共有されていないので知らないだろうと思ったブライアンがミコバに手のひらを向けて紹介する。


「こちら、世渡りで情報屋をしてるミーさんです」

「ミーはあだ名なんだけどね。本名はみこと。君たちの旅に同行して欲しいと頼まれて受けることになりました。どうぞよろしく」


そうしてアイザックは長年の付き合いとなるミー、みことと三度目の出会いなのであった。

そんなことも知らないアイザックはお願いします、と返事を返した。

ミーはアイザックとセドリックの顔を見て一つ頷く。


「うん、預かりましょう」

「そうですか。ならよかった」

「じゃあ、邪魔な荷物置いて出かけるぞ」

「はーい」


ここのあたりにおいてくださいと言われた廊下にブライアンが持っていた肩掛け鞄から本や服、靴、普通の鞄に生活費などがゴロゴロ置かれていく。

明らかにサイズと中身があっていないが、よくあることだったのでそのままスルーしている。これを通行人が見たら二度見どころか三度見されることである。デーヴィッドの心境は通行人が居なくて一安心であった。


「私は部屋の準備をしてきますよー。あと眠いので寝てるかもしれないのでよろしくです。5時には帰ってきてちょうだいな」

「わかりましたー」


門限を確認していってらっしゃーいとミーに見送られながら家を出た。

ミーの家から一軒分歩いたあたりで真横からからドサッ、という音が聞こえた。どうやらアイザック達、特にデーヴィッドを見つけた女性が荷物を落としてしまったらしい。

それに気づいたデーヴィッドはさっ、とフードを深く被る。


「………………お、お師匠?」

「……」


女性は驚きで目を見開いている。

隣にいるデーヴィッドは女性から目線を逸らす。

そこでアイザックとセドリックは後ろに向かされ、目はブライアンによって塞がれた。


「ごめんなさい!」


女性がデーヴィッドに謝る。彼女はこの二人の関係者なのかもしれない。


「弟子不幸者でごめんなさい」


弟子、とは、何があったのだろうか。破門でもされたのかもしれない。そんな考えは次の言葉で吹き飛んだ。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、

「分かってる。もう許してる。お前には罪は無い。だからそんなに謝らなくて良い」

「それでも、自分が許せないのです」


顔が見えなくても分かる震えた声であった。


「私が、この手で、行ったことは私の責任です。だからこそ許せるはずがない」


この女性は責任感が強いのだろう。罪は無いと言われているのに自分の責任で自分に罪があるのだと意地でも言い続けるのは頑固者とも言える。


「たとえ周囲の人間が、神が、あなたが、許したとしても私が許せるはずがない。許すことなんてできない」


硬い決意に満ちた声だった。


「だから私はこんなことしかできないのです」

「……………………そうか」


会話がひと段落ついたことでブライアンは二人を連れ出して抜け出せた。それから女の人は、ずっと地面に頭をつけていたのか、デーヴィッドに向かってひたすら謝っていた。

難産でした。かなり更新が止まっていて申し訳ございません。

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