28.テントの前で火をつけようとして失敗して食材も何もかもほとんど全て燃やしてしまいました
それから私のザックからテントを出して、テントを設営した。
それが終わるとお兄様とブラッドが狩りに出て、私はお留守番だ。
イリーネとモンモンは二人して寝てくれたんだけど……
ちょっと、暇なら薪を拾ってきなさいよ!
私はそう叫びたかった。
まあ、でも、ここでごねられたら、後が大変だ。
仕方がないからテントの回りで燃えそうな草木を探す。
考えたらモンモンとイリーナを餌にして魔物をおびき寄せても良かったかも……
やったら後で殺されそうだからやらないけど……竈を作って鍋をおいて、水を沸かす準備をする。
お兄様達がほどなくホーンラビットを捕まえてきた。
さすがお兄様とブラッドだ。
あっという間にさばいてくれた。
可哀想だって?
そんなの平地で生きているお嬢様の言うことだ。私達は肉を食べて生きているんだから、仕方がない。
お兄様達がもう少し探してくると言って飛び出した時だ。
イリーナとモンモンがモゾモゾと起きてきた。
「良いところに起きてきたわ。火を起こしてよ」
私が頼むと、
「ええええ! 面倒な事言わないでよ。そんなの侍女の仕事じゃない」
「イリーナ、ダメよ。アリスにさせたら、加減を知らないんだから」
「そうか、アリスは魔力おばけだものね」
「本当に!」
二人して笑ってくれた。
私は侍女じゃないし、化け物でもないわよ!
その笑いに私はプッツン切れたのよ!
それが良くなかった……
「燃えよ!」
「ギャー、止めて!」
モンモンが止めようと叫んだが遅かった。
私は少しの火のつもりだったのよ。
でも、ぷっつん切れていたから、弱火にはならなかったのよ。
ドバーと出てしまった。
一気に!
私の手から出た炎は一瞬で鍋もろとも食材を燃やしてしまったんだけど……
ドンとでかい火柱が立ってしまったのよ!
「キャーーーー!」
イリーナの悲鳴が響いた。
「ウオーター!」
私は上から水をかけた。
でも焦っていたから、また、大量の水が落ちてきて、食材や皆を流してしまったのよ
今度もドバーーーーーと
火は一瞬で消えたけど……食材が……
「何事だ?」
お兄様達が飛んできた時は全てが流された後だった。
「ああああ!」
「私のお肉が……」
イリーナとモンモンの文句の言葉が響いた。
私のお腹に……
あれから、お兄様とブラッドで皆を乾かしてくれた。
でも、被害は甚大だった。
飛び火してテントも私のザックも燃えてしまった。
残った食材も大半は私の水で流されてしまった。
後に残ったのは、袋詰めされた乾パンだけだった。
乾パンは最後の非常食だから五人で2日分くらいはあった。
まあ、飢える事は無いんだけど……
あれから、私はお兄様から延々と起こられてしまった。
「あれほど魔術は使うなって言っただろう。それも、おなじ過ちを犯すなんてどう言うことだ!」
火魔術のあと大量の水魔術を使った事を延々と怒られたんだけど……
私は一応イリーナに火をつけてくれるように頼んだのに!
それを馬鹿にしたイリーナとモンモンが悪いのよ!
言い返したかったが、二度も同じことをしたのは私だ。
「アリスは二度と魔術の使用を禁止だ」
お兄様が最後通牒を差し出してくれたんだけど……
そんな!
私はとてもショックだった。
「おい、フランク、そんなことしたら戦力の大幅な低下は免れないぞ」
ブラッドが珍しく私の味方をしてくれた。
「しかしな、アリスが魔術を使うと副作用の方が酷いじゃないか!」
お兄様は当然のように断言してくれた。
「このまま行くと際奥の間に行くまでに俺達自身が燃やされてしまうぞ」
お兄様が酷い事を言ってくれた。
そんな訳無いじゃない!
私はそう主張したかったが、
「この惨状を見てもそう言えるのか?」
お兄様に焼けてしまったテントの破片を見せられて何も言えなかった。
そして、冒頭のモンモンとイリーナに戻るのよ。
「また、この固い乾パンよ」
「本当に誰のお陰なんだか」
2人は白い目で私を睨んできた。
「煩いわね。元々私に火魔術を使わせるからでしょ」
私が文句を言うと
「ここまで酷いなんて思ってもいなかったわよ」
「何も食料やテントまで燃やすこと無いじゃない」
2人に言われてしまった。
結局、野宿になった。
まあ、火を焚けば問題ないだろう。
本来ならば魔物が襲ってくるかもしれないが、何故か魔物はほとんどいなかったし、問題ないだろうと たき火を真ん中にして、雑魚寝した。
モンモンとイリーナを真ん中にしてお兄様とブラッドが挟む。
私は一人反対側で寂しく寝ることにしたのよ!
皆の視線が冷たいし……
本当にもう知らない!
ブラッドとお兄様が交替で寝ずの番をすることになった。
普通は障壁で全員を覆うんだけど、魔術の使用禁止とか言われたから、私一人だけこっそりと障壁を張ることにしたのよ。
まさか、その夜に襲撃があるなんて私達は予想だにしていなかったのよ。








