6-5 2-5の裏面
昨日投稿するの忘れてたんで今日は2話投稿してます……。
◇◇
僕は本当に有能だなぁ。最高だ。
持っている情報もそうだが、僕に足りない部分をいい感じに埋めてくれている気がすると、再確認する。
「僕は今とってもいいことをした気分だ……!」
魔王討伐に必要な仲間を集める過程で、僕が満足している。僕はそこまで労力をかける気にはなれなかったが、僕が望むなら付き合おうと思っている。
僕はどうも、ヒーローというものに憧れを捨てられていないらしかった。
「……強くはあったが、魔王に対して有効打になるかと言うと微妙だな。前回の精神病患者の方が魔王に対してはずっと良い」
周りに人がいないので、僕は僕に主観を述べる。
「物理的にはそんなに強くなかったけど、精神的には強いんじゃないのかい?」
やはりあのサーノスとやらに期待をしているようだ。
「いやどうだろうな……あれはそういうものでは無い気がする。もっとこう、シンプルでそれでいて最悪な……」
その感覚自体は勘だが、僕の勘は意外とよく当たる。
「ああ、それが二面性ってことか」
僕は頷く。
相変わらず察しがいいな。
そんなこと忘れていた。
「ま、元の人格はだいぶマトモなんだろうが、生まれ持ったスキル…特質?に引っ張られて歪んでいる。見てられないな」
スキルは旧代の言い方であることに気づき、訂正する。
「……何1人で会話してんの?」
人形を抱えた少年が近づいてくる。
あのくらいの大きさなら少年でいいよな?
そう僕に確認したいが、さっき少年が発した言葉からして警戒されているようなので、言葉が発せられない。
「ああ、こうやって1人ですり合わせをすると、情報がまとまるんだ。暇つぶしにもなるしね」
1人…ま、嘘じゃない。
僕は相変わらず話を終わらせるのが上手い。
口が上手いと言うべきか。
「歩きながら暇つぶし……お兄さんどうかしてんじゃないの」
……言われてみればそうかもしれない。
僕は街ゆく人の動作なんて見ないから分からないけど。
「ぐっ……」
ここで余計なことを言わないのは多分僕の処世術なんだろう。
本当によく考えられている。
無理のない範囲で許される、会話可能な変人に収める……なかなかできることではない。
何故他人と合わせようとするのかは分からないが。
おお、僕がリストを見ている。
当たり前だが、僕の目にも入ってくる。
人形使いのリール。人形を熱心に集め続ける少年。
なんと反応するべきか迷うな。
好きな物を特技にしてるのはいいと思うが。
「君に会えたから、暇つぶしはもういいんだ」
それ口説く時の文言じゃないか?そう思ったところでこれは過去の記憶を再生している夢だ、ということに僕は気がついた。
◇◇
「僕と僕って同一人物だけど結構中身は違うよね?」
僕が鏡を見ながら聞いてくる。その行動になんの意味があるのか分からなかったが、僕はその問に答えることにした。
「魔王に僕が答えていた通り、僕と僕は全く同じだ。しかし経験が違う。記憶も異なっている。だから行動が変わる。目的は同じにもかかわらず」
「……ああ、生きる意味を探している?」
「その通り。魔王が人類を嫌悪し勢力図を拡大することを目的とする存在ならば」
「僕達はその存在を成立させるために。ノミ以下な今を変えるために?」
「ああそうだ。生物になるために。僕達は目的を探さなければいけない」
「そうだね。僕は僕の価値を上げて、生きてて良いって証明する」
「証明できたらその時は、僕と僕はようやく別人だって言えるんだ。そうしたら僕はきっと孤独に耐えられなくなって僕を求めるのさ」
「ふふ、そうだね。きっとそうだ」
同じ顔、しかし違う表情で僕が笑っていた。




