森の守り神2
ドラゴンの群れの攻撃を受けたランベルクとグランツの軍は敵から一定の距離を取りつつ睨み合いを続けていた。
大軍である敵の方が森の中では木々や林が邪魔をして歩みが遅くなる。
こちらの方が数が少ない分、有利なのは間違いない。だからこそ、ランベルク達は攻めずにいるのだ。敵は森を避けて突撃を仕掛けるしかない。
もしも森の中へと入り込んでしまえば後方から攻撃をもろに受けてしまうためだ。
だが、その裏で敵の企みが着々と進行していたのだった。
俺達はその企みを阻止する為に森の中へと向かう。
森を進むと魔獣の気配がそこかしこにある。だが、向かって来る気配はない。
エルロンドの魔法はあくまでも身を隠すだけで、臭いまでは隠しきれない。
嗅覚の鋭い魔物達には俺達の事など完全に認識しているはずだ。しかし、こちらを認識していても攻撃して来ないのは何者かに操られているからだろう。
だが、それはこちらには好都合だ。魔獣を相手に立ち回るのは俺でも少々骨が折れる。
今はエルロンド、アリサ、レイラを連れている。ここで無数の魔物との戦闘はリスクがあまりにも高い。仲間を守りながら戦うのは厳しいと言わざるを得ない。
エルロンドの姿を消す魔法で見えなくなった俺達は森の中を進んで行くと、何かの鳴き声が聞こえてきた。
耳をつんざく鳴き声に俺の中で恐怖心が無意識のうちに体をこわばらせる。
それはエルロンド達も同じようでその場で固まっている。
俺が鳴き声の主を見ると、それは余りにも巨大な真っ白なマンモスだった。
あれはなんだ? マンモスか?
瞳に映るあまりにも大きな、まるで数千年は生きた大樹のような胴体に鋭く伸びた二本の牙、長く太い鼻はまるで鞭のようにしなやかにたゆんでいる。
「……あれはキングマンモスか? 伝説の魔獣がなぜここに……」
エルロンドは絶望した青白い顔で真っ白な巨大な城のようなマンモスを見上げていた。
アリサもレイラも恐怖心に身がすくんで動けないようだった。
2人の涙で潤んだ瞳からは光が消えていて、完全に戦意を喪失してしまっている。
そのマンモスの目が赤い光を帯びているのを見て取った俺は、あのマンモスは何かに操られている事が分かる。
……ここは俺がやるしかない!
俺は恐怖心を払い除けるように剣を鞘から引き抜いた。
「エルロンド様! あいつは僕が仕留めます! 援護をお願いします!!」
「……無理だ! 止めろ! リオン!!」
「行きます!!」
俺はエルロンドの静止する声を無視して足に力を込めると、一気に地面を蹴って加速した。




