大規模な戦争7
「なるほど……だが、今はその何者かに感謝しなければなるまい! 敵兵は追わず負傷者の救援にあたれ! 敵には魔物を使役する能力者か魔道具があるようだ!」
「はっ! すぐに全軍に伝達し! 負傷者の救護に取り掛かります!」
兵士はランベルクに敬礼をして下がっていく。
「グランツ。我々も一度、進軍をやめて敵の出方を待つぞ! 魔物の群れを使役できるとすれば厄介だ」
「はい! しかし、師匠。ドラゴンの群れを倒した者達は敵でしょうか? 味方でしょうか?」
グランツの問いにランベルクは首を横に振った。
「分からん……しかし、敵の可能性も捨てきれない。ひとまず、その何者かが居たであろう場所に行ってみよう。手掛かりがあるかもしれない!」
「はっ!」
ランベルクとグランツは馬を走らせて報告のあった火球の上がった場所へと向かう。
馬を降りるとランベルクは周囲の地面を見渡して微かな笑みを浮かべる。
「フッ……なるほど、そういう事か……グランツ!」
ランベルクはグランツを呼ぶと地面を指差した。
「はぁ〜。これは頭の痛い……」
グランツは頭を押さえながら大きなため息を漏らす。
その視線の先には複数の子供の足跡が残されていた。
「……アリサ、リオン。おそらく、エルロンド様もか……はぁ〜」
「まだ断定はできないが、お互いに子供には苦労させられるな、グランツ」
そう言って大きなため息を漏らすグランツにランベルクは微かに笑いながら言った。
俺達はランベルク達に知られた事など知らず、敵の軍の中に姿を隠して潜伏していた。
敵の大将と思われる高級そうな甲冑を着た醜悪な顔の小太りな中年の男が馬の背の上でタバコをふかしている。
「ふぅー、敵の様子はどうだ? ちゃんと追ってきているか?」
「いえ、ブサイン様。敵は我々と距離を取って布陣したまま動きはありません。情報によれば負傷者の手当をしているとか……」
兵士がそう報告すると、男はつまらなそうに舌打ちをする。
「チッ! ドラゴンが被害を出しすぎたせいで警戒したか……まあ、いい。ドラゴンはやられたが、飛ぶトカゲなどただの的だ。それでも敵に被害は相当与えただろう……今度は森に誘い込んで狼どもの餌にしてやる」
ブサインは手に持った笛を握り締めて不敵な笑みを浮かべると、遠くにある森を見つめていた。




