自由に生きる
親父との戦いが終わり、身体の傷を癒すためしばらく王国に滞在した。
王国の騎士達は俺達に話しかけることもなく、捕まえようともしなかった。
王国中にもリーフがいることや、昨日俺と親父が戦ったという噂すら流れていなかった。
どうやら親父が約束を守ったらしい。
傷が癒えた後、俺とリーフは海辺の街へと向かった。
「いいのですか? ザインガル様。この大陸から離れて」
「あぁ・・・ここだとリーフを知っている人もいるだろうし、ほかの大陸に渡ろう。ここじゃあ不自由なことが多いからな」
「いえ、私が言いたいのはザインガル様まで付き合う必要はないということです・・・私一人でいいのでは?」
俺はそれ以上言葉を吐き出そうとするリーフの口を指を当てて塞いだ。
「俺はお前と一緒にいたいんだ。お前が自由に過ごすのはいいけど、それに俺はついていきたいんだ」
「・・・・・・ザインガル様」
そんなことを話していると船が港に着いた。
俺とリーフは船に乗船して、風に当たっていた。
海の涼しい風が塩の匂いを運んでくる。
果ての見えない地平線は、水色一色に塗り尽くされていた。
風に当たりながら、リーフと船の出発を待つ。何気ない時間だが、この時間を過ごすだけでも果てしない苦難があった。
ふと腰に着いたガロンダイトの柄を右手で撫でた。
昔自分が使っていた武器なのに、まるで初めて持ったような重さを感じる。
大して時間は経っていないのに、この剣を振るっていたのが随分と昔のように感じた。
刀身も綺麗に磨かれていたし、親父は手入れしていたのだろう。
恐らく親父は口ではあんなことを言いながらも初めから、答えは決まっていたのかもしれない。
「ザインガル様」
「どうした? リーフ」
「ザインガル様は新天地についたら何をしますか?」
「傭兵だな。俺は戦うことしかできないからな。リーフはどうする? 別にほかの仕事も探せばあるぞ」
俺の言葉を聴くとリーフは首を横に振った。
「いえ・・・私もザインガル様と傭兵をします。私はもう何にも縛られていません。だからザインガル様と自由に傭兵をすることが私の生きる目的です」
太陽のような満面な笑みで答えを返すリーフを見て、自分の顔が熱くなるのを感じた。
「・・・・・・そうか」
リーフの顔をまともに見れずに答えを返すと船が揺れ、動き始めた。
「新しい場所で何が待っているのか楽しみだな。リーフ」
「はい、ザインガル様」
船に揺られて、二人で新天地を目指す。俺達は自由に生きていく。
先が見えない未来だとしても、何者にも縛られない強い意志と心を持って。
完




