Ⅹ_然り
……いや、うん。
夜の戯れもそうなんだけどさ?
俺は心も本気だったと、信じてる。
勘違いじゃなければ、モダも俺のこと、少しは意識してくれていた。普通の人なら優しさだけで、俺のふざけ半分の誘いに「構わないけど」なんて言うはずがない。
"怪物"と呼ばれるモダと、"怪魔憑き"と言われる俺。少し立場が似ていたから、何処か、孤独を埋め合うような関係でもあったんじゃないかな?
俺は神様になることを夢見てたけど、誰も認めてくれないことはわかってた。でも、踏ん切りがつかなくて、ずっと無理をしていた。
自覚はなかった。でも、俺の本音はモダの言う通りだったんだ。
俺は、神様になる鍛錬を続けながら、逃げる言い訳を探していたんだと思う。
足枷であるシニガミをどうしようもできないから、誰かを出汁にして、自分を納得させたかった。
それと。モダの存在もまた、俺の"嘘つき"を加速させていた。
だってどれだけ「やめなよ」って言われてもさ。「じゃーやめる♪」なんて、軽々しく言えないじゃん?
「まだ頑張れるよ♪」って、明るく言いたいじゃん。
好きになった人の前で弱音吐くの、カッコつかないから。
……けど、最終的に。俺の出汁になったのはモダだった。
モダを失って。俺はようやく、夢を捨てた。
……要はセフレに過ぎなかったということですね。




