表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流浪の遊び人 *王道少年漫画風・お下劣ファンタジー*  作者: 紅山 槙
虚無の天使は遊び人と契らない愛を交わす(全13話)
39/49

Ⅲ_過去

死神は茶々入れしないと気が済まない。


 初めてシニガミと会ったのはいつだったか。


?幸運を操る?能力を授かった日。

 辺り一面が血に染まった日。


 俺は人間界の生まれじゃない。ある一定の年齢になると能力を得られる、神界の人族の里で生を受けた。

神様に最も近しい人族。人間界では"天人(てんじん)"とか、"無神族(なしがみぞく)"とか呼ばれるが、能力を持つ以外は普通の人族と変わらない。


 だが、そこから神様は現れる。志ある者は、既に権力がある神様の門下に弟子入りして、修行に励む。それが?神様候補?と呼ばれる人たちだ。


「そもそも"神様"って何か、というと。人を助けることで利益を得る存在♪」


 ……いきなり何? お前。


「んー? スロスが走馬灯みたいなこと考えてるから、俺も頭の中の整理手伝ってる♪」


 あ、そう。勝手にしろ。


 ……太古の昔、人であった"神様となる者"は、誰にも知られていない神秘の力を見つけた。"神様となる者"はその力を使って、病や災害といった、災いから人を守るために奮闘した。


 その神秘の力は、今は"神術"と呼ばれる。お伽話風にいえば、魔法。そして"神様となる者"は王様となり、人間の世界から隔離した、異空の国を作った。神術は、その国の人たちだけが持つ、秘密裏の技術だ。


 やがて、人と神の国は完全に分離し、神様は人間界に直接姿を現わす機会がなくなった。人間界の多くの人々は生涯神様に会うことはないため、神様を雲の上に感じ、存在を認識できなくなった。


 そして、時が経ち、次々と新しい神様たちが現れるようになる。神界で神様になった者達は、神術を利用して人間界の信仰を集め、見返りを貰うようになった。やがては如何に人に信仰されるかどうかが、神様の身分に影響するようになったんだ。


「ホント不思議♪ 元々人族だったんでしょ? 神様ってのも。俺も人間界行って、神界との違いにびっくりした♪ 怪魔もたくさん見たし。人間界の怪魔が俺の祖先? あはは♪」


 神様たちはそれぞれアイデンティティのある能力を売りにする。怪魔という物理の悪魔に対抗する力の他、病払い、恋の成就、勉学の補助など、あらゆる方面で人を助けている。


 例えば、戦の女神で有名なのが天神フェリス。教会としての軍力も高いから、人間界では世界中にその勢力を広げていて、町によってはフェリス教会が町内統治をしていたりする。


 信者の数が神様の勢力になるから、フェリスさんはどんな神様の中でも一番権力が高い。神様の位を軍隊の階級で例えれば、将軍レベルだ。


「コネをフル活用して、"不運を操る"フェリス神と文通するまでこぎつけたのにさ。結局能力のことは何も分からなかったじゃん♪ ただの取り越し苦労♪ 残念無念♪」


 能力の"代償"は自分に返るものとは限らない。程度にも個人差がある。フェリスさんの"不運を操る"能力の代償は、「動きたくなくなるほど体が疲れる」だそうだ。


ある"時を操る"力を持つ人は、「時を操られた存在が周りから一定時間認識されなくなる。自分に使えば自分が、他人に使えば他人が」と、言っていた。


これはまー……見方によっては代償というより"追加能力"なんだが。こういう感じに、能力の反動が良い方向に働くパターンもある。


 フェリスさんの能力は俺の逆バージョン。"不運"も"幸運"も形があるものじゃない。


フェリスさんからは、

「良き運も悪しき運も、誰かの行動から始まるもの。不運を名乗るその"存在"をお前がどうにもできぬ相手だと言うなら、妾もどうにもできん」と、答えをもらった。


 そういえば、シニガミが……こいつが"不運"を自称したのもいつだ? 確か、最初からではなかった。


「いつだったんだろうねー? スロスが神様候補になる寸前くらいだったと思うけど♪」


 ……怪魔という"存在"。

幸福の"代償"。


「俺の不運」は、元々俺の意識が考え出した肩書きなのか?


 なら、シニガミは一体何者なんだ?


 絶滅したとされる神殺しの怪魔が、何故"代償"の形で現れる?


 どうして俺の姿をしている?

 どうして俺を追いかける?


 ……その答えにはまだ辿り着かない。


「俺ってさ。たぶん、死ぬ度に死んでるんだよ♪」


 ……?


「俺も、俺が誰だかわからないし? スロスも俺のこと知らないし。わかっているのは、"死神"という怪魔であること。あんど、スロスの"不運"であること。スロスが知ってること、そのまんま♪」


 ……。


「俺がやってきたことは、スロスが全部知ってるからさ。だから、スロスと俺は同じなの♪」


 ……?


「"死神"は次々に死んで、転生している。生まれ変わる度にスロスになっている。だから結果として、不死身になる。なーんて♪ 仮説を立ててみたんだけど。どう?」


 ……。


「……ま。結局何でなのかわかんないんだけど」


 どういう意味だ?


「教えな――――い♪」


 ……。あ、そう。


「知りたい? 知りたいなら三回回ってワン! って奴やって?」


 動けないから無理。


「じゃあ教えられない♪ 死ぬまでもやもやしてなよ♪ あはははははは!」


 ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=978209740&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ