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流浪の遊び人 *王道少年漫画風・お下劣ファンタジー*  作者: 紅山 槙
episode2 狩人たちは遊び人といつしかの旅路を進む(全22話)
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ⅤⅢ_粗茶


 マイフがぐうぐうといびきをかき始めた。その少しあとに、ぱさっと布を動かす音がした。


 アイニーちゃんだ。ラティロを起こさないように、そろり、そろりと、手と膝で歩きながら離れて、俺と目が合った。


「どうしたのー? 喉が渇いた? それともお花摘み?」


 俺が聞くと、アイニーちゃんは首を振って「ずっと起きていました」と答えた。


「やっぱ眠りにくいよねー。地面はベッドと違って硬いしさ♪」


「え、ええ、それもありますけど……」


 アイニーちゃんはもじもじしている。んー、やっぱりトイレかな? 男しかいないし、はっきり言いにくいよね。


「何処か行くなら、近くまで付き合うよ♪」


「……いえ」


「生理現象は我慢しないでね。現実的な話をすると、排泄は少し離れたところでやらないと厄介なんだよ。怪魔が匂いで、人の存在感じ取って寄って来ちゃうからさ♪」


 ちなみに、その習性を逆手に取って怪魔を一網打尽、なんて戦法も世の中にある。


 ついでに、女型怪魔のマーキング跡を集める変わった趣味の人も世の中にはいる。


「その……」


 アイニーちゃんは俺の近くにそろそろと近づいて来て、小さな声を出した。


「……黄色です」


「ん?」


「ぱ、ぱんつの色……黄色です……教えていなかったので……」


「……」


 この子。超、いい子だ!!


「いやー、無理してくれなくてもよかったのにー♪ でもありがとう。お礼覚えててくれて♪」


「……スロスさんは、怪魔から直接助けてくれましたから。怯える私を慰めてくれて、お茶もご馳走になったのに……お礼を言わないのも、申し訳なくて……」


 ちょっと天然っぽい感じが可愛いらしい。


 黄色かー。黄色。うん。アイニーちゃんっぽい♪


 ようやく頭に詰まっていたもやもやが取れて、すっきりした♪


「あ、またお茶でも飲む? ぬるめのを飲むと、落ち着いて眠りやすくなると思うよ?」


「……はい。いただきます……」


 木の取っ手がついた鉄製のカップを用意。それを石で囲った焚き火にの上に乗せて、水筒に汲んでおいた水を注ぐ。


 続いて、ハーブの茎で編まれた籠から、小さく切った干し飴(果物とかを小さく切ってガチガチに乾燥させた砂糖菓子のこと)を取り出して、いくつかドボン。そこに少ーしだけ蜂蜜酒を垂らすと……超簡単な甘いお茶が完成!


 ハーピィ狩り待ちの時に煮出したような紅茶の葉でもいいんだけど、今は火力弱いからね。加熱不足でお腹壊しちゃうと怖いから。


「はい、どうぞー♪ カップの底は熱いから、気をつけて♪」


「ありがとうございます」


 アイニーちゃん猫舌なんだって。慎重にカップの中身に口をつける姿も、なかなかいじらしい。


「……甘くて、美味しいです」


「それはよかった♪」


 ……しっかしねー。こんな大人しそうな子が、神域にねー。見たところ、十八歳かそれ以下くらいだろうし。度胸あるよ。



次回、とうとう禁断の関係に……

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