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流浪の遊び人 *王道少年漫画風・お下劣ファンタジー*  作者: 紅山 槙
episode2 狩人たちは遊び人といつしかの旅路を進む(全22話)
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Ⅵ_夕餉

※糞食描写注意

 そして、俺たちは薪になりそうな枝を拾いながら足を進めていき、夕暮れの寸前あたりになってから、野営のための火を焚いた。


 ラティロは鍋に川の水を沸かし、採ってまだ半日も経っていない山菜を、皮つきのじゃがいもと一緒にぐらぐらと煮込み始める。


「この草は食べられるのですか?」と真っ黒になる汁を見て不安そうにするアイニーちゃんに、

「ええ、黒ゼンマイと言う野草で、食べるには灰汁をしっかり取るのがコツですよ」

と、ラティロはサバイバルグルメのウンチクを楽しそうに語りだした。


 俺もアイニーちゃんとお話ししたいんだけどな――――!


 まるでガールズトークな世界観から追い出されるように、俺は強面の野郎とお肉狩りに行かされた。はあ。


 俺とマイフそれぞれウサギを一頭ずつ仕留めて、血抜きと皮剥ぎを済ませてから戻った。それをラティロが刃渡りの短いナイフで手早く解体して、肉をぽちゃぽちゃと汁の中に放り込んでいく。


「内臓も使うのですか?」とウサギが捌かれていく様子を興味深そうに見ているアイニーちゃんに、「ええ、ウサギの糞の詰まった腸を、このままソーセージのように捻ってよく焼いたものも食べられますよ」と、ラティロは珍味のウンチクを楽しそうに語り出した。


 うん、ラティロ、ちょっと待って?

ウサギのウンコって食えるの?


 結果、今日の晩飯は、汁が真っ黒なウサギ肉の山菜スープとウンコソーセージだ。


 スープはうまかった。ウサギ肉の淡白すぎない口当たり、黒ゼンマイのしこしこした食感と濃厚な味。野宿の飯にしては食べ応えがある。じゃがいも入ってるからかな?


「ウサギってよォ、確か栄養補給のためにウンコ食うんだよな?」


「マイフ、食事中にその話やめて?」


 苦い草の味がするソーセージは、マイフも俺も腹満たしのために手をつけた程度で、アイニーちゃんも微妙そうな顔をしていた。


 食べかけのソーセージを片手に、ラティロは、

「このあたりは草の生えている場所が限られているから、ウサギが食べる植物の種類も限られているんだ。糞の形と匂いからして、この腸詰めは食べられると判断したんだけどね」


 と、俺たちの反応を見て自慢気に話していた。ソーセージを平気で食べている。やたら嬉しそうなのは、大物のハントで機嫌がいいのと、むさいパーティに花があるからだろう。


 鍋は空っぽになった。汚れた食器を川の水ですすいで、武器の点検をしたら、そろそろ寝る時間。睡眠に使う九時間の中で、三時間交代で見張りをする。男衆で「じゃんけんぽーん!」したところ、マイフが一番、俺が二番、ラティロが三番目となった。


 で、アイニーちゃんはラティロの隣で眠ることに決定。俺はめっちゃ離れて寝るように命じられた。さらに、ラティロは革の鞘に入れた刃渡りの長いナイフを「万が一の護身用です」と、アイニーちゃんに渡していた。


「あ、あの……」


「不安もあるでしょうから、武器を手に持っていた方が落ち着くと思います。身の危険を感じたら容赦なく刃を抜いてください。躊躇いは禁物です」


「俺をちらっ、て見ないでよラティロ」


「大丈夫です。何かあったら、わたしがアイニーさんをお守りしますから」


きらーんと白い歯が光りそうないい笑顔。

外見ショタのくせに、イケメン気取りしちゃってさー。


 焚き火を申し訳程度の明かりにしてから、マイフが槍を抱いて木にもたれかかった。


 チャンスは寝て待て、ってやつかな。

 自分の荷物を枕にして、俺はごろりとふて寝した。


評価、ブクマ感謝です!

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