keyB-2,3共通:歪曲する因果Q:幸せの力:伊吹 由香
もうすぐでーーー分岐!
選択の先にある未来は、二つに一つ。
自分の傷を
癒されるか、受け入れるか。
ただそれだけのために、一年くらいこの話書いてるな。
TiPs〜
時とは、変化を記述する術である。
故に、「今この時を全て」として生きるものには、何の意味も持たない。
ーーーされど。
されど、人は時とともに歩む存在である。
故に、自身に問いかけ続けるーーー自身がどこから来て、どこへ行くのかと。
……私は、思う。
きっと、人の求める、その永久の命題に、答えは無いと。それでも、不完全であったとしても、答えを導くことはできるはずだ。
そう、少しだけ視点をずらし、自身に、こう、解いてみればいい。
「なぜ自身が、「その問いの解」を欲するのか」と。
ーーーその答えこそが、きっと、そのまま「問いの解」となるのだろうから。
※
keyB-2,3共通:歪曲する因果Q:幸せの力:伊吹 由香
駆けてきた女の子の、首が跳ね上げられた。
涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、それでも諦めること無く必死に、ここまでたどり着いた少女はーーーーここまでだった。
女の子の頭が、地面に落下する。
くるくると回転しながら、地の底へと。
ゆっくりと、落下するーーーこれが、走馬灯なのだろうか。
時間は無限に引き延ばされ、少女の首は永久の落下を続ける。
いつまでたっても、少女は落下し続ける。
永久に永久に、久遠の園にて。
『もういい……関係ない……どうなろうと、もう、どうでもいい!!!』
響き渡るのは、怨嗟の涙。
私を責め立てる、必死の声。
でも、その声に重なるように、もう一つの声が聞こえた。
ちいさく、『たすけて』と。こぼれる涙のように、『ねぇさま』とも。
それは、私の心を揺り動かす。
奥底にしまわれた、大切な何かを呼び起こすーーーそれはきっと、約束とよばれるもの。
たぶん、とてもとても遠い過去に交わした、私たちの約束。
たぶん、私が私でなかった頃の、そして、彼女が彼女でなかった頃の約束。
昔話で語られるくらい遠い過去に交わした、あの日の約束。
……ううん。ちがう。本当は、違う。
これは、とても遠い昔に「交わされるべきだった約束」だ。
けれど、それが叶うことは無かった。
私が、弱すぎたから。
私が無知で無力で、そして。
『おまえを、ころす。
ころして、私も死のう。こんどこそ、本当の意味で、私は『死』ねる』
でも、今は違う。
あの世界でーーー忘却の定めの中、私は得た。向こうの人たちに迷惑をかけながら、必死に。
得ることの叶わない世界で、必死に。なぜ、自分がそれに手を伸ばすかも分からなぬままに。
……今なら、分かる。それは、未来のためだ。
いつか遠い未来で、約束を交わすため。そして、それを果たすために。
時は過去から未来へと、現在を介して流れてゆく。
逆行することは、許されない。
それでも、私は確信する。
あのとき。
わたしはきっと、この未来があったからこそ。
この未来に、輪廻の果てに巡り合えると信じられたからこそ!
「私は無力じゃない。もう、無力じゃ!」
私は、思い出した。
この世界の対岸で、忘却の世界で。私は、その世界の力を得たんだ。
世界の力を。そう、忘却の力を!
『あアアあああアアアああああああアアアああああああdjafdjalkfa!!!!!!!!!!!!!!!』
強大な大蛇が、私を丸呑みにしようと襲いかかる。
強大な、恨みの固まりが、私へと襲いかかる。でも、あれはあの娘のものじゃない。
あの娘がーーー小羽ちゃんが、500年という孤独に耐えかねて集めてしまった、他者のそれ。
ならば。
ならば、それを消し去ることができるなら。
もし、それが叶うなら。私たちは!
「っつ!」
私は、私のすべてを感覚に投入した。
魂に刻まれた、あの傷へと手を伸ばすために。そして、私はーーーー
<あん!? かけらじゃねぇか!>
私はーーーー傷へと手を伸ばしていた私は、誰かの声に引き戻された。
意識が、外へと投射される。
……はたして、そこには。
「へーーー?」
そこには、見知らぬ誰かがいた。
そのだれかも、まともなヒトじゃない。
青白く光る、ヒトーーーなの?
そのヒトが、小羽ちゃんの黒い蛇を受け止めていたーーー片手で。
そして、「くっそ、こっちは躯捨ててきたのに、サテライトかよ……」と、嘆いている。「ヤッテも本体じゃなきゃ意味ねぇしな……」とも。
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アカシックレコード
key factor
ヒーロー候補 伊吹由香:忘却の御手:破棄:精魂励起の収束を確認。
精神物質の浄化能獲得に失敗しました。以下、物語を続行します。
ふむ。