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黒瀬部長は部下を溺愛したい  作者: 桐生桜


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33/33

CASE:33 はぁ……危な

 キラキラ輝くイルミネーション。


「そろそろ帰るか」

「そうですね」


 でも慧はまだ手を離してはくれない。


「慧さん?」

「……やっぱり」


 顎をそっと持ち上げられる。


「莉央」


 甘い声。

 慧の指が、髪を耳にかける。

 その仕草だけで、くらくらする。


「……キスしたい」


 低く落ちた声に、息が止まった。


「嫌なら止める」


 そんなこと言うのは反則だ。

 こんな優しい顔されたら。

 拒否なんて、できるわけない。

 小さく頷くと、慧がふっと笑った。


「……ありがと」


 その瞬間。

 引き寄せられて、唇が重なる。

 優しい。

 でも、熱い。

 触れるだけのキスなのに、心まで溶けそうだった。

 離れたあとも、慧は至近距離のまま莉央を見つめる。


「はぁ……危な」

「え?」

「可愛すぎて、このまま帰したくなくなる」

「~~っ」

 

 耳元で囁かれて、また鼓動が跳ねる。

 なのに慧は困ったみたいに笑った。


「でも今日は我慢する」

「慧さん」

「その代わり……」


 腰を抱かれる。

 逃がさないみたいに。


「次の休み、一日俺にくれ」


  独占欲丸出しの声。


「……はい」


 答えた瞬間、慧が嬉しそうに目を細めた。

 その顔を知っているのは……莉央だけ


 ◆


 帰り道。

 少し冷たい夜風の中、慧が繋いだ手を離さないまま歩く。


「……今日、すごく楽しかったです」

「俺も」

「また来たいですね」

「うん。また来よう」


 少し間が空いて、慧が覗き込んでくる。


「次は、泊まりで?」

「へ……っ!?!?」

「そんな顔するってことは、嫌じゃないんだ?」

「ちょっと、もう……ずるいですよ……」


 慧がくすっと笑う。

 そして、人通りの少ない場所で足を止めて……。


 ちゅ……。

 そっと、額にキス。


「まあ俺は……夜景より、莉央見てる方が好きだけどな」

「…………」

「だからあんまり景色覚えてない」

「そ、それは嘘です……!」

「いや、本気」


 繋いだ手が熱くて溶けそう。

 一緒に過ごす時間はあっという間で。

 気付けばもうすぐ莉央のマンション。

 次の角を曲がれば……ってところで。


「莉央」

「はい?」

「帰りたくない?」


 どくん、と胸が跳ねる。


「……っ」


 慧がちらりと視線を向けて、少しだけ笑う。


「顔に出てる」

「……だって……」

「ん?」

「……今日、すごく楽しかったから」


 小さな声。

 でも、ちゃんと伝えたかった。


 慧は立ち止まり、繋いでいた手を軽く引いた。


「……慧さん?」

「こっち」


To be continued

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