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黒瀬部長は部下を溺愛したい  作者: 桐生桜


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26/33

CASE:26 触れるだけ、な?

 腰に回された慧の腕に莉央の頬が熱くなった。


「……」

「…………」


 薄暗い中、お互いの呼吸が耳に届く。

 バレるのを恐れて莉央は微動だにしないが、内心はかなりパニックだった。


(こ、この体勢きつい……慧さんの太ももの上だし、動いたらバレちゃうかもだし……)


 うまく呼吸ができないくらいに緊張している莉央に。


「……そんな顔されたら余計キスしたくなるな」

「だ、だめですよ……バレちゃいます」

「莉央が可愛いせい」

「そ、んな……だって慧さんが……」

「俺だって……莉央のせいで困ってる」

「な、なにがですか?」

「だって、ほら……」


 そう言って慧の視線が下に落ちる。

 よく見れば胸を押し当てる形で密着していた。


「す、す、すみませんっ……すぐ離れますから」

「だめ」

「でもっ……」

「しっ……まだ高木がいる」

「………」


 外にいる気配がする。

 鼻先が触れ合うほどの距離に莉央の頬が少し熱くなるのを感じて、慧がふっと笑う。


「な、なんですか」

「いや、可愛いなって」

「っ!!??」

「……キスしたい」

「……ダメ、ですよ。バレちゃいます」

「……我慢か?」


 そう言いながら、慧は額をそっとくっつけてきた。

 甘くて苦しい時間。

 押し入れの外では、高木がシャワーを浴びてる音がする。


「慧、さん……今なら出れるんじゃ……」

「だめ。急に高木が出てきたら終わりだし」

「たしかに……」


 だけど、この状態のままはきつい、色々と……。

 密着する体。

 鼻先に感じる呼吸。

 触れ合う体温。

 意識しない方が難しい。


「莉央……」

「はい?」

「キス……したい」

「………だ……だめですよ」


 って言いながら強くは言えない。

 耳元で囁かれたその声が、やけに低く掠れていて……。

 莉央の胸が、きゅうっと熱くなる。

 慧の指が、莉央の頬にそっと触れた。


「莉央」

「……っ」

「……触れるだけ、な?」


 そっと、そっと、唇が重なる。

 ほんの少し、かすかに、息を確かめ合うような甘いキス。

 だけど、それだけじゃ足りなかった。


「……ん、ふ……っ」

「……ごめん。やっぱ、もう少しだけ」


 そう言って繰り返されるキスは、最初よりも熱く深くて……。

 舌先が触れるたび、胸の奥がじわっと溶ける。

 押し入れという密室で誰かがすぐそこにいるという緊張感。

 それなのに、慧の手はそっと莉央の腰に回り、背を引き寄せて唇を塞ぎ続ける。


「っ……け、慧さん……ダメ、ほんとに……っ」

「……莉央が可愛すぎて……止まんない……」


 ふたりの体温が高まっていく。

 慧の膝が跨っていた部分に当たって莉央の腰が揺れる。


「ん……やぁ、ほんとに、これ……バレちゃう……」

「……しーっ。声、我慢な」


To be continued

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