【第3話】示された答え
「ねえ真琴、もしかして——」
僕が言いかけたとき、千夏がぱっと手を打った。
「わかった! 体育バッグの中、確認しよ!」
「え? なんで?」
「なんとなく。陽の“なんとなく”が、だいたい当たるから」
真琴は半信半疑でファスナーを開く。
「……え? ちょっと、まって」
中から、白い布がちらり。
「あっ……! これ、私の——」
真琴は真っ赤になった。
取り出したのは、しっかり乾いた上履き。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? 私、入れた覚え……」
「多分、昨日の掃除のとき濡らしちゃったんだよね?」
僕は少しずつつながった断片を口にする。
「で、乾かそうとして体育バッグに入れて……忘れた」
「泥は花壇に水やりに行ったときのだよね?」と千夏。
「そ、そういえば……! 朝、保健室の方から来たのも、水やりのホース借りに行ったから……!」
真琴は両手で顔を覆った。
「も、もう恥ずかしすぎる……」
「よかったよ、盗まれたんじゃなくて」
僕が笑うと、真琴も苦笑した。
「陽くん、本当にありがとう……。気づいてたの?」
「うーん……気づいたけど、意味はちょっとあとでわかった、みたいな……?」
千夏が呆れつつも笑った。
「陽の観察力はホントすごい。この“説明下手ミステリー”スタイル、クセになるわ」
三人で大笑いした。
事件の規模は小さい。
でも、胸がじんわり温かかった。
(……上履きが見つかってよかったな)
そんな、平和な日常のひとコマ。




