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12.気が付いたら革命をしていた

ガブリエルは中等学校に進み、アデールは初等学校の三年生になったとところだ。

中等学校から進む、高等学校、研究機関でもある大学校も数多く作られた。

各領地の特色を生かした研究所も幾つか作られる予定だ。


今日は久しぶりにお忍びで街に出かける。

ビニスティが一緒について来るのはいつもの事だが、それに加え今日はアルベールの息子のクロードが同行している。

王国騎士団長となったアルベールには三人の息子がおり三人とも騎士団に入っている。

その内の一人が護衛についてきているのだ。


「ビニスティ。王都もかなり大きくなったな。」

「はい。第二城壁の更に外に第三城壁を作る計画になっております。

これも陛下の治世が良いおかげです。」

「いやいや。治世が良いのは優秀な部下のおかげだよ。」

実際、前世の知識を持っていてもそれを実現できるものが居なくては役に立たない。

その点、私は周りに実現できる人物が多くいたのが幸運だったのだ。


石炭は鉄の精錬に以前から使っていた為、容易く手に入った。

だが、石油探索中である。


外は雪が積もり王都を白く染めていた。

家々にはストーブに火がともり家々を温めている。

ストーブの上には鍋がかけられ、沸騰しているのか時おり鍋蓋を持ち上げている。

(そう言えば蒸気機関はまだ開発されていなかったな。)

その光景を見ていると

「陛下、一体何をご覧に・・・?!!」




王宮内には科学研究所が設置され、初代所長にはビニスティ・セザール伯爵が就いている。

その科学研究所に所長であるビニスティが入ってくる。

以前の様な慌ただしさはないが、急ぎ足である。

「所長。お帰りなさいませ。陛下との視察はどうでしたか?」

「滞りなく行われたが、陛下から課題を受けた。」


「鍋の蓋が持ち上がるのを・・・ですか?」

「まず原理から考えよう。湯を沸かした場合、湯気が出るな。」


1)湯気がある程度たまると蓋を持ち上げる。」

2)その後、隙間から湯気が抜け、蓋が落ちる。」

3)再び湯気がたまり蓋を持ち上げる」


「これは上下運動を繰り返す機構ですね。」

「・・・湯気により圧力が上がり、それが逃げることで圧力が下がる。」

「湯気を発生させる装置と上下運動させる装置を別に考えてみるか。」

「蒸気発生装置ですか・・・」

「蒸気?」

「ああ、湯気の事です。初等学校の教本に載ってますよ。」


「物質の三体・・・固体、液体、気体」

「蒸気は水の気体状態の事で固体は氷か。」

「物質の状態で体積が変わる、これはもしや・・・。」




ある日、ビニスティの研究所を訪れてみた。

少し大きめの機械を検証している様だ。

「これは何だね?」

「陛下!」

「この機械はこちらで薪をくべることで蒸気を発生させその力でこちらを動かします。」

「ほう、蒸気機関か・・・なるほど。」

「「「!」」」

周りの研究員たちは驚いた表情をしている。


「あと、薪じゃなくて石炭を使わないのか?」

「石炭?」

「鍛冶屋で鉄を溶かすのに使っているだろ?」

ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ・ザワ


「陛下申し訳ありません。不完全なものをお目にかけ・・・。」

「不完全?いやいや、順調に進んでいるよ。一歩づつ、問題はない。」

「・・・ありがたきお言葉、感謝いたします。」

「ああ、でも水蒸気爆発は気を付けないといけないな・・・。」

「はつ!」



「所長!陛下は何と?」

「順調に進んでいる様で問題はないと・・・。」

「「「おー。」」」

「だが、“水蒸気爆発に気をつけよ”と」

「水蒸気爆発?」

「水蒸気で爆発するぐらい力を使うという事か。」

「それを抑え込むとなると・・・。」


「しかし陛下はこれで何を?」

「往復運動だけでは種類が限られるな。」

「運動の変換、確か教本に回転クランクとピストンを連結させて運動を変えていたな。」

「「それだ!!」」




それから1年後、レオポルド王の前にその機械は出され、ご観覧となった。

「ついに蒸気機関が出来たのか。」

「はい。この蒸気機関により高速に回転を行うことが出来ます。」

「うむ。これで、鉄道ができるな。」

「鉄道?」

「うむ、この蒸気機関を大型の馬車に取り付け車を引かせるのだ。

その際、道を外れない様に等間隔に二本の鉄の道を目的地まで通す、それが鉄道だ。」


それから程なく、この世界で初の蒸気機関の発表と共に鉄道計画が公表された。

蒸気機関は様々なところで使われるようになり、この国の産業を革新してゆくのだった。


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