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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
83/89

ただいま

◇◇◇


「………。」


重たい身体が思うように動いてくれない。声も出ない。


どうしようかと困っていると、左手に温かさを感じることに気がついた。


左を見てみると、それはわたしの手を握って眠っているルーカス様だった。


見たことのある光景だなと、本当に帰ってきたことを実感する。


思い出せなかったのが本当に申し訳ないし、そのせいでたくさんの迷惑をかけてしまった。


これから、わたしに出来る精一杯の恩返しをしていきたい。


「ルーカス様…」


名前を呼ぶと、ルーカス様はすぐに起きた。


それほどまでに、わたしのことを心配してくれていたのだと分かる。


「ハンナ…?!…体調は大丈夫か…!痛いところは…?…記憶は、、記憶は、本当に戻ったのか……?」


ルーカス様はわたしの手を握ったまま、こんなに焦って質問をいくつも投げてくる。


それだけ心配してくれていたのだ。


「わたしは大丈夫です。…記憶は、本当に全て思い出しました。……ルーカス様。」


「…?」


わたしが、ルーカス様に1番言いたかった言葉


「愛しています。」


数ヶ月前は、愛していますと言葉にできなかった。


だから、遅くなってしまった告白の返事を今したい。


もう、出来なかったと後悔するのは嫌だから。


「本当か…。本当に、俺を愛しているのか…?俺は、ハンナに沢山酷いことをした。」


ルーカス様はこれまでのことを振り返るように、言った。


少しずつ、後ずさっていこうとする。


「その分、あなたは救ってくれました。」


「1度も守ってやることが出来なかった。」


「たくさんの愛情で、わたしの心を守ってくれました。」


「俺は、ハンナを幸せにすることは…!」


「今でももう充分幸せです。」


「…っ!」


ルーカス様が覚悟を決めて好きだと言ってくれたのに、最終的にここまでルーカス様の心を揺らがせてしまったのはわたしのせいだ。


こんなに不安にさせて、ルーカス様を傷つけてしまって、わたしまで心が痛くなる。


ごめんなさいと言いたい。


だけど、ここで言う言葉は、そんなことじゃない。


わたしが今言うべき言葉


「ルーカス様、ありがとうございます。」


わたしがそう言うと、ルーカス様は目を細めながら、涙を流していた。


その涙を見た瞬間、わたしはどうしても駆け寄りたくなってしまった。


力の入らない足を必死に動かしてベッドから出ようとすると、さきまで後ずさっていたルーカス様が慌ててこっちに来た。


このチャンスを逃さないように、わたしはルーカス様を抱きしめる。


わたしが抱きしめると、ルーカス様も抱きしめ返してくれた。


それがどうしようもなく嬉しい。


わたしはちゃんとここにいることを、ルーカス様に教えてあげたい。


「ルーカス様………」


「どうして泣いてる」


「ルーカス様が泣くからです」


「俺が…?」


気付いていなかったんだろう。


少しだけわたしの背中から手を外し、自分の頬を触っている仕草が伝わった。


見ていなくても分かる。


やっと実感出来たのだろう。


わたしが本当に帰ってきたのだと。


ルーカス様が強くわたしを抱きしめる仕草からすぐに伝わった。


代わりに、わたしも力のないなりに精一杯の力で抱きしめ返す。


すると、ルーカス様がわたしの肩に顔を埋めた。


「ハンナ、もう1度言ってくれ。頼む…」


「愛しています。ルーカス様。」


「もう1度。」


「この世で1番大好きです。」


「もう1度……。」


「これから一生、わたしはあなたのものです。わたしも、ルーカス様を愛しています。」


何度でも言ってあげられる。


これからはずっと。


わたしが遠慮する必要もなければ、ルーカス様が遠慮する必要もない。


わたしもルーカス様も、互いに互いを必要としていて、愛している。


「……も」


「どうしましたか?」


「俺も、ハンナが宇宙で1番大好きだ。俺はハンナのものだ。好きなだけ怒ってくれていい。泣いてくれていい。貶してくれても構わない。だが、どこにも行かないでくれ。頼むから…」


ルーカス様の声から、縋るような気持ちが入っているのが伝わる。


こんなにも心配させてしまったお詫びくらいはしないといけない。


せめて、わたしはここにいると実感出来るようなお詫び。


「ルーカス様、顔をあげてこっちを向いてください。」


「無理だ。今は涙で魅せられる顔じゃない。」


「安心してください。わたしもですから。」


「………」


わたしと同じだということが分かると、ルーカス様はゆっくり顔をあげた。


ルーカス様の顔は、涙で濡れていて、目元が赤かった。


やがて、わたしと目の位置を合わせて、こっちを向いてくれた。


わたしはルーカス様の涙で濡れた頬を触って、ゆっくり顔を近づける。


やがて、互いの息を吸う音が聞こえてくる距離まで近くなった。


「…ナ、ハンナ…?」


ルーカス様は大きく戸惑っていたが、それでも逃げる様子はなかった。


わたしは何も答えないまま、口づけをした。


そしてゆっくりと離すと、ルーカス様の顔は真っ赤だった。


「これで分かりましたか?わたしはどこにも行きません。ずっと、ルーカス様の隣にいたいです。」


「…ありがとう。……愛してる。」


わたしたちはもう1度、互いの愛を確かめ合うように口づけをした。


これからは、わたしも愛を伝えていこう。


彼が安心できるように、安らげるように、いつまでも好きだと言われるように。


最後まで読んで頂きありがとうございました!

ここからは投稿頻度が下がりますが、番外編として投稿はしていこうと思っていますのでもう少しだけ続きますが最終話まで見てくださると嬉しいです!

ここまで見て頂いて感謝の気持ちでいっぱいです!ありがとうございました!


誤字報告ありがとうございます!見つけた方教えてくださると嬉しいです。

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