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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
80/89

見覚えある風景

80話目突破いたしました!

もう少しで物語は終わってしまいますが最終話の後日談や番外編なども100話目までは書こうと思っています!

そちらも見てくれると嬉しいです!

そう。


記憶を失くす前のわたしが、この侍女に取っての仕えるべき主なのだ。


だったら、わたしがこの侍女に身の回りの世話を頼むのは筋違いというもの。


「なら、あなたは戻りなさい。あなたの言う奥様が戻るまで、少しだけ待って。きっと、ルーカス様かディラン様が方法を見つけてくらるから。」


「あ…すみませ…、そういうつもりじゃ…」


侍女はかなり動揺している様子だ。


でも、別に受け入れられなくて良いと思う。


記憶を失くす前のわたしは知らないけど、今のわたしは、この侍女に特別な感情を抱いている訳じゃない。


なのに、どうして心臓の辺りが苦しくなるんだろう。


「良いの。あなたがお世話をしたい主人が戻ってくるまで来なくていいわ。」


ああ、今。どんな顔でこんなことを言っているんだろう。


わたしは作り笑いが得意のようだ。


まるで何も気にしていないような表情も容易く出来た。


これは、記憶があったわたしが培ったもので間違いない。


「っ!違います……お世話を、させてください…。私も、奥様の記憶が戻るよう頑張りますので…どうか…。」


無理にお世話なんかしようとしなくても良いのに。


「分かった。でも今日は、もう戻ってくれる?わたしは大丈夫だから。」


なるべく、この侍女が負担にならないようにしようと思い言うと、侍女は部屋を出た。


何故だか無性に泣きたくなる。


理由は全く検討がつかない。


ただ、わたしの大切な何かが失われていっている気がして、それがどうしようもなく寂しくて悲しい。


入れ替わるようにルーカスが部屋に入ってくると、夕食を一緒に食べて、その日はルーカスと一緒に寝た。


次の日目を覚ますか心配だから確認したいらしい。


朝、わたしはしっかり目を覚ました。


だけど、ルーカスを安心させられたのも、本当に初めだけだった。


わたしは度々ボーッとすることが増えていった。


その症状が分かったのは、起きてから5日後のことだった。


暇だからと言って、本を数冊持ってきてもらい読もうとした。


けど、半分もいかないうちに、日が暮れていた。


不自然だった。


わたしが目を覚ました次の日も、こうやって本を持ってきて貰い呼んでいた。


その時は、同じ時間で確かに1冊読み切ることが出来ていた。


なのに、今日は半分も行かなかったということは、わたしの思考が止まっている時間があると言うことだ。


しかも、だんだん止まるじかんが増えている気がしていた。


ルーカスもそれは感じていたのだろう。


ある日、ルーカスが少し出掛けないかと誘ってくれた。


ずっと中にいることを気遣ってくれたのだろうが、わたしには1つだけ心配なことがあった。


けど、その心配を察したのか、ルーカスが先に大丈夫だと言った。


最近気づいたが、ルーカスはわたしの気持ちを読むのが上手い。


わたしがボーッとするしていることを自覚して怖くなった時も、ルーカスは何も言わなかったのに、次の日からわたしの部屋で仕事をしてくれた。


こんなに優しいルーカスのお願いを断れるわけがない。


しかし、足に力が入らないので着替えが困難なのもある。


「着替えはどうしましょう?」


「そのままで充分可愛いから大丈夫だ。」


当然のように言ってのけるので、少しおかしくて笑ってしまった。


すると、ルーカスも先とは打って変わって穏やかな表情になり、わたしも安心する。


そして、ルーカスが自分に気合を入れるように行こうと言うので頷く。


「その…」


ルーカスが少しだけ気まずそうに聞いてきた。


「身体に触れても、問題ないか…?」


「…!」


わたしを気遣ってくれる優しい言葉。


温かくて、救われる。


結婚しているのだから良いのでは?と思う気持ちを隠しつつ、もちろんですと返答した。


「ありがとう。じゃあ、さっそく行こう。」


その言葉と同時に、ルーカスはわたしを抱っこして、馬車まで運んでくれた。


貴族として、本当はパジャマで外出というのはあり得ないに等しいのだけど、仕方がない。


ルーカスも分かっていると思うから、多分今から行く場所は、人があまりいない場所だと分かる。


「ありがとうございます。ルーカス様。ですがこれは…」


確かにルーカスは馬車まで運んでくれた。


だけど、何故馬車の中でも膝の上に座らされているのだろう。


「どうした?俺たちは、いつもこうして馬車に乗っていたんだ。」


「そう、ですか。」


記憶がないため、この人の言葉が嘘か本当かというのも分からない。


…ルーカスの言葉は、何故か疑いたくない。


わたしは謎の気持ちを抱えたまま、ルーカスの膝の上に座り続けることにした。


そっちの方が、また抱っこするときに力を入れなくて良いと思ったから。


ルーカスの件は一先ず気にしないことにして、わたしは馬車の中から見える景色を見た。


その景色は、どこか見覚えがあって、でも思い出そうとすると、頭痛がする。


わたしは、見たことがあるんだ。


この、のどかで自然いっぱいの風景を。


この景色も忘れちゃうなんて、なんだか勿体無い気がした。

見てくださりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!

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