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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
49/89

疑問

◇◇◇


美味しい


今日も今日とて、美味しい夕食だとしみじみ感じている。そして明日は、ついにルーカス様にプレゼントを渡す日だ。


何かに対して緊張するのは初めてなので、どうしてもソワソワしてしまう。


ルーカス様もわたしのいつもと違う様子を感じ取ったようで気にかけてくれる。


「ハンナ?どこか悪いのか?」


真っ先に健康に関する質問が出てくる辺り、本当に過保護だ。


「いえ、大丈夫ですよ。ただ、明日はルーカス様の誕生日ですから」


「なるほどな。だが俺の誕生日は、ただ貴族共が俺に取り入る煩わしい日だ。だからそんなに緊張しなくて良い。」


とても寂しいことを言うものだ。わたしも祝ってもらった記憶はない。


だけどそれはルーカス様も同じことなのだろう。だからこそ、わたしがその記憶を塗り替えてあげたい。


「ルーカス様がそう言うなら、安心出来ますね」


わたしが少し口角を上げて言うと、ルーカス様も、「ああ、心配いらない。」と笑みを浮かべで言った。


だがわたしには、もう1つだけ気にしていることがあった。


「あの、ルーカス様。わたしの父は、明日来られるのでしょうか…」


念の為聞いてみると案の定、優しい笑みを浮かべて言ってくれる。


「そんな訳がない。ハンナの父は来ないから、そこも安心して良い」


誕生日をわたしに祝ってもらえると思っていないのか、それ以上誕生日に関する話題は出ずに、夕食が終わった。


その後は部屋まで送ってもらい、おやすみ、また明日と互いに言って部屋に戻った。


布団に入ると、思っている通り、頭は冴えていて眠れない。


別に貴族と会うから緊張をしている訳ではない。ただ、ルーカス様がこのプレゼントを受け取ってくれるか、喜んでくれるか、誕生日を煩わしい日から嬉しい日に変えられるか。


それが不安で堪らない。


渡すタイミングも重要だ。わたしがルーカス様にパーティーの最中に渡すと、また誘惑しているとかいう噂が回ってしまうかもしれない。


もちろんそんなつもりは毛頭ない。普段の感謝の気持ちを込めての贈り物なのだから。


それでも、ルーカス様の迷惑になることだけは避けたいと思っている。


色々と考慮した結果、パーティーが終わった後に渡すことにしようと決めた。


そして、渡す時間が決まったは良いものの、眠りにつけたのは朝方だった。


リアに起こされるが、しっかり睡眠を取れなかったせいで、頭が全く働いていない。



「お嬢様ぁ!起きてください。用意を始めますよ〜!」

「ぃゃぁ…」


"ねむぅ"


「かわっ…!じゃなくて、起きてください。今日は旦那様のお誕生日なんですよ。」


そんなことは分かっている。だが、パーティーが始まるのは夜なのに、何故朝から用意を始めるのか、未だに全く理解が出来ない。


「んぅ…」

「寝起きの奥様もお可愛いですけど、旦那様にはより可愛くなった奥様を見てもらわないと」


リアは本当に朝から元気だ。今日はわたしを完璧に仕立て上げると息巻いているせいか、いつもより覇気があるように見える。


観念したわたしは、寝ぼけながらも起きることにした。


「…おはよぅ」


「おはようございます、お嬢様。さて、覚悟してくださいお嬢様。私たちがお嬢様を世界一可愛く致しますので」


やっと目が開いたよくよく部屋を見てみると、いつもはリアだけが入ってくるはずなのに、今日は6.7人の侍女がいた。


みんな獲物を狙うかのような目でわたしを見てくる。やる気に満ち溢れているようだ。


「うん、ありがとうみんな。今日はよろしくね」


わたしがにこっとすると、何故かみんなは頬をピンクに染めた。それが何故かリアに聞くと


「お嬢様は罪なお人ですから」


と苦笑されながら言われてしまった。


当然ながら、何を言っているのか理解出来なかった。もう気にしないことにしよう。


わたしが色々諦めると、侍女もそれが分かったようで、早速お風呂に入りながらのマッサージに取り掛かった。


背中の傷を見られたくなかったわたしはタオルを巻いてもいいかとお願いしたところ、もちろんですと言ってくれたので遠慮なく巻かせてもらう。


「痛くありませんか?」

「気持ち良いですか?」


2人のマッサージ担当の侍女が順に聞いてきたので、お礼を言って2人を褒めたところ、謎の悲鳴が飛び交った。


何か気に触るようなことを言ったのかと不安になったので聞いてみると、そんな訳がないと言われてしまった。


入浴とマッサージを終える頃には軽く2時間が経過していた。


入浴1時間、マッサージは入浴の時間にもしていて、上がった後も1時間ほどしていたので計2時間。


ドレス選びも時間がかかるのかと危惧していたが、ルーカス様のおかげでそこは回避された。


なんと、誕生日パーティーようのドレスを贈ってくれたらしく、わたしはそのドレスを着ることになった。


ルーカス様には後でお礼を言っておこうと思う。だって、これはルーカス様の誕生日であってわたしの誕生日ではない。


従って、わたしがプレゼントのような物を貰うのはおかしいだろう。


だけど、貰っておいて着ないというのはあまりにも申し訳ないのでもちろん着る。


ルーカス様の選んでくれたドレスは、淡い水色と白色が入っていて、わたしの噂とは全く違うイメージのドレス。


流石にパーティーで着るドレスはわたし1人では着ることが不可能なため、侍女に着せてもらう。もちろん傷は見えないように。


ドレスを着て鏡の前に立つと、わたしがわたしじゃないみたいだ。


あの悪女のハンナ・アディノールはどこにもいない。そこにいるのは、清楚で美しい令嬢だった。


今も昔も、わたしの好きな人はハンナ・アディノールという小説の中の人だ。だけど、今はよく分からない。


何故なら、普通の転生とは少し違う。漫画や小説でよく見る転生は、人生の途中から始まるものが多い。


だけどわたしの場合は、小さい頃から生きてきた記憶がある。5歳までは思い出せなかったものの、ずっとこの身体で生きていたのだ。


それでも、やっぱり小説の中のハンナ様と今のわたしとは別。あれは夢じゃないはずだ。


今のハンナの意味、次会った時に聞けるといいな。


「奥様…!とてもよくお似合いです!!」


わたしが考え事をしていると、侍女が興奮気味にそんなことを言うので、考え事が吹っ飛んでしまった。


これで良かったのかもしれない。今はパーティーに向けてのことを考えればいい。


「ありがとう。嬉しいわ」


わたしがお礼を言うと、またもや侍女は頬をピンクに染めていた。


分かってきた。わたしがお礼をいうと、何故か侍女は皆照れる。


1度昼食を食べに戻った侍女を待ちながら、リアに先ほど疑問に思ったことを聞いてみることにした。


見てくださりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!

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