思い出したくなかった過去
注意です。
今日のお話は過激な表現が含まれているので、苦手な方はこのお話をスキップしてくださいm(_ _)m
「これは、わたしが夢で見たお話なのですが、わたしが見た夢は、身分の差がなく、みんなが自分のなりたいものになるために勉強する、そんな世界でした」
迷った末に話したのはわたしの前世の話だ。
「それは、とても興味深いな」
興味を持ってもらえてよかった。
「そこでは、わたしもみんなと同じ身分として、一緒に勉強したり、お話したり、遊んだり、たまにはふざけたり、そんなことが許されるところです。」
高校生での、わたしの唯一楽しかった生活のお話であり、大切な場所だった。
「夢の中には、授業を受ける場所があって、今の家庭教師というような感じではありませんでした。そこでは50分の授業に10分の休憩が入ります。そして、お昼を食べる時間は45分ほどです。休憩の時間は友達と、いつもお弁当を持ち寄って一緒に食べるのです。他愛のない話をして、笑ったり、怒ったりするのです。そんな素敵な場所が実現出来たら、とても楽しそうではありませんか。」
「ふむ、その場所の名前はなんていうんだ」
「学校と言うんです。同じ年代が、違う夢に向かって勉強をする場所なんです」
「良いところだな。………」
「どうかなさいましたか?」
先ほどから何かを言いたげな表情をしている。
「今までの言動のこと、本当にすまなかった」
「…え……。何故謝るんですか?わたしは何も気にしていません。さあ、早く寝ましょう。もう良い時間です」
「…令嬢…?」
「おやすみなさい、公爵様。良い夢を」
思わず部屋から出てきてしまった。
だって、分からない…。
わたしは、どうすれば良かったんだろう。
分からない。
わたしはどうするのが正解なの?
簡単に許せばいい?
それとも、絶対に許さないと、彼らを一生恨み続ければいい?
でも彼らは悪くない。
悪いのは、噂を広めたお父様なのだから。
吐きそうになるのを必死でこらえる。
誰を憎めば良いんだろう。
噂を広め、わたしに関心のないお父様?
わたしに鞭を打ち続けた先生達?
噂を信じてわたしを信じなかった公爵家の人達?
分からない。分からない…。
家ではわたしの気持ちを優先してもらえることなんてなかった。
わたしは今、どう感じているの?
ああ、まただ。この気持ち悪くなる感じ。吐くものはなにもないのに、ただただ吐きたくなる。
そんな思考が頭から離れず、気付けば朝になっていた。
最近、こんなことが多い気がする。
「令嬢…」
「え、あ。おはようございます。公爵様。熱は、下がりましたか?」
"ダメ、抑えて。この吐き気のする感情は、
笑顔の奥に閉じ込めてしまえ…"
いつもの笑顔。日常。全て意識する。
「あ、ああ。おかげ様で、もう熱もないし頭痛も目眩もしない。それより、どうして令嬢は今、そんなに辛そうだったんだ?」
「何、言って…、わたしは、いつも通りです。少しだけ、休めば…すぐ、に」
ードサッー
あ、れ…?
わたし今、どうなって…
公爵の顔が、近い気がする…。
ああ、眠たい。少しだけ、少しでいいから休憩させてほしい
◇◇◇
『お前はすごいな、アリア』
『そんなことありませんわ、お父様。』
『お、お父様…!ハンナ、ハンナもカーテシー出来るようになったよ…!』
『…………さあ、アリア。あっちで続きを教えてやろう。』
これは…昔の記憶だ……
2度と見たくなかったもの
ーバチン!ー
今度はなんなの…
『やり直し、どうしてこの程度のことも出来ないのかしら?』
『ごめんなさい、ごめんなさい…!ちゃんとするから、叩かないで…』
『もう一度』
ーバチン!ー
『もう一度』
ーバチン!ー
『もう一度』
どうして今…これが見えるのよ…。
っ…もうやめて…
『おい!もっと酒買ってこい!!!』
っ-ー!
ぁ、ぁぁ…いや、いや…!
『買ってこい!金しか稼げねぇんだから!』
ードカッ!ー
『母さんもお前を置いて逃げた!』
ードカッ!ー
『能なしのお前を置いて!』
ードカッ!ー
『お前が生まれなければ』
ードカッ!ー
『消えろ!消えろ消えろ!』
ああ、うるさいっ!!
わたしだって消えれるものなら消えたい…!
あなたのことなんかほっといて!1人でずっと死にたかったわよ…!
でも、あなたが父親だから…だから見捨てず最後まで面倒見たじゃない…!
あなたがお父様だから、黙って家庭教師の言う通りに何度も何度も何度も繰り返して、認めてもらえるように頑張ったじゃない…!
なのに…結果は死に、売女だの極悪令嬢だと言われた。
わたしが何かした?わたしが、わたしが…
なんだっていうの…
前世で死に、今世で父からは娘として見てもらえず、公爵家ではここにいるわたしを見てもらえなかった。
いよいよ、眠っているこの瞬間まで悪夢に侵されようとしている。
もう良いんじゃないか
充分頑張ったんじゃないか
もうわたしを、殺してくれてもいいんじゃないかと、願ってしまう。
もう生きたくない…
この世から、消えてしまいたい…
誰かわたしを、殺して…
「…う」
誰かの声がする…
でも、目なんて開けたくない。開けたらまた、現実に戻ってきてしまう。
「…嬢!」
誰なの?先から、わたしを呼ぶその声は…。
「令嬢!」
見てくださりありがとうございました!
次話も見てくれると嬉しいです!




