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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
10/89

公爵の仮面

この料理は初めて料理人前で言ったからか、戸惑っていた。


それもそうだろう。なんせお粥なんて前世でしか食べなかったのだから。


今世では、そもそもパンが主食のため、ご飯を食べる機会がほとんどない。


だが、料理長はすぐに承諾してくれた。


"流石、有能な料理長だ"


「おう。任せろ」


「お米、卵、にんじん、しめじ」


これで前世で風邪を引いた時に食べる『雑炊』をつくる


雑炊は薄味だが、栄養豊富で風邪の時にはもってこいの食事なのだ。


「これでいいか?」


「はい!ありがとうございます。それと、すみませんが、時短のためみなさんに手伝ってもらっても良いでしょうか?」


「もちろんだ。みんなも手伝えるか」


「当たり前だろ!」「いつも美味しいご飯作ってくれてるじゃないか」「恩返しくらいさせてくれ!」


こんな時、頑張って来て良かったと、心の底から思える。


それに、敬語じゃないから距離感も近くて、厨房にいる時だけは自分が貴族だということを忘れることが出来る。


仕事場でいう、同期みたいな感じ。


「ありがとうございます…!では、、、」


さすが料理人と言うべきか。


1人でするより圧倒的に早く作り終えることが出来た。


◇◇◇


完成した!


「みなさんありがとうございます。しばらくは公爵様のお食事を雑炊にしたいと思いますのでみなさんにも協力して頂いてよろしいですか」


「当たり前だ。俺たちは同じ屋根の下に住む家族だろ」


"家族、……ね"


「…そうですね」


家族に良い思い出なんてあったっけ?


そもそも、料理長さんたちは信頼を寄せてくれてるけど、わたしは信頼なんてしない。


だってまたいつああいう目で見られるか分かったものじゃない。


もしこの人たちにまたそんな目で見られたらわたしは…


「お嬢?どうした。」


「っ!いえ、何でもありません。とにかくありがとうございます。わたしは公爵様のお部屋に行ってきますね」


わたしがみんなと掃除をしたり洗濯をしたり料理を振る舞うのは全部、みんなに信頼してもらうため。


だから、楽しいなんて思ってはいけない。


わたしがみんなを信頼することはない。だから


"弱みを見せることも隙を見せることもしない"


そう思っていないと、あの人たちを信じてしまいそうになるから。


とにかく早く公爵に雑炊を食べさせよう。


「公爵様、失礼します。お食事を持ってきました。今は食べられますか?」


「そこに置いておいてくれ…。後で食べる…」


そんな辛そうに言われても、わたしには食べない未来しか見えない。


「わたしも手伝いますから起き上がりましょう」


「いらない…手伝いなど…」


あ…。


分かった。


この人、わたしと似てるんだ。


人に弱みや隙を見せたくないところが。


公爵は無表情で、わたしは笑顔で、自分の弱みや隙を覆ってしまう。


そうすることで隠すことが出来るから。


わたしを覆っている壁は透明なガラスのようなもの。だからわたしの前にある壁に気付かない。


でも公爵は違う。誰が見ても、公爵が心を閉ざしていることが分かる。


だから、気持ちが分かる。少しなら、公爵の心を和らげることが出来るかもしれない。


まだ、助けることが出来る。


「公爵様、今は大人しく、わたしを頼っていてください」


「誰が、お前を…」


「別に今信頼しろと言っている訳ではありません。公爵様は人を信頼しない人です。


きっと今後誰かを信頼することはないかもしれません。


ですが、今風邪を引いてるこの瞬間だけは、信頼はせずとも、頼ってください。」


「………」


静かになった。


何か思うところがあったんだろう。


そうだ、公爵は誰かに自分を預けることが出来ないのだ。


だから頼るというのも公爵からすればとても難しいものだ。


まあ、これを機に覚えてもらえば良い。公爵は1人じゃないこと、公爵は仲間を頼っても良いこと。


それをするにはまず、わたしの介抱を受け入れてもらわないと。


「ゆっくり起き上がってください。お口に入れますから」


ーパクっー


"お、食べた…"


大きな子供みたいでちょっとかわいいと思ってしまった。


「どうですか、お口に合わなくても栄養があるので出来るだけ食べてくださいね」


「うまい…」


"え…"


ほめてくれるなんて思っていなかったせいで、少し驚いてしまった。


「良かったです。」


「なぜ…」


「?」


「どうして、俺に優しくする。」


そんな当たり前の質問を、公爵はわたしにしてきた。


公爵は、人に優しくしてもらった経験がないのだろうか。だからこんな質問をするのだろうか。


「あなたは病人なんです。看病するのは当たり前です。それに、風邪を引いてる時まで1人なのは、とても寂しいことですから」


「令嬢は、分かったような口を聞くんだな」


"それは、あなたと同じですから分かりますよ"


とは言えない。


「まあ…。あっ、全部食べれていますね。明日にはお医者様に見てもらえると思いますから、もう少しだけ耐えてくださいね」


「お前、俺を誰だと思ってる」


「公爵様は、ただの人です。あなたは騎士でも公爵でもありますが、それ以前にあなたも弱さを持ってる1人の人です。」


そう、公爵も1人の人。公爵の過去にどんなことがあったのかは分からない。


絶望したのかもしれない。


辛かったのかもしれない。


寂しかったのかもしれない。


恨めしかったのかもしれない。


それでも、公爵を変えられるのは公爵しかいない。


「…ハハッ、そう言ったのはお前が初めてだ」


「そうですか。では、わたしはお皿を片付けてきますから、また戻って来ま…」


ークイッー


?????????


何かに引っ張られたので、後ろを振り向くと、公爵がわたしの袖を掴んでいた。


"なんと…"


「俺が眠るまでで良いから、少し俺の話を聞いてくれないか…」

見てくださりありがとうございました!


やっと進んできたという感じがします*ˊᵕˋ*

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