表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
After
131/132

これから



 ニコちゃんさんの所で自分の黒歴史本を書き直した俺とロムは屋敷へと戻ってきた。 屋敷へ着いた時には夜中で、全員寝ているのか中は静まり返っていたため、思ったよりも改変に時間がかかったんだなと思いながら俺とロムは小腹を満たしに厨房へと向かった。



 「そういえばこれからどうするんだ?」



 珍しく自分で夜食を作りながら、俺はロムへ話しかけた。 俺が死にたくなるようなことはなくなったらしいが、それでもこの世界で生きていくための目標的な何かはいるだろう。 惰性で生きるのもあれだしな。



 「ん~~~ これといってやることはないね!! 敢えて言うなら神化した力の制御? ニコちゃんの所でこれまでの人生を見返したからわかるとは思うけど、何個か解決しなきゃいけないことがあるしね」



 そう言われて思い返すと、三途の川の件や結局名前が分かっていないクソババアの件があったなと思いながらも、ロムの言葉に疑問を抱いた。 神化とはなんぞや? 覚醒って話じゃなかったか?



 「神化?」



 作った野菜炒めを俺とロムの前に置きつつ、気になった神化について尋ねた。



 「お、ありがと~ もむもむ……うん美味しい!! そうそう、神化。 あの時は便宜上覚醒とは言ったけど、実際には私がツクルの体に仕掛けていたもの……まあ仮に神の種子としようか。 それが感情の揺らぎと一緒に芽吹いたんだよね。 結果的にそれがツクルの体を構成しているダンジョンを取り込み、神としての体に作り替わったってわけ」



 「へ~~~」



 ………やっべ、ぜんっぜん話聞いてなかった。 リスみたいに頬に食べ物を詰め込むロムかわわ、とか思ってたら話が終わったんだがどうしてくれる!? へ~~~、じゃないが俺? 全く理解できてないが!? などと心の中の自分をぶん殴っていると、ロムが続きを話してきた。



 「とはいえ楽でよかったよ」



 「ん? どういうことだ?」



 話を聞いてなかったから何が楽だったのか知らんが、とりあえず前後関係で前の話も分かりそうだったので聞き返す。 そこ。 自業自得とか言わない。



 「本来なら神の種子を体に入れたからって、芽生えるものじゃないんだよ。 それこそ……なんだろな…麻雀で天和国士無双を上がる方が簡単っていえば……もっとわからないね。 まあいっか。 そんな低確率なことがツクルの体の中で簡単に起こると思う?」



 「思わないな」



 「うん。 普通ならそうだね。 でもツクルは家系的な影響で他の人よりも圧倒的にその確率が高かったんだよね。 だから楽って言ったの。 お義父さんも同じようにね。 居上……いや、居神家って言った方がいい?」



 「………仮に呼ぶなら斎藤のままにしてくれ。 今でも好きじゃないし、美羽のためにもな」



 クソ親父が嫌いというだけで忘れ去られていた自分の苗字、居上。 子供の頃に捨てたはずの苗字だったが、ロムに言われて久しぶりに思い出した。 と同時に顔を曇らせた俺に向かって、ロムが焦ったように手をわちゃわちゃ動かした。



 「べっ別に呼ぶわけじゃないからね!? 心配しないでいいよっ!?」



 「……………。」



 「し、心配しなくていいよ?」



 「……………。」



 「し……しんぱ……」



 「……ぶふっ」



 「…………わざとかぁぁぁぁ!!!! びっくりしたでしょぉぉぉぉ!!!! 脅かさないでよ!!」



 「ほめんほめん りゃかりゃ ほほをひっはりゅは」



 反応が無い俺に向かってひょこひょこ近づいてきたロムは、それでも全く反応しない俺に、愕然とした表情をした。 そしてその反応に思わず笑ってしまった俺の頬を、ロムは引っ張りに引っ張った。


 そうして2人で厨房に笑い声を響かせていると、寝ていたはずの人物が厨房に室内転移してきた。



 「お帰りなさいでやがります。 ……と言いたいところでやがりましたが………帰って来るなら時間を伝えるでやがります!!」



 「「あい すいません」」



 現れたシェイルの背後には鬼が宿っていた。 反射的に俺とロムは椅子の上で正座をしながら、30分ほどお説教をくらった。



 「聞いてるでやがりますか!? ニコル様…じゃなくてロム様でしたね!! ロム様は前から…………」



 ………前言撤回。 もう30分はかかりそうだ。 俺の分の冷めた野菜炒めはどうすればいいんだろうか。 シェイルに気付いてくれないかな~?とでも言うような目線を送るが、お説教の方が優先らしい。 俺の野菜炒めぇ……






 「分かったでやがりますか!?」



 「はいっ!!」



 お、ようやく終わったようだ。 結局かかった時間は90分。 途中から許された俺は野菜炒め片手にお説教の観戦をしていた。 助けてくれない俺を睨むロムには悪いが、シェイルに野菜炒めの温め直しを頼むには怒らせたままではいけなかったのだ。 だから俺は悪くない。 腕を抓るなロム。



 「それじゃあシェイル。 野菜炒めの温め直しを頼む」



 「りょ、了解でやがります」



 屋敷を管理するシルキーの能力は万能で、異世界には存在しない電子レンジの代わりにもなるのだ。 ………それはそうなんだが、シェイルはなんで俺に向かって空気が読めないやつを見るような目をしてるんだ? ……ま、いっか。 野菜炒め~~~♪



 「ロム様? なんでご主人様は前よりもポヤポヤしてるでやがりますか?」



 「多分…考えることが無くなってホッとしたんだと思う」



 コソコソ話をしている二人の横で、存分にお食事を楽しんだ俺だった。




これ以降はある程度区切りが良いところまで書いてから、纏めて投稿しようと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ