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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
129/132

運命



 「にょわぁぁぁぁ!!!! いてっ」



 「お、ニコちゃんお帰り~」



 「ただいま~!!」



 主人公の心の中から追い出された運命神は闇を通って現実へと帰ってきた。 それを見たミウが、ニコルに対してお帰りと言ったところから考えるに、どうやらミウには自分のことを知らせていたらしい。



 「……は? ニコルとかいう神はさっき俺が殺したはずじゃ」



 主人公の闇に貫かれる寸前だった勇者も二人の会話を聞いていたのか、驚愕に顔を歪ませるが、それよりも驚くことが運命神の口から発せられる。



 「ん? あぁ、思考誘導解除するの忘れてた。 【思い出していいよ】」



 「何を……うぐっ あ、頭が!!」



 その場でのたうち回った勇者……これ以降は救世神と呼ぶべきか。 救世神は、数秒後何も無かったかのように立ち上がった。



 「……運命神様……力の行使…訛っておりますね? 明らかにやりすぎです」



 「ははは、何を言ってるのかな……ごめんなさい 久しぶりで……」



 どうやら知り合いらしい救世神にギロリと睨まれた運命神は白状して頭を下げた。 それを見た救世神の方も特に問い詰めるようなことはせず……



 「まぁいいでしょう。 その代わりと言っては何ですが、溜まっていた仕事はしっかりとこなしていただきますよ。 ……バカ息子と離れるのが嫌なら手伝わせればいいでしょう。 だからそんな顔はしないでいただきたい」



 「イエッサー!!」



 絶望的な表情から一変して張り切った様子の運命神に、救世神は苦い顔をしながら頭に手を当てた。 中間職は大変ですな。



 「上司はあなたでしょうに……。 ……む、そろそろ起きそうですね。 この部屋は自由にお使いください。 私が居ては困ることもあるでしょうから、先に神界へと戻っておきますね」



 「ありゃりゃしたー-!!」



 「後で挨拶しに行くね、お義父さん」



 「巡美さんの娘さんでしたか? バカ息子をどうかよろしくお願いします」



 「ねぇ私!! 運命神によろしくしないのはおかしくない!?」



 「………。」



 「なんか言えぇぇぇぇ!!!!」



 無言で消えていった救世神に石を投げていると、主人公が起きて来た。











 「………俺は……?」



 「おっ、起きた~?」



 運命神の方に振り返った主人公は、外見が変わっているのにも関わらず、運命神がニコルだと見抜いた。



 「…ニコル!! お前生きてるなら生きてるって言えぇぇぇぇぇぇ!!!! 心配しただろうがぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 「みょぉぉぉ!?!? いひゃいっへ!! いひゃい!!」



 主人公に頬をワシッと掴まれ、みよんみよんされた運命神は、そのまま数十秒されるがままになってていた。



 「それでお前の名前はニコルでいいのか?」



 「ほっぺが伸びる……」



 数十秒後。 満足したのか頬から手を放した主人公は、運命神に向かって質問をする。



 「お好みならもう一回やるが?」



 「お好みじゃないです!! はい!! それと名前ですが、略称でいいならロムって言います!! 本名は長いので嫌いです!! はい!!」



 ニコル改めロムは、主人公に引っ張られて赤くなった頬を抑えながらもしっかりと受け答えをする。



 「んで、そこのニコニコしている美羽もぐるか? 知らなかったのは俺だけってか?」



 「そだよ~ ついでに言っちゃえば、お義父さんはニコちゃん…もうロムちゃんでいいのか。 ロムちゃんの部下だよ。 思考誘導でロムちゃんのことや神界のことを忘れるようにされてたけど」



 「…………そこまでした理由は俺の…覚醒?とでも言おうか。 これを促すためか?」



 ミウの言葉を聞いて深く考え込んだ主人公は、体を纏っている闇の様子を振り返りながらロムの方を向いて質問する。



 「違うよ?」



 「違うの!?」



 違ったようだ。



 「いや、まあその理由も無いこともないけど、覚醒はついでもついで。 本当の理由はツクル。 君が死なないように運命を変えるためだよ。 私がニコルの姿を以てして干渉したのもそれが理由だね」



 「………。」



 「自分のことだろうから分かるとは思うけど、ツクル、君後追い自殺し過ぎじゃない? 大変だったよ全部の運命をいい方に変えるのは」



 「……はぁぁ、無駄に考えてもしょうがないか!! ありがとなロム。 俺のために慎重に動いてたんだろ? 四天との最初の会合の時とか、戦争の時の巡美さんの後処理とか。 今考えればおかしい動きをしてる場面がいくつかあったな」



 「にへへ~~それほどでもあるね!!」



 真顔で考えの海に潜る主人公を心配したロムだったが、ようやく顔をあげた時の主人公の様子を見て、ロムも笑顔になった。



 「これでようやくハッピーエンドってわけだね!! それじゃあ兄さん。 そろそろ纏ってるのをどうにかしないとダンジョンの方がヤバいかな~なんて」



 「あっ」



 「………どうやって戻すんだこれ」


 ≪そう言うと思ってましたよ≫



 主人公が試行錯誤をしている中、ラフィスの声が聞こえてきて、主人公を纏っていた闇が引いていった。



 「サンキューラフィス……と言いたいところだが。 お前もだよな?」


 ≪何を言っているのかわかりませんね。 まさか最初からロム様の正体を知っていて、マスターがあわあわしている姿を見るのは面白かったなんてそんなわけないですよ≫


 「お前こらぁぁぁぁ!! 帰ったらどうなるか分かってんだろうなぁぁぁぁ!!」



 「ふふふ、あっはっはっは!!!! やっぱりツクルはこうじゃないとね」



 原初のダンジョンには主人公たちの笑い声が響き渡った。






 「あぁ、そういえばエルちゃんにも伝えないとね」



 「エルちゃん? ノエルちゃんじゃなくて?」



 「そう。 エルちゃん。 ある意味ツクルを助けるのに一番役立った人?かな」



 最後にそんな話をしながら、主人公たちは遊園地のホテルに居た屋敷の面々を回収し、屋敷へと戻っていった。




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