表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
128/132

暴走



 「ニ、ニコル? な、なんで……」



 抵抗も出来ずに爆散したニコルの居た場所に、倒れたまま擦り寄る主人公を見ながら、勇者は吐き捨てるように言う。



 「なんで? あぁ、神は死なないとでも思ってたのか? 神の位にもよるが、殺せないなんてことはねぇよ。 ましてや俺の権能は救世神。 この世界においては無敵なんだよ」



 「あ……あぁ…………。」



 説明したその言葉すら聞こえていない主人公に勇者も期待外れとでも思ったのか、振り返って玉座へと戻ろうとするが、その前に立っているもう一人に気が付いた。



 「ん? あぁ~~~と……美羽ちゃんだったっけ? 間違ってたらごめんね。 君はどうするの? このままだとツクルは自殺とかしそうだけど。 俺に復讐とかする?」



 「………ん? 復讐? なんで?」



 何を言っているのか分からないような反応を見せるミウに多少の恐れを抱いたのか、勇者は少しだけ焦った口調で言い返す。



 「え? だってそりゃ仲間を殺したし、ツクルも死ぬかもしれな「兄さんなら大丈夫だよ」…は?」



 その言葉を聞いた瞬間。 主人公の絶叫がその場を覆った。



 「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」



 それと同時にミウが言った、それにニコちゃんもね。 という言葉は勇者には聞こえていないようだった。






 「おいおい!? それは想定外だろ!! あの神、ツクルに何をしやがった!!」



 「………。」



 無言で立ち上がった主人公の体の周りには、主人公の体すら見通せないほどの闇が覆われていた。 その闇は原初のダンジョンに干渉しているようで、おどろおどろしい部屋の壁は、それを超える闇に侵食される。



 「………。」



 「……こりゃあやべぇ」



 権能を使ってなんとか侵食を抑えようとする勇者だったが、予想外に権能の効きが悪いようで、集中を深めた瞬間。 主人公の手がスウッと勇者の方を向き、同時に纏っていた闇も勇者の方に近付いてきた。



 「死ぬっ!! いや死ぬかは分かんねぇけど怖いっ!!」



 「………。」



 主人公の意識がないからか闇の動きは遅く、なんとか勇者も躱しているが、闇の方も少しずつ精度を上げて勇者を追い続ける。



 「いや~逃げるの大変そうだね~」



 「ほんとね!! こんなに部屋が狭いことを恨んだことはない……ってなんで美羽ちゃんは襲われてないの!?」



 「………。」



 じりじりと追い詰められながらミウの方を見た勇者は、むしろ闇に守られているような姿を見て驚愕した。 主人公の意識はなくとも守るべきものは見えているのだろう。



 「よっしゃこれで一息っ!? バカ野郎!! 誰だここに玉座置いたアホは……あっ」



 「………。」



 ギリギリで躱しきった勇者だったが、最後は自分の椅子に裏切られて地に伏した。 もちろんそんなことがあっても止まる闇ではなく、倒れた勇者に襲い掛かった。



 「速…避……無理!! 受け止める 無事で!? 出来る!?  否  死  って言ってる場合かぁぁぁぁ!?!?!?!? …………止まった?」



 死ぬ寸前にネタに走った勇者だったが、顔の目前で闇は動きを止めた。











 「よっこいしょっと。 いや~想定通りだね!! いや、想定以上じゃのと言うべきかな? 私が死ねば、仕込んだ種は芽生えるとは思ってたけど……まさかここまでとはね」



 ニコル……いや、姿が違うからここは運命神と言った方がいいだろうか。(100話参照) 運命神が立っている場所は闇に覆われた場所。 運命神の目をもってしても奥を見通せないほどの闇が広がっていた。



 「ひっどいね~ 心象風景がこれなら現実はどうなってんだか」



 道なき道をポテポテと歩き始めた運命神の言葉で、闇に覆われた場所の正体が主人公の心象風景だと想像できた。



 「お~お~見事に暴走しちゃって。 普通は蹲るとかじゃないの? 流石は私が惚れたツクル君だよね」



 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 適当に歩き続けると、突然運命神の視界が開けた。 その場所はまるで日本の主人公の部屋の中のようだったが、その部屋は暴れ続ける主人公によってボロボロに崩壊していた。



 「さてさて~聞こえてるかな~ツクル君や~い」



 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 「ツクル君や~い」



 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 「ツクル君」



 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 「ツク」



 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 近づいて声をかけるも、全く聞こえていないような主人公の反応に運命神も痺れを切らした。



 「え~加減にせぇぇぇい!!」



 「おんどぅるべっっ!?!?」



 「……てへっ やりすぎちった」



 スパーンと平手打ちを喰らった主人公は、回転しながら地面に突き刺さった。



 「おろ? ちょっと待って? 私が追い出されるのは想定外だよぉぉぉぉ!!!!」



 それと同時に運命神も地面に吸い込まれ、主人公の心の中から追い出されていった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ