表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
127/132

勇者あるいは原初のダンジョンマスターあるいは…?



 「さて…心の準備は出来たか?」



 「百面相しながら言うセリフじゃないね?」



 「お主が一番緊張しとるじゃろ」



 「…………今シリアスなところじゃん!?」



 顔芸をかましている主人公が言うな。 そんなアホな会話を繰り広げている主人公たちがいるのはアランの守っていた扉の向こう側。 やはり最後にはポツンとテレポートゲートだけがあり、原初のダンジョンマスターが割と適当な性格だと予想できた。



 「にしても最後ぐらいは装飾があってもよくないか?」



 「これを設置した人は兄さんみたいな性格だね」



 「じゃな」



 「…………。」



 主人公がテレポートゲートに足を踏み込みながら漏らした言葉は、ブーメランとして自身に返ってきた。 せめて何か言い返せ。


 そして無言の時間が数秒あり、テレポートゲートが光り出した。






 「また扉?」



 「好きだね~」



 転移してきた場所にあった扉はこれまでの関門とは異なり、小さいながらもおどろおどろしい装飾がなされていた。 そして、その扉はゲートの光がやんだと同時にズズズズズと開き出した。



 「開いたのお」



 「入って来いってことだろうな」



 そう解釈した主人公は、特に警戒をする様子もなく部屋の中へと入って行った。 それを見ながら、ニコルとミウも慌てて主人公を追いかけた。











 「よく来たな、ツクル」




 部屋の中はいかにも魔王が居そうな装飾があり、奥の段差の上にある玉座には、The魔王とでも言うような衣装を着た人物が座っていた。 その顔には仮面が付けられており、性別が男だということ以外は分からない。 あれ? 勇者? ……まあダンマスは悪役側だからいっか。



 「……一応様式美で聞いておこうか? お前は誰だ? 何故俺の名前を知っている?」



 「いや様式美とか言うなよ」



 「………雰囲気!!」



 魔王…じゃなくて勇者から即座に飛んで来たつっこみに、流石の主人公も語気が強くなる。



 「あーちょっと待ってな。 あ~ん~ん゛ん゛!!  ふぅ、よし。  くははははは!! 我が何故貴様の名を知っているかだと!?!?  むしろこの世界を統べている我が、何故貴様の名前程度を知らぬという結論に達したのか教えて欲しいぐらいだわ!!!!」



 「いやそういうのいいんで」



 「あ、そう? んじゃあ~久しぶりだなぁ ダメ息子」



 魔王のような雰囲気をスンッと消し、仮面を取り外すと、そこには日本で失踪したはずの主人公の父親の若いままの素顔があった。



 「……やっぱりお前かよクソ親父」



 ギリリと歯を軋ませながらそう言った主人公の横で、ミウとニコルは…



 「お義父さん!? お若いね!?」



 「不束者じゃが息子さんを息子さんの妻をやらせてもらっているのじゃ」



 完全に家族として会話をしていた。 お前らここに何をしに来たか分かってんのか? ……何をしに来たんだっけ?



 「流石にあからさま過ぎたか? まぁいいだろ。 ツクル、元気にしてたか?」



 「……失踪したお前が家族面してんじゃねぇ」



 「あらら、お父さん悲しいよ。 およよよよ、そんな子に育てた覚えは「育てられた覚えもねぇよ」グサグサッ な、中々心を抉って来る息子じゃねぇか。 くっ、やりやがるぜ」



 器用に血のりを口から出しつつ、背もたれへと体を預けた勇者(一々主人公の父親と表記するのは面倒)だったが、そんな冗談を相手する余裕は主人公には無いようだ。



 「それで、なんで俺をここまで呼んだんだ」



 そういえば呼ばれたから来たんだった。



 「あぁ? 分かってないのか? お前らやりすぎなんだよ。 せっかく善悪いい感じにバランスを保っていたこの世界が、お前らのせいで善に偏りつつあんだよ。 特にそこのチビ神。 お前の存在はこの世界からすれば膿みたいなもんだ」



 笑顔から一変した勇者は、そういいながらニコルを睨みつける。



 「い、いや、我は邪神「その反応で十分だ。 どのレベルかは知らねぇがお前天神側だろ。 おそらく、そのせいで天神のダンジョンも急激に反応したのか、その対応にも追われたんだ。 これ以上はこの世界にいてもらっちゃ困るんだよ」………。」



 まさかの真実である(すっとぼけ) ニコルは図星だったのか、顔を伏せて黙る。



 そんなニコルの前に立ちふさがった主人公は、勇者に聞き返す。



 「ニコルが天神だろうが魔神だろうが関係ないが、そもそも善に偏っちゃいけないのか?」



 「アホか。 よく考えろ。 善は時として最悪になるんだよ。 それこそ向こうの歴史が物語ってんだろ?」



 「………だからニコルを殺すってのか?」



 主人公はそれを聞きながらもニコルを下がらせる。



 「あぁ。 だからそこをどけ、ダメ息子」



 「どくわけにはいかねぇな、クソ親父」



 「「あぁ?」」



 やっぱりこいつら親子だわ。 しかし、ガンを付け合った二人だったが、勇者の方は不意に真顔を崩し、主人公に笑顔を向けた。



 「ふっ まぁどかないならどかないで良い。 どうせこの世界においては俺の力には抗えないからな。 【権能:救世神】」



 「なっ!? ぐっ う、動かなっ!? に、逃げろニコル!!」



 「悪いな。 世界のためだ」



 主人公が地面に叩きつけられた拍子に、呆けているニコルとミウが一声も発することなく、ニコルの体は爆散した。



 「ニコォォォォル!!!!!!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ